ショートショート「空飛ぶ3連カラスはじめてのコンビニ」
君は見たことがあるか!
あの3つらガラスを
中崎町の夕暮れの空を飛ぶ
三羽連なって飛ぶあの、みつらガラスを!
あのさんばは、決して
人間の施しを受けないのだ!
たとい、目の前でパン屑を
撒かれても一瞥もくれず
樹木のムロをつつくのだ
その姿にある種の高潔な精神を覚えた人々がつけた名が
みつらガラスなのだ
その、さんばが連なって空を飛ぶ姿を見たものは
その高潔さに自然と深いお辞儀をしてしまうと言う
そんなさんばだったが
昨今の異常気象により、餌のやりくりに苦戦する様になっていた
決して人間の施しを受けない
そう決意していたみつらガラスだったが
ついに、初めて
人間のゴミ袋を漁り、餌にありつく
と言う行為に及ぼうとしていた
その初めてのゴミ漁りを結構すると決めた場所は
ここ、中崎町にあるセブンイレブンだ
だが、今まで自分たちが行うまいと決めていた
自戒を破るとなると誰かにその行いを見られることを恐れた
さんばは、闇に紛れ
夜にコンビニに向かった
初めてのコンビニ
のゴミ置き場
そこは、宝の山だった
さんばは大いに心が躍り
ゴミを撒き散らし
サンバを踊ったと言う
みつらガラスはいまや
堕落の象徴となったのだった
※8月21日に出演した朗読企画にて
お題をいただき、即興で書いて読んだ作品です
お題提供者:槇藤寛子さん
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