天使を連れてきた女性と私の前世の話
「ユウちゃんにね、会わせたい人がいるの」
私の友人が知り合いの女性Mさんと一緒に、私の家に遊びに来ました。Mさんは海外で暮らすようになってから覚醒し、チャネリングを学んだという人です。
始めはお茶をしながら、たわいもない話をしていました。私はMさんの後ろの白い壁が気になって仕方ありません。だって、さっきからやたら光って見えるのです。
壁の方をじっと見ていると、
「ユウさん見えるの?」
とMさんが言いました。
「あ、はい。壁のところで大きな輪のような光がキラキラとエネルギーを放ってますよね」
「やっぱり、見えるのねぇ。話は聞いてたけどすごいね。今日はあなたのために大天使を連れて来たのよ」
Mさんはクスクスと笑っています。
そして「あなたの前世の話をしましょ」と言ってくれました。
私は魂の片割れが誰か分かっていること、前世の記憶が蘇ってきていること、彼との前世でのできごとを話していました。
「最近、前世で彼とした大切な約束を思い出したんです」
「それって、あの古い小屋で会ってた時のこと?」
そう。
どうあがいても、結ばれるはずのないふたり。絶対に誰も寄り付かない廃屋で、人目を忍んで会っていた私たち。その時に交わした「生まれ変わったら一緒になろう」という約束。
私の前世の記憶を共有してくれたことに、思わず安堵のため息が漏れました。
「キリストが生まれた小屋よりもボロボロだったわね」
泣きそうになっている私を笑わそうとしています。
「でもね、ユウさん。それに気がついたからこそ、あなたは今を生きないといけない」
Mさんは微笑みながらも強い口調で、私にそう告げたのです。
その言葉が本当にショックでした。
だって、ようやく私たちの関係性を見出すことができて、ようやく彼との約束を思い出すことができた。やっとの思いで辿り着いたこの世界を、手放さないといけないの?そんなの嫌だ。もう苦しむのは嫌だ。
その時、私の内側でもうひとりの自分が泣き叫んでいるのを感じていました。
彼女は別れ際にも「きちんと今を生きなさいね」とそう言って帰っていきました。
ひとり残された私の心は、前世を共有してくれた嬉しさと、彼との関係を否定されたような悲しさが入り混じっていました。
その時の私は、自分の過去世と彼との関係性に執着していた頃だったのでしょう。
彼とを結ぶ精神世界と、この現実世界に線引きをしていたのかもしれません。ただ、その時はそうすることで心のバランスを保っていたのかもしれない。
でも今の私はしっかりと今を生きていると自信を持って言える。
なぜならば私たちが、精神世界と現実世界の両方に存在しているのが分かるから。それをきちんと感じられるようになっているから。
Mさんと会ったのはその一度だけ。
彼女を連れてきた友人が後日、
「ふたりだけ別次元だった!私は圧倒されちゃったよ」
と、興奮気味に話してくれたんだっけ。
こうやって思いだしては改めて、私はここまでたくさんの人に支えられて生きてきたのだなと、感謝の気持ちでいっぱいになるのです。