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第3部-3 新しい選択の仕方
第3部:自分の本当の意志を見つけるには?
「小さな選択」から始める
私たちは、人生の大きな決断に対して重圧を感じがちです。しかし、最終的に自分にとって納得できる選択をするためには、いきなり大きな決断を下すのではなく、小さな選択を積み重ねていくことが大切です。大きな選択は一度で決められるものではなく、日々の小さな選択の延長線上にあるのです。
例えば、「転職をするべきかどうか」といった悩みがある場合、いきなり退職を決意するのではなく、まずは業界の情報を調べたり、副業を試したり、興味のある分野の勉強を始めてみるといった小さな選択を重ねることが有効です。こうした行動を通じて、自分が何に興味を持ち、どのような環境で働きたいのかが明確になっていきます。動かずに悩むのではなく、どんなことでも構わないので、まずは行動してみることが大切です。
また、日常のささいな選択にも意識を向けることで、自分の価値観を見極める手がかりを得ることができます。「今日はどんな服を着るか」「何を食べるか」といった小さな選択においても、常に自分の気持ちを優先する習慣をつけることで、より自分らしい決断ができるようになるのです。
さらに、小さな選択を繰り返すことで、自分にとっての「心地よい基準」が形成されます。例えば、毎日何を食べるかを意識することで、自分の好みや身体に合った食事スタイルが分かるようになります。同様に、日常の選択を意識することで、自分の生き方や価値観が明確になっていくのです。
「自分軸」を取り戻すための実践的アプローチ
多くの人が、自分の選択をする際に周囲の期待や社会の価値観に左右されがちです。しかし、本当に満足できる選択をするためには、「自分軸」を取り戻し、外部の価値観ではなく自分の内面と向き合うことが重要です。
そのために、以下のような実践的なアプローチが有効です。
1. 自分の価値観を明確にする
まず、自分が何を大切にしているのかを明確にしましょう。「仕事において最も重要なのは何か?」「人間関係で譲れないものは何か?」といった質問を自分に投げかけ、紙に書き出してみることで、自分の価値観を可視化できます。
また、過去の経験を振り返り、「最も充実していた瞬間」「本当に楽しかった出来事」などをリストアップすることで、自分の価値観を再確認することができます。こうした作業を通じて、自分が本当に求めているものを明確にし、選択の基準を持つことができます。
2. 他人の意見と距離を取る
SNSや周囲の意見に振り回されすぎると、本来の自分の望みを見失ってしまいます。特に、SNSでは他人の成功体験が強調されやすいため、それを見て「自分もこうしなければ」と焦ることが増えがちです。一度、情報のインプットを制限し、自分の内面と向き合う時間を持つことが大切です。
また、他人の価値観に影響されやすい場合は、意識的にデジタルデトックスを行うことも有効です。例えば、週末だけSNSを見ない時間を作ることで、自分の価値観に集中しやすくなります。
3. 直感を信じる
多くの選択において、「正解」は事前には分かりません。長時間悩んでも、実際に行動してみなければ何が最適かは分からないことがほとんどです。そのため、ある程度の情報を集めたら、「直感的に心が動く方」を選ぶことも重要です。
直感は過去の経験や知識の積み重ねから生まれるものです。そのため、直感に従うことで、無意識のうちに自分に合った選択ができる可能性が高まります。
4. 失敗を恐れずに試す
新しい選択をすることには、必ずリスクが伴います。しかし、失敗を過度に恐れていては、何も変わりません。仮に選択が期待通りにいかなかったとしても、それを経験として蓄積することで、次の選択の精度が上がっていきます。
失敗した選択も、結果的には貴重な学びとなります。「間違えた」と思った選択も、その後の人生においては必要な経験だったと気づくことがよくあります。そのため、選択を後悔するのではなく、そこから得られるものに注目することが大切です。
5. 柔軟な視点を持つ
一度選んだ道が必ずしも「正解」ではないことを受け入れ、柔軟な視点を持つことも重要です。「間違った選択をしてしまった」と思っても、そこから学び、軌道修正をすれば良いのです。選択を「決定的なもの」と考えるのではなく、「流動的なもの」と捉えることで、気持ちが楽になります。
また、選択を見直すことは決して恥ずかしいことではありません。「一度決めたことを変更するのはよくない」と考えがちですが、状況の変化に応じて柔軟に選択を調整することが、より良い結果につながることも多いのです。
自分の人生を自分で選ぶ
選択に迷うことは決して悪いことではありません。それは、自分の人生を真剣に考えている証拠です。しかし、迷い続けるだけでは何も変わりません。日々の小さな選択を意識し、「自分軸」を大切にしながら行動することで、自然と自分にとって最適な道が見えてくるでしょう。
次は、選択すること自体を手放す「選択しない自由」について考えていきます。