ショートショート「緑と強欲」
「じゃあ、今日は緑と強欲で」
「あいよ!緑と強欲!
そちらは?」
「うーん、前回が黒と情熱だったから
赤と情熱にしようかなぁ」
「あいよぉ!赤と情熱、入りました!」
「赤と情熱ぅ!ありがとうございます!」
人々の「感情」と「色彩感覚」が
自由に取り扱える時代
「その感情を想起させる」色を
提供できるようになっていた
「うん、やっぱり緑の穏やかさと
強欲のコントラストは心が躍るなぁ」
「あー、赤の情熱だなぁ
黒のフツフツっとした情熱もdesire感あって
好きだけど、赤のpassion passionした情熱は
最高だわ」
感情を引き出す、色を楽しむことで
心の動きを楽しむ人々
この娯楽「カラートリートメント」は広く楽しまれ
今では世界中の人が感情豊かに
暮らしを送っていた
だが時折、色と感情の結びつきが解けず
町中で突然
感情の発露を起こしてしまうことが問題となり
カラートリートメントが終わった後は
無の感情で、心の色を脱色しなければ
ならなくなっていった
お題提供:なんきちこさん
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