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マッチボックスセミナー

概要

録音協会主催マッチボックスセミナー参加してきました。
約2時間半に及ぶセミナーでしたが、ここでは簡単に、部分的にかいつまんで報告します。基本的にDAWを使って映像の音声を編集している方のほとんどには、おすすめできるソフト&プラグインです。
私がProtoolsメインで使用しているため、Protoolsを前提にしています。
セミナーの登壇はソナの染谷和孝さん&音響効果の小島彩さん。

マッチボックスとは

https://tacsystem.jp/products/the_cargo_cult/matchbox
簡単に説明すると、A version→B versionへ映像が変更された時に
A/B 二つのムービー、もしくはAAFの差分を読み込み、
その変更点をプロツールスやNuendoなどに反映させるソフトです。
概要説明すると説明が難しいので、手順を流します

実際の作業手順(今回のセミナーの場合)


1)マッチボックスでA(元動画)とB(改訂動画)の動画ファイルかAAF(もしくは両方)を読み込ませて差分計算させる。

2)マッチボックス上に変更点がビジュアルタイムライン&プレビュー画面がでるので、確認する

3)マッチボックス上で微調整(スキップ可能だが、ここで微調整した方が後々楽)

4)ProtoolsなどのDAW上でプラグインを開き、マッチボックスで調整した結果を読み込ませる

5)指定したタイム上にAの音素材をBのタイムラインに[A]COPY→[B]ペーストを繰り返す。

6)おわり

要するにできること

たったこれだけなんですが、
ピクチャーロック後編集変更が出ても、その修正にかける時間が圧倒的に短くなります。
また、ほぼ同素材を使った60秒→30秒カットダウンなどの場合強力にその威力を示します。
今までの映像編集確定→音作業というワークフローから
映像編集⇄音作業 という事態が起こっても、
映像編集変更によるDAW上の変更作業を、可能な限りローカロリー化することができます。
DAW上で作動するので、こちらはDAW側の設定次第ですが、手作業でCOPY&ペーストできれば、クリップだろうが、オートメーションだろうが、関係なく結果を残します。

手順3)でマッチボックスが、「映像の内容は変わってるけどシーンは一緒、つまりベースノイズは変える必要なくね?」
ってマークをつけてくれるんで、そこを確認してマッチボックス上でその処理をしておけば、DAWでも一つのセンテンスとして処理してくれます。

その他細かい話

僕のひねくれた質問にもセミナー登壇者に答えてもらいまして、
Aが複数の場合、つまりは総集編とかでも、
元動画が12話なら12話分の動画ファイルと最終的にまとめる映像BがあればOK
(つまり#1のコピペを終えたら#2のコピペと繰り返すことで1つのタイムラインにまとめることが可能)
これって、アニメ音響製作者歓喜なんじゃないですかね?
僕の経験上アニメの総集編って組むだけで1日とか普通にかかるので・・・・。

またCOPY&ペースト作業は、選択トラックに対して作動するので、
ベースノイズなどのSEだけに反映させるとか、
逆にMusicのボリウムデーターは持ってこない(ちょっとレアケースですが)みたいなことも可能です。
ソフトはちょっと高いですが、年に2回以上こういうことやる方は「買い!」だと思いました。
本編→予告編も相当早くできる。
映像の差分違い計算は、カット内容から、画面内の合成違いの指摘もしてくれる。もちろんテロップが変われば指摘してくれる。いやあ、目からウロコでした。

さらに、開発者談話紹介

EDLでの差分計算はかなり詳細なEDLを仕様に合わせた形で書き出さないとうまく作動できないので、ムービーファイルやAAFの方が早いし確実との話。

差分計算は裏で走らせることが可能なので、その隙に昼飯でも食べておいでとの話。

MIXとかSTEMの場合は映像ではなく音声でも差分計算可能、(素材だと無理ではないけど違いを多数見つけるんで・・)こちらはセリフの場合はOFF台詞のタイムング変わったりする際には有効なので、セリフの編集バージョン違いはこれの方がいいこと多いとの話。

まとめ

特に予算が少ない場合、ワークフロー上ピクチャーロック後からしか音響作業に入れないことが多々ありますが、いわゆるラッシュをただ繋いだだけの状態から整音初めてもそれが、後々無駄や再編集時重荷にならない。
って点だけで買いですわ。振り返ると公式の動画がめっちゃいいので、それを見るだけでも良いです、おすすめです。

イベント詳細
<開催日時>
2024年9月26日14時~
<開催場所>
株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
竹芝メディアスタジオ 第一試写室
講師:染谷和孝、小島彩
協力:タックシステム株式会社
司会:高木創
主催:日本映画・テレビ録音協会

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