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防音設計の技術と現場経験

他の記事でも、音響・防音設計の専門書やネット上の情報は古いということを述べてきました。

それだけではなく、学問として体系化されていない、実物大実験を含めた分析データが少ないことが理由の一つです。教えてくれる専門家も居ない、大学の教授も専門分野が狭くて、現場の設計・施工に対処できない。

実例も、私が開業した当初から求めるものが見つからず、結局は自分の担当現場や自宅マンション・知人宅で試すしか方法がなかったのです。要するに現場の検証で学ぶしか、机上の理論を補正する方法は無いことが分かったのです。

学問として、質量則や定在波、音響設計、免震構造などの専門分野がありますが、現実のマンションや木造住宅、木造音楽室に適用できる防音設計理論がなく、自分で構築するしか方法がなかったのです。

私の本業には学歴は不要です。

施工技術や納まりは自分で作るもの

設計マニュアルには、私の現場に適用できる施工要領や納まりは記述されていません。

私の施工要領や防音構造の詳細、軸組を含めた下地構造の納まりは、専属の職人や大学の先輩建築士と一緒に作ったものです。

専門書には書かれていません。技術は自分で作るものだったのです。

伝統的な木造建築の軸組の仕口・継手も参考にしながら、現場で確実に施工できる工法を確立して、それを理解できる職人だけを専属チームにしました。現在も同じです。

机上の理論は経験則で補正する

机上の理論や古いマニュアルの工法は、実際の現場では、殆ど役に立ちません。荷重量や分厚い構造体のため、構造的強度及び空間的な制約、費用対効果の面では使えませんでした。

私の説明や提案書の意味を大半の建築士がすぐに理解できないのは、実務経験がないからです。もっと言うと「成功した担当現場の経験値が殆どない」からです。マニュアルに記載のない事項や既製品の概要に説明されていない工法は知らないのです。

防音専門業者も大差ないです。自分たちの狭い知識や仕様書で対処できない事項は全く対応できないです。

私のような自営業者に回ってくる案件は、彼らが出来ないものばかりです。これは経験則や経験値の差です。担当現場の件数ではなく、中身の難易度の問題です。

難しい案件をこなしていくと、経験値がアップします。どんな分野でも同様だと思います。


私の本業に必要なものは、研究と実践経験です。それとフレキシブルな思考です。

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