発明特許再審査の加速審査制度(AEPRe)について
2024年9月1日、経済部智慧財産局は「発明特許再審査加速審査(Accelerated Examination for Patent Re-examination: AEPRe)」制度の試行を開始しました。この制度は、再審査プロセスの大幅短縮を目的とするものです。既に15日間で再審査結果を得た案件も出てきました。
本記事では、この制度の概要、利用条件および企業が受けることのできるメリットについて解説します。
AEPRe制度とは?
AEPRe制度は、特許審査のスピードアップを目的とした制度です。AEPReを利用することにより、初審の審査結果を活用し、再審査での判断時間やコストを削減することができます。この制度を利用した場合、再審査を希望する出願人は、原則、再審査請求から6か月以内に審査意見通知や審定書を受け取ることができ、特許審査の迅速化が期待されます。
AEPRe制度を利用できる条件
AEPRe制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
適用案件
初審の審査結果で、請求項の一部が拒絶されている発明特許の再審査案件。
申請タイミング
「再審査通知書」が発行されてから「初回の再審査意見通知書」が発行されるまでの期間内にAEPReの申請を行うこと。
以下の補正を行うこと
・拒絶理由がある請求項を削除すること
・拒絶理由のない従属項を独立項に書き換えること
・項番号や依存関係の調整、新たな従属項の追加も可能
AEPReの申請書の記入例など、AEPReに関する詳細なガイドラインについては、経済部智慧財産局の公式サイトに掲載されています。
AEPRe制度を利用するメリット
AEPRe制度は、特許取得を目指す企業にとって以下のようなメリットがあります。
特許取得の迅速化
従来の再審査では、審査完了までに通常10~13ヶ月かかっていました。しかし、AEPReを利用すれば、通常、6か月以内に結果の通知を受けることができます。
上述のように、15日で審査が完了した例も出ています。企業知財部としては、早期に結果を受けることができるため、競争力を維持しやすくなります。
コストの削減
AEPReは、初審結果を基に再審査を進める制度であるため、出願人にとっても審査負担の軽減が期待できます。これにより、知財部のリソースを他の重要な知財戦略に集中させることもできます。
最後に
AEPRe制度の導入により、再審査に要する時間を大幅に短縮できる可能性が高まりました。特許取得の迅速化は、市場での競争力を高めるだけでなく、企業の知財戦略をより効果的に進めるための重要な要素と思われます。ぜひ、AEPReの積極的な活用を検討しましょう。