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家族葬に参列できるのは家族だけ?
家族葬とは
お葬式の形態には、いくつかの種類があります。家族や身内以外の会社関係の人や友人、近所の人など、故人と生前に関わりのある人に参列してもらう大規模な一般葬。通常のお葬式にはあるお通夜を省き、葬儀と告別式のみを執り行う一日葬、お通夜・葬儀・告別式も営まない形態の直葬・火葬式など、形態は様々。
中でも、家族葬は親しい人を中心に故人を見送るお葬式の総称。家族葬という名前から家族や親族しか参列できないようにも思われがちですが、故人と生前親しかった友人を呼んでも大丈夫です。家族葬を行う遺族は年々増えており、コロナの影響もあって、現代のお葬式の主流と言っても過言ではないでしょう。規模が小さいことから、参列者の接待に追われることなく、故人とのお別れに時間をかけることができるという特徴があります。
家族葬の暫定的定義
上記のように、実は家族葬と言えども、親しかった人に参列してもらうことも多い家族葬。その定義づけというのは難しく、曖昧なところです。公正取引委員会による暫定的定義では、
親族や親しい友人など、親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。通夜・告別式、火葬等は一般葬と同様に執り行われる。
とされていて、親族など親しい関係者の参列が50名未満を家族葬、50名以上が参列する葬儀を一般葬としています。ただ、葬儀社によって家族葬用のプランの推奨人数設定が違うので、家族葬を希望する場合は葬儀社とよく相談して決めるといいでしょう。
家族葬と密葬
葬儀の中には、家族葬と似たような形式で密葬と呼ばれるものがあります。社葬やお別れの会、偲ぶ会など、後日一般の参列者のための本葬を行うことを前提として、事前に遺族や親族だけで執り行う葬儀を指します。政治家や著名人のお葬式でよく選ばれる形態です。
家族葬の流れ
家族葬の流れは、お通夜・告別式ともに流れは一般的な流れと同じです。一日目に通夜、二日目に葬儀・告別式を行います。希望があれば、通夜の前に湯灌を行うこともできます。
通夜
僧侶による読経の後、喪主から順番に焼香を行い、喪主が挨拶をして閉式します。通夜の後には通夜ぶるまいという会食を行うことも多いです。
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告別式
僧侶の読経の後、喪主・遺族・参列者の順に焼香を行います。弔電をいただいていれば、読み上げます。「お別れ花」というお花を棺にお棺に手向け、最後の時を過ごし蓋を閉めたら出棺。火葬場へ移動し、およそ2時間ほどかけて火葬を行います。その間に精進落としの会食を行うことも。火葬後には、骨上げを行い、お骨壷に収めます。
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家族葬のメリットとデメリット
家族葬を行いたいという希望には、参列人数が少ないことが予想されたり、ご費用の心配だったり、故人の意向だったりそれぞれだと思いますが、ここではメリットとデメリットについて見ていきます。
メリット
参列者の高齢化や社会情勢の変化から、葬儀のご案内をしても結果的に少人数の家族葬になることも多々あります。悲しみの渦中にある遺族が、参列者への気遣いや準備に追われずに、故人とのお別れの時間を少しでも長く取ることができるのが家族葬のいいところ。故人と親しい間柄の人を中心にしたお見送りができるため、故人が生前お世話になった人にしっかりとお礼を伝えることもできます。また、人数を把握しやすいこともメリットの一つと言えるでしょう。
デメリット
葬儀後は、遺品の整理や相続手続きなどやることはたくさん。訃報を送ったり、参列できなかった人の弔問対応をするのは骨が折れるもの。お葬式のイメージの違いから、親族の理解を得ることできず苦情を言われるといったケースもあるようです。参列者が多い葬儀では、祭壇の規模や食事、粗供養などから、費用がかさみやすい印象がありますが、実際のところ、参列者が減ることによっていただく香典が減り、内容によってはかえって自己負担が増える場合もあります。
参列者をどこまで呼ぶのか
家族葬では、喪主をはじめ、遺族を悩ませることの一つとして、「どこまでの範囲の人に参列してもらうか」が挙げられます。まずは人数を基準にして考えるのも一つの方法です。
・10名程 遺族のみ
・30名程 遺族+親族
・50名程 遺族+親族+交友関係
10名程で行う場合、親族であっても呼ばれないことがあります。家族のみで葬儀を行う旨をあらかじめ伝えておかないと、「参加したかったのに呼ばれていない」と言って、のちにトラブルになる可能性があるので気をつけましょう。
よくあるトラブル
先述のように、どこまでの範囲の人に参列してもらうかを明確にしないまま家族葬を行うことで起こり得る「どうして呼んでくれなかったのか」というトラブル。呼ばない人への連絡は、「故人の意向により、葬儀を家族のみで行う」「参列辞退」という旨を連絡し、家族葬にお呼びしない人に対して明確に説明しておくことが必要です。葬儀に参列してもらう予定でなくても、故人と関係の深かかった人には事前にお知らせしておいた方がいいでしょう。しかし、訃報と葬儀の案内を勘違いし、当日呼んでいない人が参加してしまい、最後の時をゆっくり過ごせなかったというトラブルや、葬儀後に弔問客が自宅に繰り返し訪れ、対応に疲弊してしまったというケースもあるようです。
こういったことを避けるために、訃報なのか、案内なのかを明確に記載することが大切です。参列や、葬儀後の弔問辞退の旨を案内に明記することと合わせて、香典や供物、供花、弔電なども辞退する場合は記しておきましょう。
何らかの理由で家族葬に呼ばない人がいる場合は、明確な判断基準を持つことをおすすめします。「なぜ自分が呼ばれなかったのか」という質問を受けたときに、どのような基準で決めているのかを納得してもらう必要があるからです。もしも故人と生前親しかった人や遠い親戚など、呼ぶべきか迷った時には今後関係も考慮して、葬儀の案内を出しておいた方がいいでしょう。
トラブルの可能性も考慮に入れ、事前に家族と話し合っておくと、後悔や心配要素のないお見送りが実現できるでしょう。
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