14.節制(Temperance)《タロットカード解説》
節制(Temperance)の全体解説
タロットの大アルカナにおける「節制」のカードは、調和、バランス、節度、そして忍耐の象徴として知られている。このカードは、物事の中庸を保ち、極端に走らずに均衡を取ることの重要性を示している。通常、天使が一方の杯から他方の杯へと水を注いでいる姿が描かれており、この行為はエネルギーや感情、アイデアを調整し、融合させることを表している。
天使の姿は、精神的な導きと保護を示し、その翼は神聖な存在との繋がりを象徴している。また、天使が立つ場所には一方に池があり、他方には道が続き、山に向かっている。この池は感情や潜在意識を、道は未来や人生の旅路を表している。カード全体が、物事がどのように自然に流れ、バランスを保ちながら進展していくべきかを示唆している。
「節制」は、調整や適応、柔軟性を強調するカードであり、あらゆる状況で過度な反応や行動を避けることを勧めている。また、このカードは、異なる要素や価値観を調和させ、共存させる能力を持つ人々や状況を象徴することもある。たとえば、異なる文化や背景を持つ人々が共に働き、調和を保つ際に、このカードはその状況の調整役を担うことができる。
正位置の解釈
「節制」のカードが正位置で現れた場合、それはバランスと調和が取れた状況を示している。このカードが示すメッセージは、物事が自然な流れに乗っており、今は焦らずに、慎重に進むべき時であることを意味する。また、異なる要素や価値観を統合し、全体の調和を図る必要があることを示唆している。
恋愛
恋愛においては、パートナーとの関係がバランスの取れたものであり、お互いが理解し合い、調和が取れていることを示す。また、新たな恋愛においても、焦らずに相手とのペースを合わせ、時間をかけて関係を築くことが求められる。人間関係
人間関係においては、相手とのコミュニケーションが円滑であり、互いの違いを尊重しながら共存できる状況を示している。特に、意見の相違がある場合でも、落ち着いて対話を続けることで、問題を解決できることを示唆している。仕事
仕事においては、プロジェクトやチームが調和し、全体がスムーズに進行していることを意味する。また、このカードは、様々なスキルやリソースを統合し、効率的に活用することの重要性を強調している。焦らず、冷静に計画を進めるべき時期である。お金
金銭面では、収入と支出のバランスが取れている状況を示す。投資や貯蓄においても、リスクを抑え、慎重に計画を立てることが成功への鍵となる。この時期に過度なリスクを取ることは避けるべきである。
逆位置の解釈
「節制」のカードが逆位置で現れた場合、それはバランスが崩れている状況を示している。このカードは、過度な行動や感情のコントロールが不足していることを警告している。また、物事が極端に偏っていたり、調和が取れずに混乱している状況を表すことがある。
恋愛
恋愛においては、関係が一方的であったり、コミュニケーションがうまく取れていないことを示している。お互いの理解不足や、感情のバランスが崩れている可能性がある。冷静に話し合い、関係を修復する努力が必要である。人間関係
人間関係においては、対立や誤解が生じやすい状況を示している。コミュニケーションが不足していたり、相手の意見を尊重せずに押し通そうとしている場合、関係が悪化する恐れがある。調和を取り戻すためには、冷静な対話が求められる。仕事
仕事においては、プロジェクトやチームの進行が停滞していたり、計画がうまく進んでいないことを示している。焦りや過度なプレッシャーが原因で、ミスやトラブルが発生する可能性がある。冷静さを取り戻し、再計画が必要である。お金
金銭面では、収支のバランスが崩れていたり、無駄遣いや過度なリスクを取っている可能性がある。今は、浪費を控え、計画的な財政管理が必要である。また、投資においても慎重さが求められる時期である。
「節制」のカードは、物事を急がず、自然なペースで進めることの重要性を教えてくれる。調和とバランスを保ちながら、冷静に物事を進めることで、成功と安定を手に入れることができる。
動画解説
タロットカード大アルカナ14番、節制(テンペランス)のカードに秘められた象徴を見ていきましょう。
