【M-1 3回戦大阪】YouTubeの編集について考察してみよう。
中村壮快です。
M-1グランプリ2024の3回戦(大阪)が10月27日~10月29日まで行われまして、その結果が先日出ましたね。
十数年前から、僕が主催するライブの上位層の芸人さんたちは、この3回戦を突破できるか否かというラインで闘っているという現実もあり、M-1開催中の最も注視する場面ではございますが、今年は個人的にですよ、残念の割合が多い結果となりましたねぇ。
通過して欲しかったコンビがたくさんいます!
通過したのは38組と、毎年準々決勝に進めるのは40組前後ではあるのでそんなモンなんでしょうが、エントリー数が1万組を超えてしまっているのでね、その分もう少し幅を持たせてあげても良いのではないかと、あと数組で良いからチャンスを継続させてあげて欲しい、そう思っているのはファンの皆さんも芸人さんも僕も同じなんだろうなぁと、感じております。
3回戦はYouTubeに動画アップされる!
いつの頃からか3回戦の模様は全組YouTubeでネタが公開されるようになり、場合によってはここから人気が出る場合もあるので、芸人さんも気合を入れる場面だし、結果、各々の芸人さんの温度の高い漫才が見れるので、毎年楽しみにして大阪、東京全てのネタを見てこの時期を過ごすのが初秋のルーティンです。
で、早速アップされた大阪3回戦の模様を見て眠れぬ夜を過ごしておりました。
何かおかしくない?
まぁ、それにしても今年は編集でネタのカットや音声カットが多すぎて、一体何が起きているのだろうかと、よからぬ想像をしてしまいますね。
牛ぺぺさん、オノマトペさん、アポロ軍曹さんなんてほぼ全カットですし、他のコンビも部分的にカットされている場面が多くて、ここまでくると事務局側から何らかの説明をしてもらいたいと思えるほどになっております。
昨年までもカットされる部分はあったりしましたが、あくまで著作権に触れそうな部分のカットであり、そこは理解できるので誰も疑問に思ってなかったのでしょうが、今年の編集は一味違うぞ!と、感じている人も多数いるのではないでしょうか。
今の芸人の”ネタリテラシー”はかなり高いのは周知の事実で、ましてや3回戦まで駒を進める芸人さんですよ、3回戦ではネタの配信がされること前提に、また昨今のコンプライアンス云々も頭に入れながらネタを作り選定して挑んでいます。その辺りにはかなり神経を使っている筈です。
「テレビで出来ないようなネタはしない」
特に賞レースは自分たちの人生がかかっていますから、自ら不利になるような漫才はしない筈です。
そういった風潮が今の若手芸人には染み込んでいるので、普段のライブでもキワドいネタを見る機会が無くなったし、ギリギリ攻めたとしても昔の”本物のギリギリ”とは訳が違うし、かなりそこには神経を使ってのネタ作りに励んでいるので、前述の著作権がらみのネタ以外YouTubeという媒体で流せない筈がないと思うのです。
テレビの自主規制が厳くなり、YouTubeも厳しくなったとは言え、厳しさで言えば未だ「テレビ>YouTube」でしょうから、テレビで放送できる筈の今回の漫才たちがこのようにカットされるのには、クレームだったり炎上だったりを未然に防ぐための処置であった可能性が高いですけど真意は全く分からないです。
一応YouTubeのポリシーを調べてみましたけど接触しそうなのは「ヘイトスピーチに関するポリシー」くらいで、2019年にリリースされた情報みたいですがこの辺りのテーマに対し嫌悪感抱くように仕向けた漫才ってありましたか?
