『経営戦略としてのSDGs・ESG』を読んで
白井旬さん著『経営戦略としてのSDGs・ESG “未来から愛される会社”になって地域×業界№1を目指す』を読ませていただきました。
もう少し編集さんが全体の構成を丁寧に練っていたら、もう少し読みやすい本に仕上がっていたであろうとか、引用としてWikipediaが堂々と掲載されていたことに驚いたとかいうことは、とりあえずおいておきましょう。
経営戦略なんて言葉がタイトルにあると、一般社員である自分には関係ないと思う方も多いかもしれません。でも、これからの社会ではSDGsもESGも企業が発展していくには必要不可欠。つまり今、みなさんが働いている場所がこれらを意識せずにいたら、企業としての発展は見込めず、業績後退、雇用を削減なんて事態も起こりかねないわけです。 そう考えたら、決してみなさんにも関係ない話ではないことが分かっていただけるかと思います。
SDGsはだいぶ世の中で浸透してきたので、なんとなく知っているという人も多いでしょう。 でもESGはいったい何?と感じる人がほとんどではないでしょうか? 私もちょっと前までそうでした。 ESGとは簡単に言うと、持続可能な世界の実現のために、企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・カバナンス(G)の3つの観点のことを言います。2006年、当時の国連事務総長コフィー・アナン氏が発表した「責任投資原則(PRI)」の中で、投資判断の新たな観点としてESGが紹介されました。 つまり、E、S、G、3つの要素に取り組んでいる企業に積極的に投資を行うことが大きな潮流になったのです。ESG投資という言葉はここからきています。
つまりこのESGを実践していない企業には投資家が投資を行わなくなり、資金繰りに困るような事態になりかねないのです。そのため、ESGを実践した経営戦略を行っていない企業に身を置いている人は、そのキャリアに大きな暗雲が立ち込めているといっても過言ではありません。ですから、社員が団結して、ESGを意識した経営戦略を立てるよう経営陣に求める必要が出てくるでしょう。
構成がイマイチなので多少の読みにくさはあるものの、読みながら、自分が勤める企業がSDGs、ESGを実践しているかを検証するということは大きな意味があると思います。それは今の日本の社会においては、企業の命運は個人(そこで働く人)の未来と等しいからです。SDGs、ESGに対して意識の低い会社では、残念ながら同じくSDGs、ESGの意識が低い人材しか育成されません。もしあなたの所属している会社がSDGs、ESGの意識が低ければ、あなた自身もSDGs、ESGに高い意識を持つことができず、転職で壁にぶつかるかもしれません。
自分の置かれている状況をこの本を通じて客観的に把握することで、キャリアデザインを描く一助になるに違いありません。
すると気づくでしょう。 日本の多くの企業がSDGsやESGを本当の意味で実践できていないという事実に。 つまり、このままではあなたのキャリアには暗雲が立ち込めるばかりだということです。では、その現実を変えるにはどうすればいいか?
それも、この本を読み進めていくと気づくでしょう。 本の中でSDGs、ESGを実践している会社として紹介されている中小企業の多くには、熱意のある人、そしてささやかな発想力(アイディア)があった、ということに。 あなたが、その熱意のある人物になることもできる。 あなたのささやかな発想力(アイディア)が、会社を変える大きな力になる可能性もある。 つまり、あなたが会社の経営を左右する人物になることもあり得るという訳です。
残念ながら、ここ数十年で世界の考え方、価値観ががらりと変わり、企業は自然と業績が上がっていく時代ではなくなりました。一人ひとりの力が試される時代になってきているのです。それは言い換えてみれば、努力や意識の持ち方次第で、あなたが時代の中心となるようなナニモノかを生み出すことができる時代になってきたということなのです。
本書を読んでいると、自分にもたくさんのチャンスがあることに気づかされるでしょう。 私ももっと勉強して、様々な方向にアンテナを張り、今の時代だからこそ自分にできる何かを早く見つけて、ひとかどの人物になりたいものです。 みなさんも一緒に頑張りましょう。