調査録①小狐丸・刀工宗近にまつわる御守&グッズをまとめてみた。
謡曲「小鍛冶」に登場する三条小鍛冶宗近と、彼が稲荷明神と共に鍛えた宝剣小狐丸にまつわる物語は日本各地に広がり、風土や歴史の中で育まれ、独自の伝承が形成されて今に伝わっています。
この記事では、小鍛冶伝説や三條小鍛冶宗近をよりどころとして作られたと思われる、刀剣の形をした御守りやグッズ、そして「小狐丸」の号を持つ刀剣本体について知ることができる資料について紹介します。
※この記事で紹介できていないグッズや御守りもあると思います。もしご指摘いただけましたら随時調べて追記していきます。
こちらからご連絡いただけますと幸いです。
■金蛇水神社(宮城県岩沼市)
太刀守
高橋勝三郎遺稿集「金蛇翁夜話」
■三條小鍛冶宗近本店(奈良県奈良市)
小狐丸ストラップ
■石上神宮(奈良県天理市)
図録「石上神宮」
□番外編:株式会社トーダン「日本の心 名刀カレンダー2022」
■石切劔箭神社(大阪府東大阪市)
石切劔箭神社御神宝図録
ペーパーナイフ(改元奉祝事業 奉納神宝公開「永永無窮」記念グッズ)
メタルブックマーク(同上)
■三劔家(京都府京都市伏見区 伏見稲荷大社 境内)
小狐丸ストラップ
■花山稲荷神社(京都府京都市山科区)
太刀守
■鍛冶神社(京都府京都市東山区 粟田神社末社)
太刀守り
青の刀の御朱印帳(粟田神社)
□番外編:「京都刀剣御朱印めぐり」御朱印・特製クリップ
■宝剣小狐丸プロジェクト(京都府城陽市 長池まちづくり協議会)
小狐丸ペーパーナイフ
金蛇水神社(宮城県岩沼市)
時の帝から剣を鍛えるよう命じられた宗近が、それにふさわしい清らかな水を見つけたのが陸奥国の岩沼にあった水神宮のほとりだった。
鍛刀に臨もうとしたところ、沢のカエルが悪さをして邪魔をしてきたため、宗近は雌雄一対の金蛇を鋳造して沢に投げ入れた。
カエルは退き、「小狐丸」を完成させることができた宗近は、神への感謝のために水神宮へ金蛇を奉納した。
金蛇水神社のご神体である金属製の蛇は、上記のような由緒を持つと伝えられている。
■太刀守
金蛇水神社 社務所にて頒布されている。
刀身部分に「護身刀」と彫られており、花山稲荷神社の太刀守(後述)とかなりデザインが似ているが、パッケージに独自性が見られる。
■高橋勝三郎遺稿集「金蛇翁夜話」
金蛇水神社の宮司を務めた故高橋勝三郎氏の書き残した文章から郷土の伝承に関わるものを抜粋し、編纂したもの。
神社に併設する休憩所「Sando Terrace」で購入可能。
他に「Sando Terrace」では三條小鍛冶宗近本店(後述)の包丁なども販売されている。
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三條小鍛冶宗近本店(奈良県奈良市)
三条宗近を始祖とする山城鍛冶。
その流れを汲む刀鍛冶の子孫が営んでいる老舗の刃物店。
明治時代に廃刀令が施行されるまでは作刀をしていたそうだが、現在は家庭用刃物(包丁など)をメインに扱っている。
(※三重県伊勢市にあったとされる同名の刃物店については未調査)
■小狐丸ストラップ
店舗・通販にて購入可能。
他に刀剣の小狐丸をイメージに作られたグッズとしては
ペーパーナイフ(店舗・通販にて購入可能)、
模造刀(完全受注生産。店舗に在庫がある場合は購入可能。通販は不可)などがある。
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石上神宮(奈良県天理市)
古くは「布留社」「石上社」と呼ばれていた。
日本で最も古い由緒を持つ神社の一つで、物部氏の総氏神。
拝殿は国宝、楼門は重要文化財に指定されている。
かつてはヤマト政権の武器庫を担っていたといわれ、主祭神の一柱「布都御魂大神」は神剣に宿る神霊。
2021年に「刀剣乱舞 剣奉納プロジェクト はじまりのうた はじまりの剣〜刀剣文化と願いを未来へ〜」にて「奉剣の剣 銘 人 天長地久」が奉納された。
国宝に指定されている古代の鉄剣「七支刀」が有名。
「小狐丸」と号される古備前の太刀を所有している(管理は奈良国立博物館に委託されている)。
■図録「石上神宮」
社務所にて頒布されている。
石上神宮に伝わる宝物やその歴史を紹介している図録。
「小狐丸」と呼ばれてきた「太刀 銘 義憲作」のモノクロ写真も掲載されている。
■おまけ
同じく石上神宮社務所にて頒布されている御守りとグッズのマスキングテープ。デザインの一部に七支刀が入れ込まれている。
■番外編:株式会社トーダン「日本の心 名刀カレンダー2022」
石上神宮の「太刀 銘 義憲作(号「小狐丸」)」のカラー写真が掲載されている。
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石切劔箭神社(大阪府東大阪市)
平安時代初期に編纂された「延喜式神名帳」にも記載がある古社。
物部系の神社であり、御祭神は物部氏の祖神である饒速日尊と可美真手命。
病気や腫れ物の平癒に効能がある神社として知られている。
■石切劔箭神社御神宝図録
石切劔箭神社が有する「太刀 銘 宗近」号して「小狐丸」の写真も掲載されている。
