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きょうの聡太くん 2022/9/25

 きのう、タイミングよく聡太くんのUNKOがとれたので、父氏の運転で午後から獣医さんに行ってきた。聡太くんは人生3回目の洗濯ネットに入れられた上でキャリーバッグに入れられて、車の中で絶望の叫びをあげていた。
 土曜日午後の獣医さんはすさまじく混んでいた。開院時間に着いたのだがすでに何台も車が止まって待っている。車でなく外で犬と待っている人もいた。とりあえずポケベルを受け取り検便を提出し、車で40分ほど待った。
 呼び出されて行くと、ヨボヨボの柴犬が順番待ちをしていて、それはそれは可愛らしかった。わたしはどうも老犬に弱い。
 しばらく待っていると「ちょっと秋田犬出るので閉めますね」と、診察室と待合室の間のドアが閉められた。大人しく待って、少ししてそのドアが開いたら、すさまじくヨボヨボながら頑張って生きている感じのする秋田犬が診察台の上にいた。がんばれ、と念を送って、奥の診察室に通された。
 どうやらこの動物病院は診察室がふたつあるようで、手術室かと思っていた奥の部屋も診察室のようだ。助手さんに「やっぱり噛みますか?」と聞かれて、「最近はわりと噛まないです、これは引っかき傷です」と説明した。
 聡太くんの体重を測ったところ、2キロと990グラムだった。前回より少し大きくなったようだ。
 聡太くんが洗濯ネットごと落ちないように軽く押さえていると、検便の結果、お腹の虫はいない、といわれた。なにやら終了モードになってきたので、「あの、前回来た時に検便だけでなく本人も連れてきてほしいって言われたんですけど」というと、「もしお腹の虫がいたらその治療をするので……あ、もしかして去勢をご希望でしょうか?」と、頭のなかのIKKOさんが「ひきつぎ〜!!!!」と叫びそうな質問をされた。
 当然ながら「はい」と答えた。そうしたら大先生が出てきた。ちなみにこれは「だいせんせい」ではなく「おおせんせい」と読む。わたしの住んでいる地域だけなのかよそでもそうなのかは知らないが、親子とかで病院や獣医をやっていると親のほうを大先生と呼ぶのだ。この動物病院は大先生と奥さん先生と若先生の3人体制である。
 大先生はわたしの腕をみるなり「すごいな〜」と面白がった。噂にたがわぬフランクで大雑把な先生のようだ。わたしが「前回診てもらったときにタマタマが小さいって言われて」というと、「どれどれ」と聡太くんの股間を確認し、「うん大丈夫、はってらはってら」(方言で「はってら」は入っている、の意)と大雑把にOKを出した。
 それで診察が終わった。血液検査は手術当日にやるそうだ。キャリーバッグに聡太くんを戻して、待合室でチョッキンの日程を決めることになった。来月3日が空いている、と言われたが、流石に早すぎるなと思って来月の17日に予約を入れた。帰ってきて予定を確認したら、3日は心療内科だった。危ない危ない。
 料金を支払って病院を出ると、キャリーバッグの中で聡太くんが「にゃーん……」と鳴いた。疲れたのだと思う。聡太くんは帰ってきたらまっすぐ父氏の膝に行ってスヤスヤと昼寝をした。

たぶん焼き魚の夢をみている。


 ちょっと早い気もするが、来月には7ヶ月になっている。時期的には問題ないはずだ。大先生は大雑把だったがそれを言うならいつもの獣医さんだってかなり大雑把だ。大雑把のベクトルが違う気もするが。
 不安がないと言えば嘘になる。というか怖い。でもチョッキンしないといずれ家のあちこちでスプレーするだろうし脱走しようとするだろう。
 これは聡太くんの安全と家庭内の平和のためだ。聡太くんが我々と幸せに暮らすために必要なのだ。
 しかし手術前の絶食、嫌がらずにできるだろうか。ぜったい噛んで暴れると思うのだが。

「すずしくなってね、もうふがすきなんだ」


 さて、聡太くんのトイレがいよいよ小さくなってきた。そろそろ大人猫用のトイレに切り替えねばならない。きょうあたりホームセンターに行ってみようと思っている。
 たまちゃんと暮らしていたころのように、人間のトイレの横に猫トイレを置いて、それで覚えてもらえたらいいなと思っている。
 聡太くんは今朝、見事なピラニアと化してガブガブ噛んで暴れた。お腹いっぱいになって眠くなると暴れるらしい。今はスヤァと寝ている。なんなんだお前は。
 そしてついに、突破は不可能だろうと思われていた、台所とピアノの部屋を仕切っているふすまを突破してしまった。器用に開けて入っていくのだ。ピアノの部屋からさらに奥の縁側で洗濯を干すときは外に出て行かないように気をつけねばならない。きのう録画して積んでいた星新一短編ドラマを観ていていきなり「ボーン」と低音でピアノを鳴らされて死ぬほどビビった。
 それからさっきそれに入って嫌な思いをしたはずのキャリーバッグの匂いをわざわざ嗅ぎに行くのはなぜだろう。恐怖に好奇心が勝るのだろうか。
 昨日はハエみたいな小さい虫を捕まえてモグモグしていたし、どこまでもフリーダムである。いまのところお腹をくだしたりはしていないので、ちょっと様子を見る感じだ。
 毎日がワクワク、毎日が冒険、毎日がインディ・ジョーンズである。楽しそうで大変よろしい。
 この楽しい毎日が続いてくれと願ってしまうわたしは悪い飼い主だろうか。大人猫になって穏やかになってからの暮らしもきっと楽しいと思うが。

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