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【台湾】特許法改正案公表 - デジタル産業の成長に対応した新しい知財保護の枠組み-
台湾経済部の智慧財産局(TIPO)は、最新の特許法改正案を公表しました。今回の改正案は、急速に進化するデジタル技術やグローバルな知財保護のトレンドを反映したものです。この改正は、特にデジタル産業における企業にとって大きな影響を及ぼすと期待されています。本記事では、今回の改正案のポイントを分かりやすく解説していきます。
デジタル画像デザインの保護対象を拡大
本改正案では、デジタル技術を活用した画像デザインを意匠特許保護の対象に拡大することが提案されています。これにより、従来の「物品」に限定されていたデザインの適用範囲が緩和され、グラフィックデザインも保護されるようになります。例えば、アプリケーションやウェブサービスのUI/UXデザインも衣装特許の対象となる可能性があります。これは、デジタル産業でイノベーションを生み出している企業にとって非常に有益な改正です。
多くの近似デザインを一括して出願可能に
また、国際的なトレンドに合わせて、「複数の類似デザイン」を一括で出願できる制度が提案されています。EUや米国の例に倣い、複数の類似デザインを個別に出願する必要がなくなるため、手続きの効率化が期待されます。これにより、企業はより迅速かつコスト効率の高い形でデザインを保護できるようになります。
優先期間が12か月に延長
本改正案では、意匠特許の優先権主張期間の、現行の6か月から12か月への延長が提案されています。これにより、企業は意匠特許出願の有無をより長く検討できることになり、より慎重かつ戦略的に意匠特許の出願を行えるようになります。
意匠特許の分割の時期が柔軟に
現行では、意匠特許申請の分割は、「原出願が再審査されて承認される前」しか認められていませんでしたが、本改正案では、再審査後(原出願または再審査承認文書の交付後3ヶ月以内)も意匠特許の分割出願を行える旨の提案がされています。これにより、重要な意匠については、より柔軟に分割出願を行えるようになり、意匠網の構築・戦略を立てやすくなります。
権利帰属の争いは民事で解決
特許を受ける権利等、権利の帰属に関する争いについては、本改成案では、民事訴訟による解決が提案されています。これにより、行政手続きでの解決を図る場合に比べて、より公正で透明な解決方法が提供されると考えられます。
まとめ
今回の台湾特許法の改正案は、特にデジタル産業の企業にとって重要な内容が盛り込まれており、関連企業にとっては、今後の知財戦略に大きな影響を与える可能性があります。新たなデジタルデザインの保護や手続きの効率化、分割出願期限の延長など、企業の知財戦略構築・実行に有利な環境が整備されつつあります。知財部としては、これらの改正点を踏まえて、今後の出願や知財戦略を再評価する必要がありそうです。