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ジョンヒョン | 冬の人
冬が本当に好きだ。
なぜだか息がはーっと出て、あちこち厚く身を包んだ人たちを見るのが、そんな日にただ見るのが好きだった。
何よりも音楽を夢見ていた頃、一日中いる練習の沼から抜け出して家に向かうとき。
広がる息を見ながら、僕の中に留まっていたものたちも、あんな風に自由に広がればいいのにと何度も思った。
そのときの僕は冬が好きだというよりも、憧れていた。
冬のようになりたかった。
冷たく無関心だけど自由で透徹した。
そんな人。
成長しながら 僕は憧れるたくさんのものたちに似せようと努力した。
その中でも冬になりたいという気持ちが断然大きかった。
僕は仕事を始める前は冬を寒いと感じていた。
寂しくて苦しいと思っていた。
つらさを絶頂に感じる、希望を夢見る季節。
それが冬だった。
いつからか心にマメができたその日から僕は十分に冬に似ていて、そんな僕を理解して包み込んでくれる人たちが世の中にいた。
そうして僕は冬になった。
僕の予想よりあたたかな。
ジョンヒョンは冬に旅立った。
彼の大好きな季節に。
冬になりたかった彼。
冬になった彼。
そしてジョンヒョンは永遠に冬の人になった。
あたたかな冬の人に。
ここに書かれている『心のマメ』については、プルンバムでこんな風に話をしていた。
誰かのいい加減な判断に傷つく必要はありません。でも人間なんだから、そう簡単ではないですよね。僕もオープニングでそんな話をしたけど、僕もとても簡単に投げかけられた言葉に傷つきます。傷つきすぎると、手にマメができるように、心にもマメができるんですよ。
傷つくことがあっても、理解して包み込んでくれる人たちがいると話してくれたジョンヒョン。
わたしは彼の中にある冬を知りたかった。
冬になりたいと思っていた彼の言葉を理解したかった。
そしてこれからまた冬がやってくる。
凛とした朝の空気。
星が瞬く澄んだ夜空。
舞い落ちる雪の静寂。
きっとこれまでも冬は彼のことをやさしく包み込んでいたのだと思う。
今もまだ彼のことを想う人々や美しい冬はこれからも彼のことをそっと包んでくれるだろう。
あたたかく、そして穏やかに。