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2024年9月調査結果が発表されました — いま企業が取るべき対応とは?

2024年9月の商工会議所LOBO(早期景気観測調査)が発表され、企業の賃金動向や経営環境に関する最新のデータが明らかになりました。厳しい経営環境にもかかわらず、多くの企業が賃上げを実施していますが、原材料費の高騰や人手不足といった課題が深刻化しています。特に中小企業の経営者は、賃上げの実施、価格転嫁、外国人労働者の雇用といった戦略的な対応が求められています。


賃上げ動向 — 企業の67.6%が賃上げを実施

今回の調査によると、67.6%の企業が賃金を引き上げ、前年同月から3.2ポイントの増加を記録しました。特に注目すべきは、3%以上の賃上げを行った企業が64.6%に達し、前年同月比で11.9ポイントも増加している点です。物価上昇に対応した賃上げが進んでいることがうかがえます。

しかし、63.5%の企業は「業績が改善していないが賃上げを実施」と回答しており、賃上げが必ずしも業績の改善によるものではなく、防衛的な賃上げとして行われている状況が続いています。特に中小企業では、従業員の定着やモチベーション維持のため、業績に関わらず賃上げをせざるを得ない状況が強調されています。

業種別の動向と対策

  • 建設業、製造業
    賃上げを実施する企業が7割を超えています。これらの業種では、公共工事の受注や自動車・電子機器関連の需要が堅調な一方、専門人材の不足が課題として挙げられています。特に、中小企業においては、人材確保のために、賃上げだけでなく働きやすい職場環境の整備が急務です。

  • 卸売業
    賃上げ率は建設業・製造業と小売業・サービス業の中間でした。包装資材や輸送費等のコスト負担は続くものの、電子機器関係・夏物商材の需要に下支えされています。ただし、円安の影響はいまも続いており、上昇コストの価格転嫁がカギになっています。

  • 小売業、サービス業
    賃上げ率が低水準
    にとどまっています。消費者の節約志向が続き、売上が伸び悩む中、賃上げの原資を確保することが困難になっているためです。価格転嫁が進まない一方で、競争力を維持するために付加価値サービスの提供や効率化を推進することが重要です。

今後の見通し — 不透明な経済環境に対する備え

調査結果によると、今後の経済状況に対して多くの企業が慎重な姿勢を示しており、特に経営環境の不透明さが賃上げを行わない理由として最も多く挙げられています。原材料費やエネルギーコストの上昇が企業収益を圧迫し、価格転嫁が追いついていない状況です。
また、個人消費の低迷が続いており、特に中小企業にとっては厳しい局面です。政府の支援策や電気代補助が一部で期待されていますが、抜本的な改善にはまだ時間がかかりそうです。

人材不足に対する外国人雇用の活用

人手不足の解消策として、外国人労働者の雇用が注目されています。今年度の入管法改正により、従来の技能実習制度が廃止され、新たに育成就労制度が導入されます。この制度は、外国人労働者が長期的に日本で働き、スキルアップできる環境を整えることを目的としています。
中小企業にとって、この制度の活用は人材不足を補う有力な手段です。しかし、外国人労働者の受け入れには準備が必要です。

中小企業が取るべき行動

今回の調査結果を受け、中小企業の経営者にとって重要なポイントは、賃上げや人材確保に向けた長期的な視点での戦略的対応です。特に、外国人雇用や価格転嫁の進展がカギとなるでしょう。特に、中小企業経営者にとっては、これらの要素を踏まえて柔軟に戦略を練り、持続可能な成長を目指すことが重要と考えられます。

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