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中小企業の成功を支える知的財産権の活用「知財活動事例集 ~中小企業の舞台裏 14事例~」



はじめに

知的財産権は、大企業が取るものと思われがちですが、むしろ、中小企業が市場での競争力を強化し、持続可能な成長を実現するための重要なツールの1つです。今回は、日本特許庁が刊行した「知財活動事例集 ~中小企業の舞台裏 14事例~」に基づき、知的財産権を効果的に活用して成功を収めた中小企業の事例を紹介し、その成功の秘訣を解説します。

知的財産権の重要性

知的財産権は、企業の技術、デザイン、ブランドなどを保護し、他社からの模倣を防ぐ権利です。これにより企業は独自の競争力を持ち、市場での優位性を維持することができます。

成功事例の紹介

(1)株式会社ミヤゲン
株式会社ミヤゲンは、ポリ袋等の包装資材の製造・販売を主たる事業とする福井の会社です。
世代交代を機に、アイディア創出の仕組みを整備することで、従業員全員が積極的にアイデアを出せる環境を整えました。これにより、約30名の従業員から、なんと毎年1,000件以上の改善提案が生まれています。また、知的が関連しそうなものは、弁理士の確認を受けた上で、権利化や市場投入に至っています。

(2)ナカムラマジック株式会社
ナカムラマジック株式会社は、精密金型設計製作 精密プレス部品加工を主たる事業とする長野の会社です。
職人個人の技に依存していた現場の業務のデータを整理(見える化)し、デジタル化することで、業務の効率を図りました。また、この手法の名称である「ナカムラマジック」を商標登録しました。
さらに、この手法を14の工法に整理し、技術の見える化を進めたことで、共同研究や海外展開が容易になり、競合他社の参入障壁を築いています。

(3)株式会社トライテック
株式会社トライテックは、製鉄・土木用工具の設計・ 製造、医療機器の開発を主たる事業とする大分の会社です。
製品開発の初期段階で積極的に市場や他社の情報収集・分析を行うことで、顧客ニーズに基づく製品開発を進めています。また、構想段階から特許調査を行うことで、他社権利の抵触の確認のみならず、競合他社の動向を把握し、自社の技術開発に活用しています。

成功事例の共通点

以上3つの企業の成功事例に共通しているのは、

  • 知財活動の体系化: 企業は知財活動を体系化し、全社的に取り組んでいます。

  • 従業員の積極参加: 全従業員がアイデア創出に積極的に参加しています。

  • 専門家の活用: 弁理士や専門家の助言を受け、知財戦略を効果的に進めています。

  • 技術とブランドの見える化: 技術やブランドを見える化し、社内外で共有しています。

でしょう。特に、特許情報や市場情報を収集&利用して自社製品・サービスに取り込むとともに、また、外部専門家を積極的に活用しています。


まとめ

知的財産権の取得は、中小企業が市場での競争力を高め、積極的な販売・宣伝活動を行うための重要なツールです。成功事例からもわかるように、知財を戦略的に活用することで、企業の持続可能な成長を実現できます。

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