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きょうの聡太くんとプレイバックたまちゃん 2023/3/30

 聡太くんが玄関チャイムを「知らない人がくるワクワクタイムの合図」と認識してしまった。
 きのう、新聞の集金のおばあさんが来て、聡太くんはまっすぐ集金のおばあさんに向かっていき、匂いを嗅いだりお金のポーチを確認したりして好奇心全開で対応していた。夕方、叔父上が漫画を貸しに来てくれたときも、「なんだなんだ」と見に行って、自分から見に行ったくせにしっぽをブワーと膨らませていた。
 困る。これを新興宗教のひととか猫嫌いの親戚にもやるのだろうか。それはまだいいが、風除室のドアが閉まっていないと脱走されてしまう。
 人間大好きもいい加減にせえよと思う。お前は犬か。たまちゃんは玄関チャイムが鳴るとばっと隠れて出てこなかった。聡太くんの好奇心と人間大好きぶりには驚かされる。
 猫ってふつう知らない人が怖いんじゃないの……? と、大変不思議な気持ちである。なんとか玄関を突破されないようにしなくてはならないだろう。
 それからきのう聡太くんは固定電話を置いている棚によじ登り、その上に置かれているコルクボードを蹴落とした。\ガタッ/っとなにかヤバい音がしたので見にいくと、まさにコルクボードを蹴落とす瞬間で、\ガッターン/と、コルクボードを蹴落とし、画鋲を散らかした。危ないからそういうアクティビティは挑戦しないでほしい。自由奔放にもほどがあるぞ。

幸せのピンクの毛布。


 最近聡太くんは「ぼーちゃん」と呼ばれている。「そうたろう」が「ぼうたろう」になり、そこから来たぼーちゃんである。
 ぼうたろうの「ぼう」は「暴」であり、「食いしん坊」の坊でもある。噛んだり引っ掻いたり暴れたりするのでこのあだ名がついた。そうじゃなければ「坊ちゃん」とか「坊や」と呼ばれている。ほかにも「小さいひと」とか「おちび」とか「チビ太」とか呼ばれている。
 なんで人間はかわいいものに変なあだ名をつけてしまうのだろう。そういえばたまちゃんも「たまごろう」と呼ばれていた。女の子なのに……。
 かわいいというのはすごいことだ、それだけで全て許される。押入れを開けようが人間を噛もうが、かわいいならオールオッケーなのである。猫というのは素晴らしい。

突然のお膝。


 なんというか犬と猫はかわいいのベクトルが違う。犬は人間の言うことを忠実に聞いて、ちゃんと従い、ときどきいやいやえんをするのをかわいいところだと思われているが、猫は自由気ままにやりたいことを勝手にやるのがかわいい。人間の言うことは無視である。
 きのうの夜、聡太くんはとても大人しくしていた。賢いかと言われると微妙だし全く穏やかでないが、大人しく寝ているのを見ると本当に平和そうな顔をしている。
 お利口だね、と声をかけると薄目をあけてこっちを見る。そしてまた寝る。自由である。決して人間に服従はせず、ただ自分の心の赴くままに人間に甘えるのである。
 自由の獣だ、と思う。

「にっこうよくですよ〜」


 きのう絵画教室に行ったら、新入りの凶暴子猫が教室に隔離されていた。先輩たちを噛むし、先輩たちは噛まれても反撃しないのだという。
 凶暴子猫くんは一瞬たりともじっとしておらず、先生は6ヶ月になったら早めに鈴カステラを取ってしまうつもりだ、と言っていたが、鈴カステラは子猫のくせにやたらと立派で、ときどきすごく俗っぽいことを言う先生は「こいつ精力絶倫の猫なんじゃないの?」と言っていた。テストステロンだ。
 子猫というのは一瞬で巨大化する。凶暴子猫くんは前に見た時よりずいぶん大きくなっていたしまるまると太っていた。
 絵の先生に、「聡太くん男前な顔してるね」と言われて密かに嬉しかったのだった。

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