きょうの聡太くん 2024/11/12
きのうの朝聡太くんは執拗に母氏の手を狙い、隙あらば飛んでいって噛もうとしていた。ガリガリくんである。
手をソファと体の隙間に隠しても掘り起こして噛もうとするので、母氏は聡太くんを捕獲してぎゅーっと抱きしめて、「なにをしているですかあ!」と叱っていた。聡太くんは「は、はなせ! やめろ!」という顔をして、母氏と目を合わさないように頑張っていた。
どんなお説教よりこれがいちばん効くかもしれない。ただ反省しているかはわからない。
わたしはよく、激しく噛まれながら「だめです!」とか「やめて!」とか、言葉による説得を試みるのだが、どうやら聡太くんは自分に都合のいい言葉しか覚えていないようで、叱ってものれんに腕押しというかぬかに釘というか馬耳東風というか、「へえー」とスルーされてしまう。
聡太くんは名前のわりに、話せばわかるほど賢い猫でないような気がする。抱っこして壁に近づくテストも手が出なかった。やっぱりあんまり賢くないのだ。
きのう聡太くんは朝ごはんのあとにUNKOを出したらしい。なぜ「らしい」なのかというと、わたしは歯医者に行っていて現場を押さえたわけではないからだ。
すると昼ごはんを与えたら「おいしいおいしい……おいしいおいしい……」とカリカリもパウチもきれいに食べた。猫の腸というのはずいぶんとシンプルにできているらしい。
要するにお腹が空いていないというのは、腸のなかにUNKOが残っている状態なのではあるまいか。聡太くんは若いころ、ちょっと多めのご飯を食べたらすぐトイレにいってゆるいUNKOをお出しになったことがある。シンプル生物なのだ。
でもお腹が空いていなくても食べようと思えば食べられるようで、顔の前に食器を突き出されるとなんだかんだ「おいしいおいしい……」と食べている。変なやつだ。最初からきれいに食べてほしいのだが、まあそこは満ち足りているから仕方がないのかもしれない。
とにかく残さずちゃんと食べてほしい。動物は食べてナンボである。
きのうの夕飯のとき、聡太くんはカリカリを残して、ほら、と顔の前に食器をだしても「もういいです……」というリアクションをした。もしかしたら、と思って、カリカリを拾って手のひらから「ほら」と食べさせてみたら、「わるくないですねもぐもぐ」と食べてくれた。
人間の夕飯はシャケフライであった。もしかしたらシャケフライのほうを食べたかったのかもしれない。
でも食べないのがただ甘えているだけだとしたら、こいつはどれだけ人間に心配をかける気でいるのだろう。心配されるというのはなんとなく嬉しい、小さいころ熱を出したときに家族がみんな心配してくれて嬉しく思った人もいるのではないだろうか。そういうことなのだ。聡太くんは心配されて嬉しいのだ!!!!
食べるのは大事なことだ、食べないとそこから弱っていく。だから少々無理にでもカリカリを食べさせ、「げぷ」と言っているのを(大丈夫か?)と内心心配している。
そういえば本放送のときは録画する番組がかぶってしまった「グレーテルのかまど」のSPY×FAMILY(以下スパイファミリーと呼称する)回を、きのうの再放送で録画して観た。
スパイファミリーはインスタの広告にボンドが登場したところで「これは読まなきゃいけないやつだ」と思って読んでいて、日本中のワンちゃんの名前が「ボンド」になったらしいと知ったのだが、聡太くんはボンドではなく「そーた」という名前を「アーニャ ぴーなつがすき」みたいな調子で呼んでいる。別に聡太くんは超能力が使えるわけではないのだが……。
つまり「そーた ササミがすき」である。新しいボールを出せば「わくわく……!」である。アーニャのあんまり賢くないところと聡太くんのあんまり賢くないところはちょっと似ている、と思うのだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?