エモくない映画分析 / 股旅ナスカ

うつを患い、エモさに疲れた映画好き。今、話題の映画「以外」について書きたいように書きます。 【ブログ】http://soul-jam.hatenablog.com 【夫婦YouTube】https://t.co/Nn2foySFQj

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我々は『オタク飽食の時代』をいかにして生き延びていくか

飽和状態になるあまり、美味しんぼ化する映画オタク界。旧世代の生きる道は。 「好きなものを好きでいることがつらい」時代の到来 ここ数年、オタクでいることが辛いのです。 私自身、以前であれば、こんな感覚に陥ることがあるとは思ってもみませんでした。 ともかく、楽しかったはずのオタク人生は色あせ、ときに嫌気が差すこともあるのです。 オタク論に深入りすると深淵にとらわれてしまうので、本稿でいうオタクとは、『何かを愛好し、それに対して何らかの追求するアクションをする人』という程度

    • 怪獣教の布教映画、そしてトンデモ核描写。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

      ゴジラマニアの監督が偏執的な情熱をもって作り上げた『異形の映画』。 パラノイア的な巨大なカタルシスに圧倒されるが、VSシリーズの負の遺産を受継ぐ側面も。 ※ネタバレあり 常軌を逸した映画 いきなりですが、この映画はまったく常軌を逸しています。 映画の体を装ってはいますが、やっていることは「ゴジラ漬けの幻覚トリップ映像集」のようなもの。監督の妄執に付き合わされる132分です。 ただし、その妄執は、並々ならぬ情熱と莫大な予算によって巨大なスケールで迫ってくるので、観客は

      • 大きいミニチュアは、幸いである。『キングコングの逆襲(1967)』

        ミニチュア特撮好きには感涙の一作。しかしその実、陰の主役は天本英世だったりもする。 写真でしか知らない子供にも通じた、「別格」の威風 本作は、日本の"特撮の神様"こと円谷英二が手がけた最後の映画であって、とくに特撮シーンの出来ばえについて未だに語り草になっている作品であります。ですから、クラシックな特撮ファンにとっては、もはや必修の作品と言ってよいでしょう。 本作についての私の原体験は、子供の頃に見た怪獣図鑑の本にさかのぼります。 90年代当時は配信サービスなどなく、レ

        • 子を授かった直後に観た映画は、身も凍るネグレクト・ホラー映画だった『来る』(2018)

          うつからの回復期、念願の赤ちゃんを授かったと思った矢先、それと知らずに見た映画が、じつは「人の親」初心者にとって、この上なく恐ろしい作品だったというお話。 子供を授かった喜びの中、突きつけられた刃 この映画を鑑賞したのは2020年。ちょうど妻のお腹に新しい命が宿り、そのことを知った後すぐのことでした。 妻との子供は念願であり、私はかつてない喜びの中にいました。 さて今回は、その喜びも冷めやらぬうちに観た映画が、よりにもよって『来る(2018)』だったという話です。 前

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          君はつらい日常を忘れずにいられるか?『宇宙大怪獣ギララ』(1967)

          本作は、松竹が怪獣ブームの影響を受けて制作した、ほぼ同社唯一といえる怪獣映画です。 本作は特撮界隈では相当に有名な作品でもあります。 『ストーリーの破天荒さ』『耳について離れない洗脳ソング』『低予算感あふれる特撮』と、味わい深い映画の必須要素をこれでもかと備えているため、好事家にはたまらないカルト映画とみなされています。 Wikipediaによれば上映時間わずか88分だそうですが、とてもそうとは思えないほど、体感的には長尺に感じます。 これは「退屈」という意味ではなく、と

          君はつらい日常を忘れずにいられるか?『宇宙大怪獣ギララ』(1967)

          昭和ガメラと侮るなかれ『大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス』(1967)

          昭和ガメラだからと過小評価されているのではないか。怪獣映画として文句なく名作。 前作『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』はこちら とかく、昭和ガメラというのは、見くびられがちです。 その裏には、複数の要因があると思います。 そもそも制作経緯からして、東宝の特撮映画に対抗して作られた後発作品であること (シリーズ途中から)ウルトラQ以降の第一次怪獣ブームに便乗している感があること シリーズが進むごとに進行する「子供向け化」と「低予算化」 そして、平成ガメラ3部作という優

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          『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』(1966) 意気込みやよし!ただ、ちょっとだけマジメすぎ?

          ガメラVS敵怪獣というパターンの幕開けとして、非常にマジメな一作。昭和ガメラへの偏見をリセットして鑑賞したい。 『子供の頃に観たけど今や断片的な記憶しかなかったり、好きなシリーズなのに歯抜け的に見逃してた作品』を見返して、大人になった今だからこその、再評価すべき点や新しい魅力を紹介できればと思います。 『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』(1966)から参りましょう。 『昭和ガメラは子供が主人公』『子供を喜ばすための映画』というイメージが強かったので、あらためて観た『ガメラ対

          『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』(1966) 意気込みやよし!ただ、ちょっとだけマジメすぎ?

