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電気けいれん療法

電気けいれん療法はイメージが悪い・・・かも知れない。
一時期はロボトミー手術と混同されていたような気がするけれど、
全く違うものです!
とても簡単に言うと、
額に電極を当てて人為的にてんかん発作を起こさせるのですが、
どうして効果があるのか実はまだ全ては解明されていません。
しかし何か脳内物質の流れがリセットされるというか、
薬の効きが良くなるというか、
そういうことが実際に臨床であります。
現在は修正型電気けいれん療法といって、
全身麻酔下でより安全に実施されています。
全ての精神障害に適応されるわけではありませんし、
また、同じ精神障害でも時期によって適応にならないことがあります。

さて、説明はこれ位で。

私がまだ若かりし頃、寝たきりの身長2m近い男性が入院してこられました。
目は見開かれたまま、口は半開き、よだれ、異臭、髪はボサボサ。
そしてイケメン。
言葉も発せない、経口摂取できない、排泄できない、更衣できない・・・
そう何もできない・・・
うつ状態の亜混迷状態の方でした。電気けいれん療法目的の入院です。
入浴できず1年が経つとうかがいました。
大会社で要職を歴任されてきた方だそうですが、
その面影は一切ありませんでした。

当たり前ですがお苦しそうで、ああ、早く何とかしてしてさし上げたいと
気持ちがはやったものでした。

電気けいれん療法は3回目以降から効果があると言われています。

ある深夜勤務の朝、モーニングケアに駆け回っていると、
遠くに見慣れない大きな人影が。

「誰?・・・パジャマ・・・・・・患者さんだ・・・・・・・・・
(病棟入口を)施錠してあるから他病棟から入ってくるはずないし・・・・・・
あのヨレヨレのパジャマ・・・・・・・・・・・・・・・ん!? !!!」

患者さんは洗面を終えて自室に戻られるところでした。
私は思わずかけよって、患者さんの横に立ち、首をほぼ真上にあげて
小声で名前を呼びました。
「〇〇さん・・・」
「ああ、看護師さん。おはようございます。」
とても品の良い声で挨拶をしてくださいました。
!「おはようございます」ドキドキ・・・

嬉しい!嬉しい!嬉しい!
こんなに良くなるんだ!

私が今でも感動を忘れられない、電気けいれん療法の効果を見た
患者さんの話です。

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