「中小企業のSDGs推進に関する実態調査」が公表されました
2024年7月付けで、独立行政法人中小企業基盤整備機構が「中小企業のSDGs推進に関する実態調査」を発表しました。
この調査は、全国の中小企業2,000社を対象に、SDGsに対する認知度や取組状況、課題、支援策などを分析したもので、中小企業におけるSDGsに関する現状と課題が明らかになりました。
以下に、調査結果から浮かび上がった中小企業のSDGs推進のメリットや課題、そして日本全体でのSDGs達成に向けた中小企業の役割について解説します。
中小企業がSDGsを推進するメリットとは?
調査によれば、「現在すでに取り組んでいる」「現在は取り組んでいないが、今後は取り組んでいく予定」と回答した企業の割合は34.6%であり、3割強の企業がSDGsに対し積極的な姿勢を見せていることが分かります。
また、SDGsを導入する目的として最も多かったのは「企業の社会的責任」で、47.5%の企業がこの点を挙げています。また、32.2%が「企業イメージの向上」を、29.7%が「従業員のモチベーションの向上」を理由としています。
SDGsを推進することは、企業の社会的信用を高めるとともに、社内外でのポジティブなイメージ形成に繋がり、従業員の意識改革やモチベーション向上にも寄与すると言えます。さらに、SDGsへの取り組みは、「新たな事業機会の獲得」や「取引先との関係強化」にも繋がり、長期的な経営の安定性や成長を支える要因となります。
このように、中小企業にとってSDGsは単なる社会貢献にとどまらず、ビジネスの成長エンジンともなり得るのです。
中小企業のSDGsに当たっての課題
一方で、SDGsの推進にはいくつかの課題が存在します。
最も多く挙げられた課題は、「取り組むことによるメリットがわからない」(16.8%)、「何から取り組めばよいのかわからない」(16.3%)というものでした。また、「取り組むための資金が不足している」(14.9%)という回答も多く、中小企業にとって、具体的なSDGs実行に至るまでの道のりが困難であることが浮き彫りとなっています。
これらの課題は、SDGsの意義や具体的な取り組み方が十分に理解されていないことに起因しており、特に小規模企業ではその傾向が顕著です。また、資金や人材の不足も、大企業に比べてリソースが限られている中小企業にとっては大きな障害となっています。
課題を解決するには?
上掲した課題を解決するためには、まずSDGsの意義や取り組み方法に関する情報を収集し、社内で共有することが重要です。
調査でも、「SDGs取組事例の公表」や「SDGs推進指針の策定・公表」が行政機関に対する支援策として求められていることが浮き彫りになりました。そのため、今後はこれらの情報が、行政機関から積極的に開示・公表されていくものと期待されます。新しい情報をタイムリーにキャッチアップすることで、社内でのSDGsへの理解と実行を促進することが肝要です。
また、「補助金・助成金」や「低利融資・債務保証」などの資金支援のニーズも多く、これらのニーズに対する行政機関のサポートの拡充が期待されます。
SDGsを推進するために中小企業に求められる役割
日本がSDGsを達成するためには、中小企業の積極的な参加が不可欠です。中小企業は地域経済の担い手であり、その取り組みが広がることで、地域全体にSDGsの波及効果をもたらします。これにより、持続可能な社会の実現が一層加速するでしょう。
中小企業には、自社の経営とSDGsの目標を結びつけ、新たな価値を創出する役割が期待されています。政府や支援機関が提供する支援策をうまく活用し、SDGsに取り組むことで、中小企業自身も成長を遂げ、社会全体が持続可能な発展を目指すことができるのです。
以上のように、中小企業がSDGsに取り組むことは、自社の成長と社会貢献の両立を可能にし、ひいては日本全体のSDGs達成に向けた重要な一歩となります。
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