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きょうの聡太くん 2025/2/27

 ソファのカバーから糸くずがぴろりんと出ている。聡太くんがカバーに爪を立てて糸を引っ張り出したのである。なぜそういうことをするのか。それでいいと思っているのか。わからない。
「まあ猫はそういうことをする生き物だし」とは思うのだが、わざわざ爪を立てて糸くずをピロリンとする理由はなんなのか。
 というかもしかしたら爪を立てて引っ張り出したというより爪がひっかかって取れなくなって引っ張り出してしまったのかもしれない。なんにせよすでにソファのカバーはボロボロだ。本人に「わるいことをしている」という自覚がない、なさすぎる。
 ソファの話をもう一つ。きのう、ソファに横になっていた体勢から起き上がってなにかして戻ってきたら、聡太くんはソファのほとんど真ん中と言える地点を占領しており、しょうがなくすみっこに座って本を読んでいたらちょっとひじを動かすたびに「うるさい、やめろ」と猫パンチを食らった。納得がいかない。
 聡太くんは満ち足りてなお猛猫である。「まんぞく……」と寝ているとき以外はだいたいガリガリくんだ。あるいはなにかしら食べている。人間をなんだと思っているのだろう。
 猫が本気を出したら人間ごときあっさり殺られてしまうらしいので、本気をださないところを見るとわれわれを家族だとは思っているらしい。ならもうちょっと日ごろからお利口にできないものだろうか。たぶん本人、いや本猫が話せたら「いーえ? ぼくはまいにちおりこうですけど?」とか小生意気なことを言うにちがいないのだ。
 あまりに猫パンチをくらって手がボロッボロなので、最近はあんまりネイルを塗ろうと思わなくなってしまった。すごくちっちゃい瓶にひとつマニキュアが残っているというのにだ。
 猫パンチを喰らうと買い物に行ったとき消毒液がしみる、食器を洗えば洗剤がしみる。泣いたら負けだ。

あざとい。


 じゃらしへの執着がすごい。きのう退屈そうにしていたので戸棚からじゃらしを出そう……と立ち上がったらわたしを先回りしてじゃらしの戸棚に猫魔死愚羅(ねこまっしぐら)した。人間が考えていることがわかるのだ。テレパスか。七瀬シリーズか。
 じゃらしを出してやると「ニャアアアアン!!!! ニャアアアアン!!!!」と、小型の絶叫マシンになってしまう。大絶叫してじゃらしと戦うのだが、よその猫はこんなふうに騒ぐのだろうか。
 なんというか騒ぎ方がスプリング・ハズ・カムなのが気になる。聡太くんは子猫のうちにチョッキンしたのだから春になっても猫的な春がくるわけがないのだが、騒ぎかたが完全に春である。お前は小鳥か。
 でもあれだけ騒げばストレスもぶっ飛ぶよなあとは思う。しかも人間が楽しいというオマケつきだ。いっぱい遊べばたくさん食べるしいいことずくめである。
 なお聡太くんのじゃらし(コメリパワーで買ったやつ)は二代目である。聡太くんが我が家にやってくるときにも買ったのだが、それはかじったはずみで乳歯が抜けて血まみれにしてしまった。血まみれはさすがに怖いので捨てたのだった。
 しかしじゃらしというものは人間と遊ぶ必要があるものだ。うっかり手をはなすと持ち運び始めて危険なので、本当のところはボールでハッスルしてほしいところである。ボールなら飲み込まないし刺さらないので安全だ。
 聡太くんはコメリパワーで売られている4個入りのちょっと高いボールに入っている布製ボールのグレーのほうが好きで、色合いが本猫に似ているので勝手に「銀の弟」などと呼んでいたのだが、なくしてしまった。来月は聡太くんの誕生日があるので、またコメリパワーのちょっと高いボールを買ってあげようと思っている。どうせきっとどこかにないないするのだろうが……。

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