良いように解釈すればM-1と芸人を守るために狂気じみた自主規制をした、という事でしょうが、さすがに今回はやりすぎな気がしてなりません。
でね、僕が一番心配していることは、カットされたネタが、審査に影響していたのか?ということです。
「YouTubeで流せない=テレビで流せない」という解釈なのか、その他の理由や思惑があってカットしたり音声を消したのなら明らかにウケていたとしても事務局としては、「M-1にそぐわない」として、減点の対象にしました、ということなのか、いや、そんなの全く関係なく「YouTubeで流さないだけで、審査には全く影響していない」なのか。
でも当の芸人さんたちは、前者だと思ってしまいますよ。
これだけの数、編集でカットされたら来年はもっと今以上にルッキズム的なネタや不道徳な匂いのするネタ、他にも下ネタや何やらとかなり減るだろうし、男女コンビなんて可哀想ですよ、男女の違いをネタにすることも多いですから、どういった使い方がセーフでNGなのか分からない、ならばもうそういったネタは止めておこうと、どんどん萎縮する方向に向かってしまうのではないでしょうか。
下手すりゃ相方を馬鹿にするネタとか、ツッコミで頭たたくとか、もうそんなネタも止めておこうとなって、でもその風潮を逆手に取ってうまく取り入れている芸人さんもいるとは言え、やっぱ萎縮する材料だし、頭を悩ませる要因になってしまい、笑いの取り方の幅が狭くなり、お笑いがつまらなくなっていくんじゃないかと思ってしまいます。
今回カットされてしまった芸人さんも色々と思案して周りにも相談してこのネタは「大丈夫だ」と思って予選に挑んだ筈です。
ですが、カットされてしまった。そうかあの手のネタはダメなんだと今頃コンビで話し合っているでしょう。
そう刷り込まれてしまうと、丸い丸い漫才が増えてしまって、多種多様な芸人さんがいるから面白いお笑いの世界も「時代の流れ」という安易な言葉にかき消されていってしまうのかなと、古参のお笑いファンとしては寂しさもあるのです。
M-1の存在は大きい
M-1の存在は若手芸人にとっては大きな存在になりすぎましたし、それだけ良くも悪くも振り回されてしまう。もちろん「M-1が全てではない」です。
と、言葉で言うのは簡単ですが、実際芸人目指せばここに掛ける熱は半端なく大きくなるのが現実です。
せめて今回の編集に関する説明は何らかの形で発表して欲しい。
なぜカットしたのか。スポンサー絡みなのか。モラルの問題なのか。
一年かけて反吐が出るような努力をして3回戦まで駒を進めた。
通過した芸人さんは次のステージへ。
残念ながら通過しなかったけど自分たちの漫才を注目されているM-1動画で配信されるってだけで落ちてしまったけど報われる面もあります。
でも、それすら叶わなかった芸人さんがいるのです。
これは、この近辺の芸人さんを応援している僕にとっても残念に思うし、当の芸人さんも表で言いはしないけど、落胆しているだろうと想像はつきます。
M-1の運営は素晴らしく完璧だと僕みたいな者が言うのもなんですが、そう理解していますし実際そうだと思います。
今回の3回戦の動画を出す早さも「さすがM-1!」と思っていましたが、でもスピードを優先したからか、粗い編集になったのかなとも思いますし、もう少し時間かけて議論してから編集しても良かったのかなと思います。
あの編集でカットされた漫才や漫才中の一つのくだり、言葉の端々、セリフ一つにどれだけの時間と熱量が注がれているか、一番分かっているのは現代の漫才界を牽引してきた”M-1”の筈だと僕は思うんです。
繰り返しになりますが、今回カットされた部分はほぼほぼYouTubeで流せる内容である筈です。なぜ?この疑問は考えても考えてもよく分からない。
とまぁ、僕一人が吠えたところで何の効果もないのは重々承知でそのまま時間が過ぎていくのでしょうが、何らかの形でカットされたネタたちが報われるよう願うばかりです。
「カットされた寄席」とかやったら配信売れるんじゃないですか?
僕は見てみたい!
準々決勝に進んだ芸人さんは引き続き頑張ってください!
惜しくも負けてしまった芸人さん、編集されない決勝を目指し2025年に向けて頑張ってください!
余談。
M-1 3回戦大阪、個人的に一番笑ったのは「華山」さんでした!
あと「牛ぺぺ」さんの漫才、全部見たかった! 笑
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