まず、カードに描かれている天使は、大天使ミカエルを表していると言われており、彼はすべての悪しき力を消し去る力を持つ存在とされています。この天使が手にしているカップには水が入っており、それを一滴もこぼさずに別のカップへ注ぎ続けることで、バランスを保ちながら水を移し替え続ける姿が描かれています。この行為は、変容の錬金術を象徴し、やがて変革の水が完成することを示唆しています。
また、水がカップからカップへと移動している様子は、移動や変化のプロセスを表しています。さらに、天使の足にも注目すべき点があります。一方の足は地上に、もう一方は水面に置かれており、これには深い意味が込められています。水は潜在意識や無意識を、地面は顕在意識や現実世界を象徴しています。このことから、意識だけでなく、無意識の部分も大切にする必要があるというメッセージが伝わってきます。無意識は私たちが思う以上に重要で、意識の10倍もの影響力を持っているとされています。
無意識に焦点を当てることで、引き寄せの法則が働き、願いが叶うこともあります。思考、発言、感情、行動が一致したとき、潜在意識が動き出し、意識と無意識の調和が取れることで、願望が実現するのです。このカードが示す天使のポーズは、絶えずバランスを取りながら水を移し替えることの難しさを表しており、忍耐や強い目的意識が求められることを示唆しています。
次に、カードに描かれている花についてですが、これは虹の女神を象徴するアイリスの花です。虹を植物として描いている点が非常に興味深く、さらに、背景に描かれている道にも注目する必要があります。この道は険しく、遠くに続いているように見えますが、その先には山と昇る太陽が描かれています。山は理想や困難を、太陽は成功を象徴しており、この道が示すのは、困難を乗り越えた先に目標が達成され、成功が待っているという意味です。この道が長く続くことから、遠距離を示すこともあります。
また、天使の服に描かれている四角形の中の三角形は、肉体の中で覚醒する霊を象徴しています。心理学的には、この天使はエゴを超越した先に現れる生命のエネルギーや悟りを表しており、四角形は日常生活や活動を、三角形はその中で働くエネルギーを象徴しています。
次に、数の解説に移りましょう。四角と三角のマークは、四角が安定を示す「4」、三角が三位一体を示す「3」を表しており、これらを足すと「7」、すなわち戦車のカードを示しています。この14番という数字は、7+7で14となり、2台の戦車が並んで進んでいるイメージを持つと理解しやすいでしょう。戦車が2台並んで進むには、非常に高い調和とバランスが必要です。また、12+2も14となり、12星座や1年12ヶ月といった完成されたものが2つ調和すると、新しい価値観が生まれることを意味しています。例えば、男性性と女性性が統合されることで、バランスの取れた新たなものが形成されるようなイメージです。
このように、異なる世界観の統合が新しい価値観を生み出すという意味でもあり、これはカップが象徴している異なる世界を調和させることを表しています。例えば、AとBを組み合わせることで全く新しいCが生まれるということです。
最後に、節制のカードの意味を解説しましょう。正位置でこのカードが出た場合、マイペースで物事を進めることが良い結果や変化をもたらし、調和を保つことが重要だと示されています。自分のペースを守り、穏やかな気持ちを持つことが、結果的に成功に繋がると教えてくれています。
逆位置で出た場合、節度を欠いた行動に注意が必要です。極端な状況に陥りやすく、自分のペースを失って生活が乱れることがあります。この状態では精神的な安定を欠き、コミュニケーションに問題が生じ、バランスが崩れる可能性が高まります。例えば、不規則な生活や過度な飲食、徹夜続きでの仕事などがその兆候です。
節制の逆位置はまた、本来は手放すことで状況が良くなると分かっていながら、執着して変わろうとしない場合に警告を発することもあります。総じて、節制の逆位置は、極端さを避け、気持ちを落ち着けることが重要であると告げるカードです。逆位置でこのカードが出た場合には、困難の意味を考えたり、行動や発言が周囲の人にどのような影響を与えているかを見つめ直すことで、解決の糸口が見えてくるでしょう。