崇敬会館1Fにある授与所で頒布している(同所では御朱印もいただくことも可能)。
■ペーパーナイフ(改元奉祝事業 奉納神宝公開「永永無窮」記念グッズ)
■メタルブックマーク(同上)
2022年6月~2023年5月まで開催中の「改元奉祝事業 奉納神宝公開『永永無窮』」に向けて制作された。
神宝の公開日に宝物殿にて頒布されている。
「太刀 銘 宗近(号 小狐丸)」の特徴が細微にわたって再現されている。
筆者の注目ポイントは茎の形と、銘の文字。
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三劔家(京都府京都市伏見区 伏見稲荷大社 長者社・御劔社 付近)
全国に数多ある稲荷神社の総本山「伏見稲荷大社」には、神座の跡とされる7つの「神蹟」がある。
長者社・御劔社が祀る「雷石(劔石)」もその一つ。
すぐそばにある井戸「焼刃の水」は、三條小鍛冶宗近が小狐丸を鍛える時に用いたという伝承がある。
■小狐丸ストラップ
長者社・御劔社の近くにある茶屋「三劔家」で販売されているストラップ。
桐箱付きのセットもある。
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花山稲荷神社(京都府京都市山科区)
平安時代に醍醐天皇の命によって創建されたとされる稲荷社。
帝から作刀の勅命を承った三條小鍛冶宗近が、稲荷大神に祈りを捧げ、神社の埴土を用いて「ふいご」を築いた。
するとどこからともなく3人の童子が現れて、宗近の相槌を打って手助けをし、共に一振りの剣「小狐丸」を作り上げた。
……という伝承がある。
境内にある「稲荷塚」はこのとき宗近が鍛刀した場所とされ、11月に行われるお火焚き(ふいご祭)も、上記の宗近の伝承に因んだものとされている。
■太刀守
社務所で頒布されている。金蛇水神社の太刀守(前述)とデザインが似ており、刀身には「護身刀」と彫られてある。
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鍛冶神社(京都府京都市東山区 粟田神社末社)
粟田神社の末社で、三条粟田口の地に縁深い刀鍛冶「三條小鍛冶宗近」「粟田口藤四郎吉光」を祭神として祀っている。
他に粟田神社の摂社・末社として以下のものもある。
出世恵美寿神社(摂社)
→牛若丸が奥州に向かう際に源氏再興の祈願をしたという伝承がある。
北向稲荷神社(摂社)
→ここに祀られている雪丸稲荷が三條小鍛冶宗近の相槌を打って作刀を手助けし、共に名剣「小狐丸」を作り上げたという伝承がある。
合槌稲荷神社(末社)
→ここに祀られている合槌稲荷大明神が三條小鍛冶宗近の相槌を打って作刀を手助けし、共に名剣「小狐丸」を作り上げたという伝承がある。なお、東山区轆轤町に同名の神社があるが関係は不明。
■太刀守り
粟田神社の社務所にて頒布されている。
何度かリニューアルを重ねており、写真は2018年10月~2022年2月時点のデザイン。
■青の刀の御朱印帳(粟田神社)
数種類ある御朱印帳の1つで、刀の意匠(※いわゆる「刀置き」といわれる展示方法と同じように描かれているので「刀」であると思われる)が施されている。
粟田神社の社務所にて頒布されている。
■番外編「京都刀剣御朱印めぐり」
刀剣にゆかりのある京都市内の4つの神社(以下、五十音順)で特別な御朱印を授与するイベント。
▶粟田神社
(「三日月宗近」「一期一振」「小狐丸」を作った刀工たちを祀っている)
▶武勲神社
(「薬研藤四郎」「宗三左文字」の元の主である織田信長を祀っている。2018年に刀匠の藤安将平氏によって「薬研藤四郎 再現刀」が奉納された)
▶豊国神社
(豊臣秀吉を祀っている。かつて秀吉が所持したとされる脇指「骨喰藤四郎」と、刀匠の宮入法廣氏が制作した「骨喰藤四郎 再現作」を所有する)
▶藤森神社
(安土桃山時代に「鶴丸国永」が奉納されたことがある。2018年に刀匠の藤安将平氏によって「鶴丸国永」の 写しが奉納された)
2015年より不定期で実施されており、粟田神社では「三日月宗近」「一期一振」「小狐丸」をデザインに取り入れた御朱印をいただくことができる。
こちらは第10弾(2020年版)のもの。特製クリップ付き。
こちらは第10弾(2022年版)のもの。特製クリップ付き。
なお、刀匠の藤安将平氏によって作られた「一期一振」の写しが2022年7月に藤森神社に奉納された。
(※「一期一振」が藤森神社とどのような関係があったかは不明)
今後の京都刀剣御朱印に記される刀剣名に変化はあるのかどうか。注目したい。
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宝剣小狐丸プロジェクト(京都府城陽市 長池まちづくり協議会)
「和州布留大明神御縁記」という古文書にある大蛇退治譚を原案に、宝剣「小狐丸」の特徴を反映したペーパーナイフを制作するというクラウドファンディングプロジェクト。
目標金額を達成し、ニッケン刃物株式会社によって製作・実用化された。
現在は城陽市内の以下の場所で頒布中。
荒見神社(※事前問い合わせが必要)
城陽市観光協会
御菓子司 松屋
旅籠屋 利兵衛