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きょうの聡太くんとヘドロ飼い主 2023/11/4

 まずはきのうの聡太くんの暴挙から書かねばなるまい。
 きのうの人間の夕飯はシンプルに肉野菜炒めであった。豚バラとか大根とかニラとかをがーっと炒めたやつだ。それを人間がうまいうまいと食べていると聡太くんの姿が見えなくなった。
 台所にいるのだろう、と思って、しかし大した悪さをするとも思えないので放っておいて、でも一向に戻ってこないので台所に行ってみると、肉野菜炒めを作ったフライパンに張った水をなめて顔を油と水でベチョベチョにしていた。しかも肉野菜炒めの匂いがする。有罪確定である。
 顔のベチョベチョになったところをペット用ウェットシートや蒸しタオルでゴシゴシ拭いたが、本人としては顔がベチョベチョなのは気にならないのか顔を手で擦って手をなめるのに夢中になっていた。きのうはずっとそれをしていたように感じる。なんてやつだ。
 なにより炒め物にはニラが入っていた。もちろん鍋の中身はすべて移動しているのでニラをかじることはなかったが、なんだか不安な一晩であった。起きてきたら元気そうだった。ただし顔は油でペショペショだが。

まだ自分は小さいと思っているらしい。


 さいきん流し台で悪さをしないなあと思っていたらこれだ。ディスポーザー漁りもしないし水滴観察学会もしないしと安心していたらこういうことをする。
 まあ悪いのは人間なんですけどね! わははは! とりあえず本人が無事だったのでよしとする。なんてやつだ……。

 人間のほうは薬が足りなくなるので内科に行って薬だけ処方してもらってきた。どうして病院というのはああも嫌な気分になるところなのだろう。
 午後に行くつもりだったが午後からだといつもの薬局が開いていないので午前中になってしまった。やりたいことがいろいろあったのに。
 もう余裕で15年以上は薬を飲み続けているわけだが、統合失調症というのは本当に治るのだろうか。自分では元気なつもりでもときおり変な妄想をしていることがあって、こういう人間に車の免許を持たせてはダメだと自分でもよく分かるのだった。

「おひざであんよをなめます」


 聡太くんは人間の弱点をよく知っておられる。
 人間の手を噛むとき手のひらを縦に噛む。皮がめくれたりするしめくれなくても激痛だ。手のひらを噛むと痛がるということがわかるらしい。
 きょうも内科に電話しながら激しく手を噛まれた。痛かった。こちらは電話をしていてろくに反撃できない。電話を持っていないほうの手を「がり……がり……」と噛み続けるのである。いったいなにがお気に召さなかったのだろう。
 結果、けっこう大きな傷ができてしまった。内科でアルコール消毒したらしみるしみる。帰ってきてせっけんで手を洗ったらしみるしみる。そのうち噛まれすぎて手相が変わるのではあるまいか。まあ占いはしないけれども。
 たぶん払いのけて防御しようとすると「遊んでもらっている」と思うのではなかろうか。「かむとあそんでもらえるぞ!」みたいな認識なのだ。恐ろしい子!
 いまはお利口に布団に収まって寝ている。かわいい。とりあえず元気そうでたいへん安心しているのだった。

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