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版画家 前田政雄さんの景色

私事、若いころに出品させて頂いていた国画会版画部にて2005年、「前田賞」を頂戴いたしました。正直、その当時は受賞を頂戴するまで賞の意味や前田氏の事を存じ上げてはいませんでした。
しかし、前田政雄氏の作品と功績を知ってすっかり虜になってしまいました。

版画家、前田政雄さんの生涯については吉留直輝氏による『版ニュースNo.6』(企画・発行/輝開2000)と、2006年に北海道立函館美術館で開催された『前田政雄展ー知られざる画業の全貌ー』の図録に詳しく掲載されているのでご覧いただきたくことが出来ます。

その前田政雄が見てきた同じ風景を目にしたいと思い、手元に所有していた連作画集『北海道八景』(昭和5年、6年)のロケーションを2018年から2022年までの期間、辿って氏の感性とまなざしにふれてみました。
そこには郷里への愛と、作家の模範となる姿が見えてきました。

自身の中でキーワードにしていた冬の箱館五稜郭。あまりに寒く、見るだけに留まりました。
100年を経て、変わらぬ景色と消えた景色がある。

詳しくは拙著「版画家 前田政雄のまなざしー北海道八景をとおしてー」(札幌大谷大学/紀要第52号)に執筆させていただいておりますのでご興味、機会がございましたらご覧いただけると幸いです。

現在、諸都合で出品はしておりませんが、「前田政雄」とのご縁を頂戴した国画会版画部には感謝しきれません。深く御礼を申し上げます。前田政雄作品をぜひ一度、手に取って画面の魅力だけではなく、想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
この記事が何かの、どなたかのお役にたてると幸いです。

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