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Spector NS-2J

我が愛機の1983年製のSpector NS-2Jでございます。
2010年に当時としても割とお手頃価格にて入手した一本で、1984年製のNS-2と気分によって使い分けています。

NS-2に対して廉価版のNS-2Jという位置付けではありますが、日本国内に於いては後藤次利氏の使用機種ということもあってか人気の高いモデルです。3年の製造期間中に僅か276本しか製造されておらず、マニアも垂涎の1本であることは間違いないようです。

入手当時はフロントピックアップが故障していたり、ヘッドのロゴシールの印刷が消失しかけていたりとリペアしがいのある状態でしたが、トラスロッドを含むネックの状態が良好だったことが一番の収穫でした。

ピックアップはいったん現行のEMG SJに換装しましたが、やはり拘ってeBayにて同年代のキャラメルバック(茶色樹脂封入)を入手。また、ヘッドロゴもしっかりと復元しました。

ボディ形状は同じながら、NS-2と比較するとかなりの相違点が見られます。もっとも違う部分はNS-2がスルーネックなのに対してNS-2Jはボルトオン(デタッチャブル)ネックという点。スルーネック構造はボディーと一体になっていることから、製造時にかなりの手間が必要となりコストアップとなります。逆にボルトオンであれば最終の組み込みまでボディーとネックを別々に仕上げることが出来るので、ハンドリングの問題やスペース的な問題も含めて行程を簡素化できコストダウン出来るということらしいです。細かい部分にも相違点は見受けられ、ヘッドロゴはNS-2がシェルのインレイに対してNS-2Jはシールが貼られているだけ。それ故にこのシールが劣化してロゴが消えてしまうという現象が起こります。またNS-2のクラウンインレイ(ドットのモノも存在します)に対してNS-2Jのドットポジションマーク、NS-2がパーフェロー指板に対してNS-2Jはローズウッドを採用するなど、随所にコストダウンの痕跡を見ることは出来ます。ただし楽器としての完成度はしっかりと維持されていて、弾き具合や音色にコストダウンの影響を感じることはないように思います。
廉価版という位置付けではありますが自分にとっては楽器としての完成度という点では全く遜色も無く、むしろ対等にNS-2との使い分けが出来るレベルだと感じています。

その他ハードウエアに関しては、バダスブリッジ、シャーラーM4、HAZ LAB.プリアンプなど、 NS-2と同じグレードのモノが使用されています。ピックアップはEMGのJJタイプですが、前後共にフロントサイズのSJが使用されています。実はEMGのLJとSJはサイズ以外は同じように見えますが、LJはバー状のコイルが1個に対して、SJは2個のコイルが低音弦側と高音弦側に1つずつ並べだスプリット状に配置されています。このことから音色については通常のJJタイプとは微妙に異なるように感じます。

重量は4.0Kgと軽量で、ボディーバランスも良好。弾き心地は細いネックのお陰で、NS-2とまったく遜色のない非常にプレイヤビリティーに優れたものとなっています。音色はやはりEMGらしく独特の透明感と張りがあって素晴らしいものです。


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