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ショートショート「かぶるスピーカー」

「渇き」

水不足が予見される時代。
音楽を浴びるという言葉をヒントに
音をかぶることができるスピーカーが開発された。
音声信号を超振動液体発生機に通すことで
音楽に合わせた液体をシャワーの様に浴びることができる装置だ。
発表当初は得体の知れない液体に受け入れられにくかったが
音楽水を浴びると、少しの間「残り音」として音楽の余韻に浸れる
思わぬ性質が受け、音楽風呂は流行。入浴に使われる分の水が音楽に置き換わり
水不足は解消されると思われた。

ところが。

録音された音源よりも、生演奏で生まれる音楽水の方が効能が高く
より上質な音楽水を浴びるためにアーティストたちの仕事が増え
彼らが演奏で使う飲み水が急激に増加したのだった。

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