木造の防音相談と建築事例
最近、増えているのが「建築士・建築会社からの相談」と「新築住宅の生活防音相談」です。
前者は取引先を除くと大半が住宅メーカーであり、後者は個人の施主が主な相談の依頼者です。
私のような零細な自営業者に相談する主な理由をお聞きすると、大半が「該当する専門的事例が」検索しても出てこないことと、「具体的な木造防音対策の考え方が他の業者は明記されていない」と言います。
住宅メーカーは自社の設計施工が失敗または性能不足で施主からクレームが入り困った挙げ句、ネットで事例を検索して私の「防音職人」にたどり着くというパターンです。
その割には、最初から無料で相談を受けようとする安易なものが多く、具体的なアドバイスの段階で、門前払いすることになります。
個人の施主は、最初から有料相談または業務契約を目的とする案件が多く、私の主力業務の一つになっています。
住宅メーカー・建築設計事務所の失敗事例
主な失敗の要因は、設計仕様の性能不足です。施工業者の問題ではないです。建築設計事務所の建築士個人の失敗も同様です。
床の剛性不足、固体音が共振拡散しやすい構造・製品の問題、断熱吸音材の選定ミスなど複合的な要因が重なった結果、戸外からの騒音や住宅内部の足音など振動音対策の性能不足が起きていると考えられます。
昔の伝統的な住宅建築は木材・木製品を多用していたので、比較的振動音が吸収され穏やかに聞こえる仕様が多く、戸外の騒音に対しても、最近の住宅メーカーの設計仕様よりも性能が上でした。
最近の高気密高断熱住宅は、伝統的な住宅仕様に比べて、石膏ボード・軽鉄下地・ALCパネル・硬質シージングボードなどを多用するため、余計に振動音(固体音)が伝播しやすい構造になっています。
使用する断熱材も発泡材が多く、従来のグラスウール・ロックウールに比べて吸音性が低いのも問題です。
また、室内が反響しやすい内装になっているため、騒音を感じやすくなっています。
これらの問題を解決するには、伝統的な建築物の長所を見直して再評価する必要があります。
そして、木造と相性の良い防音材などの設計仕様を確立する必要があると思います。
ちなみに、建築業界は看板の大きさや知名度で専門家を判断する傾向が強く、技術者を正確に評価できないという致命的な対応レベルが大きな問題だと思います。
施主個人の防音相談
防音職人に依頼する施主個人の多くは、基本的に実績重視で専門家を探すため、私の仕事場を見ても、業態規模や知名度で評価しない人が多く、ご予算が折り合えば、契約になる確率が高いです。
要するに提案書の中身や対面相談およびメールの対応内容で判断するわけです。
地方の案件は、電話・メールでの相談であり、提案書・見積書を添付ファイルで送付して了解されれば契約になります。それだけ、ウェブサイトのコンテンツを重視する時代になったと言えると思います。
私もできる限り、木造の防音対策事例をホームページで解説したいと考えていますが、コンテンツを無断流用する業者などが居るため、正式な予約者にしか説明できないという事情があります。
それに、同業者や建築士でさえ、私のウェブサイトのコンテンツは理解できない部分が多いと言いますので・笑。実績のない建築業者には本質が見えないのだと思います。
防音設計は人様の真似をしても本当に理解できるわけではないので、中途半端な知識だけでは無理だと思います。
木造の防音設計は、経験値と研究が物を言う世界だと考えています。ある大手の建築会社の建築士は「餅は餅屋に任せたほうが良い」と言いました。
私の提携先の建築士も、役割分担と相互協力が、より良い建築設計・工事を成功させる原動力だと言います。
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