ショートショート「13月1日」
来年なんて来なくていい
一人の少女の願いが叶えられた
一途な思いが起こした奇跡か
どこかにいる神の気まぐれか
2999年12月31日が終わり
3000年1月1日は訪れなかった
2999年13月1日
その1日の始まりはいつもと同じ朝焼けだった
誰もが信じて止まなかった
12月31日の次の日は1月1日
と言う常識は、いとも簡単に覆された
なぜ13月1日の存在を信じられたのか
それはこの世の全ての日付表示が
元からそうであるかのように
「13月1日」と表記したからだ
人々の暮らしも
まるで元からそうであったかのように
普通に始まり、13月1日の午後を迎えていた
13月1日が滞りなく流れてゆく
一人の少女を取り残したまま
そして、月日は流れ24月31日
誰もが終わらない2999年に慣れ
当たり前のように24月は終わり
25月1日が始まった
彼女の、願いは叶えられた
だが、本当の願い
「来年なんて来なくていい」
と思った、苦悩が無くなることはなかった
お題提供:井上芯さん
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