ガス化バイオマス発電
SDGSの流れを汲み、ゼロカーボンシティ宣言を出す市町村が増えています。その中でも森林資源に恵まれている自治体はバイオマス発電に関心を寄せています。特に、BTG方式と比べ小規模で開発出来ること、設置場所を選ばないことなどから、ガス化方式に日の目が当たりつつあります。
ガス化方式とは
大型発電所に採用されるBTG方式は燃料をボイラーに焚べて蒸気を取り出します。その蒸気でタービンを回し電気を作っています。燃料が木というだけで仕組みは火力発電と同じです。
一方でガス化方式では木を1000℃で燻すことで発生する煙を浄化し、そのガスでエンジンを回し電気を得ています。100kW以下の発電容量でも、2000kW級のBTG発電所と同等の効率が出せることが大きな特徴です。
ガス化発電の難しさ
ただ燃料となる切削チップを作って投入すればよいわけではなく、品質が重要で、バークやダストの混入がない、粒の大きさが揃っている、乾いているといった諸条件をクリアしないと、安定した稼働は望めません。ただし設備が要求する品質のチップを生産できる製材所は非常に少ないのが現状です。
こうした課題に直面すると普段当たり前に使っている化石燃料の有り難さを思い知らされます。なにせ全国どこでも品質が一緒。決まった発熱量。エネルギー密度が高く、持ち運びが容易。しかも安い。品質の高い燃料があるからこそ、機械の動作も保障されるわけです。
この問題が解決されないうちは、なかなか普及は難しいでしょう。
総合設備の見本市
ガス化方式の難しさは燃料の品質だけでなく、設備としても複雑な点にあります。例えば、発電技術に加え、固体*液体*気体のハンドリングがパッケージに詰め込まれているのです。オートメーションになっていて、非常にスマートに納まってはいますが、問題発生時の原因調査には専門知識が必要です。大掛かりな設備であるという認識が必要でしょう。
難しいからこそ真剣に取り組む
ここで述べたことだけではなく、ハードルは他にもたくさんあります。そうした問題は森林組合、燃料供給、金融機関、発電事業者、メーカー、エンジニアなどのさまざまな方面で長けた人たちの協調なくして解決できません。また、真剣に取り組む人たちのおかげで、普及に向け確実に進んでいます。SDGSを通じ、さまざまな経験ができることに感謝しています。