自分のNFTについて言葉で語る重要性 ~ アートNFTとステートメント ~
NFTを愛する皆様。SoudanNFTのはやっち(@HayattiQ)です。
今回は、これからのアートNFTにおいて、言葉で自作を説明する重要性と、今後トレンドになりそうな「ステートメント」について執筆します。また、今回の記事は多分にアート的文脈を含むため、抽象画家かつNFTアーティストのGalva (@remaining_scent) 氏に監修を受けています。
今後、とりわけ一点物アートNFTを発行し、高い評価かつ高値での販売を狙うためには、そのNFTだけでなくNFTの作品説明および作品への想いを説明することが重要になってきます。こちらはアートの世界において「ステートメント」と言われています。非言語であるNFTの発行以外にも、そのNFTを言語にて説明することが、より多くの人に理解されるために重要になってきています。
ステートメントとは
ステートメント(アーティストステートメント)とは作家として目指していること、なぜ作品を作るのかの説明、作家としての紹介等をまとめた文章です。
内容としては下記のようなことが多いです。
・自分自身の背景や、制作の動機
・作品や制作活動に共通するテーマ
・今後の展開や、やりたいこと
アート作品を出すうえで、観ていただける方に向けて説明する文章であると言えます。下記事例でもあげている「落合陽一」氏の作品のnote文章を見ていただけるとイメージがつかめるかと存じます
落合氏のアートNFTとステートメント
昨今、アート業界の方より、NFTにおいてはステートメントが無いと批判の対象になっていましたが、落合氏は明確に「ステートメント」をつけてNFT作品を10月28日に出品されました。実体物とNFT両方を含めた作品のため、単純にNFTだけを発行しているわけではありませんが、今後こちらの作品が更なる批評および評価をあびていくことが予想されます。また、こちらの作品は2.5ETHで落札されました。
落合氏の発表されたステートメントを一部抜粋します。
今後,物質的なプリントとデジタルデータのNFTどちらが永く残るだろうか.このデジタルデータと物質的な存在の間にある違いこそが,質量への憧憬ではないだろうか.形あるものは壊れる,形ないものは忘れる.これらの作品を通じてイメージと物質の間にある憧憬を,質量のないデータと質量ある物質の間に存在する新しい自然とともに探求していく.
今回の作品において秀逸なのは、具体的な「問題提起」があるということです。
美術表現として、問いかけ(思考を促すような作品あるいは表現)がありますが、NFTと物質を絡めた新しい問題を持ち出してきたところに価値≒面白みが出ています。
第三者の思考が作品とステートメントによって促され、議論が巻き起こり、社会の思想とか個人のありようを変えていくという意思が感じられます。
さいとうなおき氏の声明
また、具体的に「ステートメント」と名乗っていたわけではありませんが、「さいとうなおき」氏の作品も、ただのイラストとしての出品ではなくイラストレーター業界およびNFT業界に大きな問題提起と問いかけをしました。今回、氏の作品が約600万円という値段がついたのは、その問題提起の要素も多分にあると推測します。
今回、さいとうなおき氏がアート作品を出品されるにあたり、下記の声明を出しています。
こちらの声明は1600リツイート以上される大きな話題になり、クリエイター業界およびNFT業界に波紋をなげかけました。筆者にとっても非常に心を打たれるものであり、このNFTに望む姿勢こそが氏の作品と同等以上の価値を生んでいるものと思います。
Kiwoku氏の声明
写真家の Kiwoku And 氏も、自身の初めての写真コレクションを発表される際に、写真業界に対する問いかけ及び声明を出されています。
彼の「自分の写真」と「世の中の求める写真」の違い、および自分の写真を追求したいという姿勢が大きな共感を呼び、現在、彼のNFTは初めてにも関わらず0.21ETH以上のVolume Tradeを出しています。
クリエイターさんへの提案
自分自身の作品を、言語においても説明することは、今後クリエイターにとって重要な要素になってくると思います。今後、クリエイターは自らの想いをどんどん発信していただきたく存じます。
ですが、今回の事例にあげられているような「ステートメント」にこだわる必要はないです。ファンやコレクターと共感を生むことが目的であるため、たとえば自分の作品にかける想いをnote等に書くだけでも充分だと思います。緊張せずに、自分の表現したい言葉で書いていただけますと幸いです。
最後に、Galva氏より、現代アートより参考になる事例をいただきましたので、Galva氏の言葉とともに掲載します。
ステートメントの説明において、「クリストとジャンヌ=クロード」という芸術家夫婦のプロジェクトとその進め方は非常に参考になります。
今年9月頃に凱旋門が梱包されたというニュースを見たかもしれませんが、あれがこの夫婦の最後のプロジェクトでした。
資金はドローイングなどを売って集め、梱包の対象となる施設などのお偉いさんに何度もプレゼンや交渉を繰り返し、数年、場合によっては数十年かけてひとつのプロジェクトを完遂しました。
クリストとジャンヌ=クロードから学べるのは、いきなり大きなことを成し遂げようとしても無理ってことです。お金、技術、周囲の理解や協力、いろんなものを時間をかけて揃えないといけません。
ステートメントというと一度で世界をあっと言わせるようなスケールのものを考えようとしてしまいがちなんですが、そんな大層なものじゃなくてもいいと思うんですよね。小さな思いつきやぽっと出の意見、そういったものも立派なステートメントなんだと思います。例えば今してるこの記事の話も最初から具体的に決まってたわけじゃないじゃないですか。でも、こうして段々と形になっていく。こういうあり方も充分アリなんだと思います。NFTのコレクションも最初は小さな思いつきから始めて、そこからプロジェクトを固めていくのもいいんじゃないかなと。
ステートメントとは人を動かす火種のようなものです。大きな火じゃなくていいから、大切なものを込めて声を上げること。それが大事だと思います。