どんなロケーションの木造音楽室でも可能性を追求する
海外から帰国されてピアノなど音楽教室を始めた複数のプロピアニストの話によると、海外では音楽室は木材で造ることが好まれており、アパート(日本のアパートとは異なる、コンクリート・レンガ・石積み構造)においても、室内は木製品で構築されています。
音楽家は、木造・木材・木製家具が音響的にベストだと考えているようです。なので、木材やカーペット(絨毯)によるインテリアが普通ですが、部屋の模様替えも自分たちで行い、壁には壁紙ではなく室内用の塗料を塗って仕上げる、床はカーペット・絨毯で音響の調整を行うのが基本です。室内には木製家具が配置され、シンプルでおしゃれな空間を構成しています。
共同住宅でも戸建木造でも、内装は木造なのです。日本人はフローリングに拘る人が多いですが、帰国された音楽家はカーペット仕上げに抵抗感はないようです。むしろ、自分で好きな製品を敷くことを前提に、私に防音設計を依頼されます。
木製家具・木材・敷物による音響調整
帰国されたある契約者(プロピアニスト)は、スタインウェイなど比較的大型のピアノを好んで演奏され、室内にはグランドピアノ以外は、木製家具のみ配置しました。
部分的にラグなど敷物を敷き、木製家具の音響効果を含めて調整されていました。国外ではアパートに居住されていたので、日本と同様に狭い部屋にピアノを置いて練習していたということです。そして、帰国されてからは木造住宅の自宅の約8帖の部屋に大型ピアノを2台入れるため、防音職人に設計を依頼したと言われました。
他の専門業者は、レイアウトや建物構造・部屋の狭さを見て、見積検討でさえ諦めたそうです。私の防音設計は木造・木材を重視しながら、薄い防音構造で提案したので、唯一私の提案だけが採用されたのです。
他の専門業者は天井・床および壁もすべて軽量鉄骨下地と防振ゴムの構造で提案してきたようです。木造には鉄骨や金属フレーム・板の構造は音響的にも、固体音(共振・振動)対策においてもNGでした。
契約者によると国外では、軽量鉄骨で音楽防音室を設計する業者は居ないということでした。
防音ドアも木製建具が最適
私は帰国された依頼者から、外国での練習室の建物構造やレイアウト、インテリアなど詳しい話をまずお聞きすること(ヒアリング)から始めました。
私の防音相談の最初のステップは「ヒアリング」です。どんな木造でもロケーションでも可能性を追求するために、依頼者の演奏環境や考え方をヒアリングすることから始めます。そこに大きな手がかりがあるからです。
狭い部屋には木製防音ドアしか使用しませんが、それは音響効果のためです。金属フレームを使用した防音ドアは採用しません。音響の最適化を追求するために、マイナス要因は排除します。
ピアノは建物全体・室内全体で奏でる楽器であり、木造とくに軸組在来工法がベストだと確信しています。プロピアニストも、私の設計コンセプトに賛成してくれました。
ですが、中には他の専門業者から中傷を受けて迷う人も居ます。それは木造は防音対策には不利であるという思い込みで検討するからです。
そんなことはないです。私のピアニストの練習室やピアノ教室はすべて、木造軸組在来工法の普通の建物です。ドアは木製防音ドアです。
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