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きょうの聡太くん 2022/9/17

(本日の弊noteは時間が飛び飛びです。ご容赦ください)

 いま、初めて来た獣医さんの前にいる。中で問診票をどうにか自力で書いた。ポケベルを預かって車で待っているのだが、順番待ちの車がズラリと並んでいる。みんな犬猫が乗っていて、お利口さんなんだか悪い子なんだか知らないが、とにかくすごい数だ。
 聡太くんはキャリーの中で絶望の叫びを上げている。楽しそうに「なんだこれは〜?」という感じで、自分から好奇心の赴くままキャリーの中に入ったくせに、車に乗ったとたん「いやだ〜」と絶叫し始めた。
 獣医さんに入って問診票を書いて、いつもの獣医さんからもらったワクチン手帳を提出し、「●●先生からの紹介なんですけど……」と、いつもの獣医さんの名前を出した。スタッフのお姉さんに、「●●先生のところで検便とか猫エイズの検査はしましたか?」と聞かれた。もちろんやっていない。いつもの獣医さんは連れて行ったら観察して「痩せ気味だけどおおむね健康!!」と宣言したからだ。
 というわけでまだしばらく待たねばならない。

「くつひもってたのしいよねー」


 はい、帰ってきました。
 呼び出しのポケベルの音がでっかくてびっくりしたがそれはまあどうでもいい。中に入ってしばらく待つのだが、いつもの獣医さんと違ってたくさんの患畜と飼い主が待っていた。
 動物病院の中は、聡太くんが我が家に来るのが決まる前に「見にいこうか」と言っていたように子猫の貰い手探しの張り紙やら、「ワンちゃんをお連れの方は近くの道路でフンをしたら片付けてください」とかの張り紙やら、ワクチンのポスターやら、いろいろとゴチャゴチャしていた。
「カナザワさーん」と呼ばれて入ると、まず聡太くんを洗濯ネットに入れられた。スタッフのひとがとにかくテキパキしていて、わたしのやることはほぼ口で普段のようすを説明するだけだ。
 聡太くんは「聡太ちゃん」と呼ばれていた。フルネームにちゃん付けで呼ばれるのはおそらく聡太くんも初めての体験であろう。
 血液検査をするかと思ったらさきに検便をしなくてはならないらしい。スタッフさんと獣医さんが「ウンチ降りてきてる?」「いやーまだですね」と言いながら、なにやらスプーンのような器具を見ていた。おそらくUNKOが降りてきていたらあれでへじるのであろう。
 とりあえずUNKOはあとにして、目や耳を診察された。目がちょっと腫れているということで目薬と眼軟膏をつけられ、耳掃除され、お腹の薬を注射され、それからタマタマの状態を確認され、
「小さいね」と獣医さん(わりとさっぱりとした、白衣を着た年配の女医さん)に言われた。小さいのか。その後も「タマタマ小さい」を連呼されていた。女医さんは男性の若い獣医さんを呼んできて、「タマタマ小さいよね?」「小さいですね」というやりとりをしていた。
 ならもうちょっと待ってあげたいなあと思ったのだが、噛み癖があると言って腕を見せたところ、「タマタマ取れば少し大人しくなるかもしれないねえ」と言われた。
 そして聡太くんは「ご飯もらってるんだから噛んじゃだめだよ」とお説教されていた。そしてその一連の流れのあいだ、ずっと大人しくしていた。借りてきた猫だ。噛み癖があると言ったので洗濯ネットから診察する箇所を出して診察、という感じだったが、騒いだりはしなかった。
 料金は耳掃除や目薬や注射と初診料を合わせて4000円だった。けっこうとられたが、まあこれが普通なのだろう。
 診察券をもらい、最後に受付のスタッフのひとに「カ“ナ”ザワさんですか、カ“ネ”ザワさんですか」と訊かれて、「カネザワです」と答えた。
 次回は検便を持って聡太くんとチョッキンの時期を相談しに行く。タマタマは小さいものの月齢的にとってしまっていいのだという。

「ちゅーるをよこしたことだしゆるしてしんぜよう」


 もうちょっと待ってあげたい気持ちはある。聡太くんには巨大猫になってほしいからだ。でも噛み癖が減るなら……というのもある。難しい。
 家に帰ってきたら不機嫌そのものだったが、ちゅーるを与えたら少々機嫌を直したらしく、父氏の膝で寝ている。もしかしたら父氏以外の男の人に触られるのは初めてだったかもしれない。
 聡太くんも飼い主もヘトヘトである。獣医さんというのは人間の医者と同じで疲れるものだ。なにより待合室に患畜がたくさんいるという状況に慣れない。いつもの獣医さんがいかに商売っけがないのかよく分かる。
 チョッキンはいつになるのだろうか。考えると気が遠くなる。その前に検便と血液検査がある。頑張れ聡太くん……頑張れわたし……。

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