          『ブラックパンサー(2018)』高らかなアフリカ賛歌は、人類すべてを魅了せんとす

          元祖・黒人スーパーヒーローは、MCUで魅惑的なアフリカ賛歌になりました。特筆すべきは、『出発点からポジティブな黒人映画』であることの斬新さか。 ※過去のブログ記事の再編集版です。 『歴史的傑作』という、ものすごい前評判 話題沸騰中のMCU最新作『ブラックパンサー』をようやく観てくることができました。 本作について何がすごかったといえば、想像を絶するほどの前評判でしょう。 日本公開前から海外メディアや評論家の評価が伝わってきていたのはいつも通りですが、その高評価ぶりが

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          『マイティ・ソー バトルロイヤル』インフィニティ・ウォーに向けてMCUの偉業を讃えよう

          北欧の雷神ソーの単独タイトルの3作目にして、娯楽に徹した愉快なスーパーヒーロー映画。それにしても、MCUの安定感と『徐々に観客を馴らしていく』巧妙さには舌を巻くばかり。 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』が(色々な意味で)旋風を巻き起こし、『スタートレック ディスカバリー』の配信再開を間近に控えた昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。 ※2018/1/2公開記事の再掲です。 さて今回はそれらの話題に一切ふれず、当ブログでは初めてMCU作品をとりあげます。 私の関心のま

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          『宇宙からのメッセージ』(1978)邦画衰退期の「スター・ウォーズのまがい物」だと切り捨てるには、惜しい

          公開40周年記念!『スター・ウォーズのパクり映画』と看過されがちな特撮SF作品。しかし実際に見てみることで、たぶん印象が変わると思ったので紹介します。 ※2018/4/29に公開した記事の再掲です ちょうどこの記事を書きかけていたところ、Twitterで今日は宇宙からのメッセージの公開40周年記念日だという事実を知ったので、急いで書き上げました。 ということで、東映が1978年に公開した特撮SFアドベンチャー映画『宇宙からのメッセージ』についての誤解を晴らし、その独特の

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          『スタートレック BEYOND』トレッキーによる悲喜こもごも。リブート版に足りないものとは?

          新規ファンを獲得し順風満帆のスタートレックはどこに向かうのか? ※2017/8/17に旧ブログへ書いた記事の再掲です。 J.J.エイブラムスの新生『スタートレック』劇場版シリーズ。 その最新作が『スタートレック BEYOND』であります。 本作自体はけっこう面白く、映像の美しさや盛り上がる演出の数々には、シリーズ通して満足です。 しかしながら、スタートレックのファンとして思うところも多くありました。 そういう訳で今回は、2009年の11作目から始まったTOSのリブ

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          『スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』は、SW信者にとって「踏み絵」かもしれない

          新三部作の完結編は、スター・ウォーズで育った僕らに、現実を突きつけてくる。 今こそ、シリーズへの信仰を試される分水嶺。心して観ましょう。 前作までの記事 【※I've got a bad feeling about this! 】 (ネタバレ注意!) はじめに 虚しい。 『スカイウォーカーの夜明け(以下ROS)』を観た直後、そう思いました。 悲しい。 賛否両論が渦巻く、ネットの世論を見て思いました。 色んな意味で特大級の爆弾であった『最後のジェダイ』から、は

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          『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の評価を整理して、心の平穏を得ましょう

          シリーズ40年目にして投下された、超特大の爆弾映画。 肯定派・否定派に分かれ物議をかもした本作について振り返り、安眠できるようにしたいと思います。 (※2018/2/20に執筆したブログ記事の転載です) 【※I've got a bad feeling about this! (ものすごく長文なので注意!)】 『最後のジェダイ』という爆弾スター・ウォーズは、その長い歴史の中で物議を醸す『地雷』のようなトピックを多く抱えており、ファン同士の論争を何度も経験してきたシリー

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          『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』を観るための心構えとして『フォースの覚醒』を振り返る

          世界一の愛されシリーズ、スターウォーズの新たな三部作! その2作目となる『最後のジェダイ』公開を控えた今、心構えをするべく『スター・ウォーズ フォースの覚醒』を振り返ります。 【※201712月執筆『フォースの覚醒』の視聴を前提とした振り返り記事になります。】 『スター・ウォーズの新作を迎えるにあたっての心構えが必要』な面倒くさいファン精神 さて、来る12/15、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』が公開されます。 私にとって「スター・ウォーズ」は原体験として非常に

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          うつになってからアニメを見るのがしんどい

          妻子を養うために働く毎日である。 うつ症状は安定している。 抗うつ剤と睡眠剤による治療は続いており、「寛解」というにはまだ遠いようだが、経過としては悪くないのだという。 仕事と育児の負荷がありながらも、薬のおかげでセロトニンのバランスがとれている。ならば回復傾向だ、ということらしい。 ところで、子供のためだと称して、10数年ぶりにテレビを買った。 長いことテレビから離れていたので、新鮮な体験が多い。 地上波以外にも、Amazon Fire TVにより、いくつかのサ

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          うつ治療中なのに新しい命を授かった

          ※2020年11月にブログに書いた記事の再掲・加筆修正版です。 うつの治療を続けているのだが、半年後に子供が生まれることが分かった。 そもそも私のうつは、結婚、引越し、思い入れのある愛車の売却…などの人生の大事件が連続したことに続き、さらに仕事上の繁忙期が重なって、感情がオーバーロードしてしまったことに端を発する。 一度に襲いくる人生のプレッシャーに耐えられなかったのである。 一時は症状もひどく、どん底かと思ったが、ここ数カ月、身体的な症状はかなり軽くなってきた。 いち

          うつ治療中なのに新しい命を授かった