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雨の土曜日

朝に起きる。
アラームが鳴る。
体が重い。
きっと気圧のせいだろう。
先週はこの時間に起きていたなんて想像がつかない。
締め切ったカーテンは朝の陽射しを通さない。
こんなに気持ちがいいのに起きるなんてもったいない。

昼に起きる。
夢に小説のヒントがあった気がする。
とてもおもしろいオチを思いついた。
メモをしようとスマホを取り出したがその時にはもうオチを忘れてしまった。
もう一度思い出したいと思いまた眠る。

夕方に起きる。
音楽を聴く。
落ち着いたメロディーに憂鬱な歌詞がのる。
また深くベッドに沈んでいく。
イヤホンを外す。
閉じた窓からかすかに雨音が聞こえる。
雨の日に見た紫陽花を思い出す。
紫陽花の花びらについた雨粒がゆっくりとおちていく。

深夜に起きる。
LINEの通知音で起きる。
少し期待しながらスマホをみるが画面にはシステム的なメッセージがうつる。
何を期待してるんだと自分を嘲笑う。
外に出たいなと思う。

家を出る。
交差点の真ん中に立ってみる。
雨に濡れたアスファルトに信号の光が反射して綺麗だ。
駅に向かう。
無人のホームを自動販売機の光が照らす。
電光掲示板はなにも教えてくれない。
世界は美しいなと思う。

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