中国知識産権局 特許権補償期間の年会費基準等に関する通知を公表
2024年8月6日、中国国家知識産権局(CNIPA)は、「特許権補償期間の年会費基準と関連する減免制度」に関する通知を発表しました。
この通知は、特許権者が特許の保護期間中に直面する不合理な遅延を補償するための重要な政策に関するものです。本記事では、特許権補償期間制度の概要と新しい年会費基準、PCT出願に関する費用免除制度について説明します。
特許権補償期間制度について
(1)導入までの流れ
中国での特許審査の遅延は、特許権者にとって長年の課題でした。また、新薬関連特許は、市場承認までの期間が長く、特許権保護期間が実質的に短縮されてしまうという問題がありました。
これらの問題を解決すべく、2021年の中国特許法改正時に特許権補償期間制度が正式に導入されました。この制度は、審査手続きの遅延を補償する「一般特許権の存続期間補償」(PTA)と、新薬販売承認の遅延を補償する「医薬品特許権の存続期間補償」(PTE)の2つの制度から成り立っています。
そして、上記通知によって、これらの補償を受けるための要件や手続きについての詳細が明確にされました。
(2)特許権補償期間請求の要件と手続き
●対象
PTA:出願日から4年、かつ、実質審査の請求日から3年を超えて特許が付与された特許
PTE:中国で販売承認が得られた新薬関連特許
※どちらも2021年6月1日以降に登録された特許のみが対象となります。
●請求期限
特許権者は、CNIPAに対して特許権補償期間の請求を行う必要があります。請求期限は、以下の通りです。この期限を過ぎると、補償を受ける権利が失われます。また、請求時に、請求料(1件200元)を支払う必要があります。
PTA:特許付与日(公告日)から3か月以内
PTE:販売承認日から3か月以内
※2024年7月26日以前に特許権存続期間の補償請求を行った場合の請求期限は、2024年10月26日まで
●年会費
CNIPAは、特許権者からの請求を受けると、特許期間補償の可否と補償期間を決定し、その結果を特許権者に通知します。特許権者は、所定期限までに、年会費(1年8,000元)を支払う必要があります。
なお、補償期間が1年に満たない場合、補償はされません。
PCT出願に関する減免制度
CNIPAが受理官庁のPCT(特許協力条約)出願であって、CNIPAが国際調査報告書等を作成した出願について、出願費用や審査請求費用が免除される制度が導入されました。
施行日
この通知の施行日は、2024年7月26日です。
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