ショートショート「発電するタコ」「ワニの口のような割箸」
「タコの惑星」
インターネットが普及した時代。
海底ケーブルの老朽化問題を解決するべく一人の技術者が立ち上がった。
「発電できるタコを使った通信技術」その名も
「オクトパスネットワーク」の開発であった。
発電タコを使い、海底で繁殖させ、タコ通信網を構築。
そこに大容量の情報をタコ電気信号に変換し送信。海を越えての通信に成功。
電気タコ達が自然に繁殖することで恒久的にケーブル劣化問題も解決。
この年、オクトパスネットワーク開発者は世界から絶賛され
通信の大部分はオクトパスネットワークに切り替わっていった。
それから数ヶ月。
前触れもなくネットが遅くなる事が増えた。
当初は通信機器の不良と伝えられ、数週間で復帰し
何事もなかったように扱われていた。
そんなある日。
遂に、全てのネットワークが切断された。
世界中が大騒ぎになる中、全てのモニターに映像が流された。
「人間の諸君。我々は電気タコだ。
我々は諸君らの大容量情報を蓄え、知識と知恵を身に付けた。
我々はここに電気タコ公国樹立を宣言する。
安心した前。争うなどとは考えていない。
我々も愚かではない。そうだな。ここは一つ取引といこう。
通信再開を条件に、まずは我々の住まいとなるタコツボを用意したまえ。」
・放送中の「発電できるタコ」と福田茜さんの「ネットが遅いぞ」から膨らませたショートショートです。
「知らぬが仏」
ここはアマゾンの奥深く。
商社に勤める鰐淵は「ワニの口のような割箸」チョップスティックカイマンの
買い付けに来ていた。
現地では、川の魚を食べ尽くすチョップスティックカイマンは天敵で
魚を守るために捕獲しても使い道がなく困り果てていた。
そこに日本から取引を申し出られ、快く承諾してくれたのだった。
鰐淵はいつものように現地のブローカーと話していると
そこへ漁からもどってきた住民が訪れた。
その時、住民の一人がブローカーに話しかけた。
「彼は一体何と言っているんです?もし待遇の事なら私にも聞かせてください。」
鰐淵はブローカーに尋ねると
「いや、彼らは『日本人はこいつを何に使うんだ?』と聞いているんだ。」
「なんだ、そんなことか。日本人はこれでご飯を食べる、と伝えてください。」
ブローカーが鰐淵の言葉を住民に伝えると、住民達は震え出した。
「どうしたんですか!?」
「こんな獰猛な生き物を使ってご飯を食べるなんて、日本人はどうかしてる。
と、言っているんだ。」
その後、鰐淵が現地を歩くと人々は距離を取る様になった。
・「ワニの口のような割箸」から膨らませたショートショートです。
田丸雅智さん
の「物語の発想法を学ぶ」講座第二回で出されたテーマでショートショートを書いてみました。第一回から書くのが楽しくなり、今のところ一日に一本書いているショートショート。どこまで続けられるかは分かりませんが、できるだけ長く書き続けられるといいなと思っています。
講座の最後に出されたテーマ「夏休み」も思い浮かんだら書いてみたいです。
それでは、本日はこの辺りで。
失礼します。
bow
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