プレイアブル 006『新しい味から相手の人生の背景を想像する』
博多うどんを生まれて初めて食べた。正直、美味しさに驚いた。出汁が、とてつもなく美味しくてびっくりした。私は群馬出身なのでしょうゆベースのカツオ出汁で育ったのだが、この博多うどんは未知の味だった。一口スープを口に含んだ瞬間、そのふんわり優しいのにも関わらず何か強く惹き付けられる香りに、思わず目を見開いた。そのあと、鼻から抜けていく出汁を何度も鼻をふんふんさせながら確認してしまった。強く惹き付けられるのは、塩っけでもなく、旨みでもなく、優しいのだがなぜか甘く惹き付けられる鼻から抜けていく香りと味わいである。未知の存在感で私を圧倒した。柔らかいうどんが、その優しさを強調した。
お店の人に、何の出汁のスープなのか伺った。サバと、いりこと、イワシの出汁なのだそうだ。カツオやアゴは一切入っていないとのこと。生まれて初めての味に感動してしまい、しばらく身動きが取れないくらいプルプル震えた。味わって食べていると気づいたら、頼んでもいないかしわめしが小さい器に入って目の前に置かれていた。「良かったらこれも食べて。あなたとても美味しそうに食べるから嬉しくなる」と。そんな、神様、、ありがとうございます。。幸せです。。
博多うどんに興味を持った理由は2つある。1つには、麺がすごく柔らかいうどん、という世界を私は未だ体験したことがなかったこと。もう1つは複数人いる福岡出身の知り合いの人の、料理に対する『愛』の感じ方や表現の仕方が、何か他の人とは違うような、そんな感覚をここ最近強く感じ、それを少しでも理解できるために知りたいという欲求であった。
異なる地域に生まれた人と同じ釜の飯を食らう時間を持つこと。その人々の育った味を知ること。その時間は相手の人生の背景について、より深く知り、考え、想像したい気持ちにさせてくれる。どんな料理が好きなのか、食べ方1つ取っても同じ様に感じ、同じように行動する人というのはこの世に1人もいない。みんな違う。だからこそ、その小さな違いの根っこに、人はどんな物語を抱えながら生きているのか、知りたくて仕方なくなる。出かけ、味わい、考え、想像しながら私はいつもプレイアブルに新しい味を感じ尽くす。
出会う『人』『物』『場所』が感じさせてくれる幸せ、感動。一人でも多くの方に『胸が震える』をおすそ分けをさせていただくために、あなたのサポートを最大限活用させていただきます。よろしくお願い致します。