水力発電の強電まわり
水車から伝達された動力はこのギヤードモーターで電力に変換されます。1.5kWの200V三相誘導モーターで、比較的入手は簡単です。
このような水力発電に於いて、普通は永久磁石同期発電機を使うようなところですが、それは素人には入手自体が困難な上に高価で、水車を完全に停止しなければ常に端子に電圧がかかるので安全上の懸念があります。
そのため、入手性に優れ、値段も比較的安く、軸が回転していようとも励磁電流を流さなければ発電もしない三相誘導モーターを使います。このギヤードモーターは工場でベルトコンベアーなどを動かしているような、何の変哲も無いごく普通の汎用品です。
ただ、誘導モーターなので単に軸を回しただけでは端子から電力を取り出すことはできません。そこでVVVFインバータを使い、励磁電流を流しながら滑りが負の状態を維持することで回生運転します。要するに、誘導モーターを使っている電車の回生ブレーキと同じ原理です。
モーターとインバータ盤は約40mの距離を地中に埋設したケーブルで接続します。センサレス制御なので別途回転数センサなどは必要なく、3相の電源線のみです。
インバータなどの制御装置を収めたボックスはホームセンターで激安で売っていたコメ保管庫を使いました。シャレで安全標識を貼るとそれっぽくなります。
ボックスの上に無造作に置かれた小さな樹脂製のボックスには無線モジュールが収められています。この無線モジュールを通じて遠隔からワイヤレスで水力発電の監視制御が行えます。
ボックスの中はVVVFインバータ装置、充電制御装置、サイクル(EB)鉛バッテリー、静止型インバータ(正弦波インバータ)などの装置が納められています。(EMERGENCY STOP ボタンは一応ちゃんと機能しますがロマン半分面白半分で機能性は残りカスみたいなもんです)
モーターで変換された電気エネルギーはVVVFインバータの直流リンク出力(280~380V)を通じて充電制御装置に入り電圧を変換したのち、24Vの鉛バッテリーに蓄電されます。バッテリーには静止型インバータが接続されており、ここでAC100Vの正弦波に変換した後に屋内に引き込みます。
VVVFインバータ装置の中身は全て民生用の一般的に入手可能な電子部品で構成しています。制御アルゴリズムは独自開発です。
充電制御装置の中身も同じく民生用の汎用品で構成しています。こちらも独自開発のアルゴリズムでバッテリーを管理しています。
バッテリーのDC24VからAC100Vに変換する静止型インバータは自作するよりも既製品を使う方が安くついてしまいます。
ボックスから出たAC100Vの配線は壁を伝い屋内に引き込み、天井裏を通して一階と二階の壁コンセントに通じます。上のコンセントが水力発電で、下が商用電源です。
尚、サイクル(EB)バッテリーとはいえ深放電したままにしておくと劣化が進むので、静止型インバータのバッテリー保護機能とは別に、充電制御装置にてバッテリーの使用状況に応じて事前警告ありで自動的にAC100Vの出力を止めたり再開したりします。AC100V出力は独立系です。系統連系はお金がかかるのでやりません(笑)