水力発電のシステム
良い設計とは拡張可能な設計であることです。水力発電では飽き足らず、そのうち風力や太陽光をくっつけたいと思う時が来るかもしれません。天候や季節の変動で大きく変化する供給と、様々な事象が折り重なって大きく変動する需要への対処、設置環境や設備の規模も様々あります。それらに対応すべくスケーラブルで拡張可能なシステムを構成する必要があります。
水力発電の個別要素をモジュールとし、それぞれ自由に構成できるようにします。
この図に則って筆者宅で実際に稼働中のシステムを表すとこうなります。
要点をざっと以下にまとめます。
VVVFインバータ
・センサレスベクトル制御により発電機とは3本の電力線のみで接続し、外付けのセンサ類が不要
・最適励磁制御により誘導発電機の理論最大効率を発揮する二次磁束で運転
・最大効率追従制御により動力源と誘導発電機から取り出せる電気エネルギーが最大になる速度とトルクで運転
(将来的にパラメータ適応により手動での設定を不要にしたい。理想的にはポン付けで直ぐに動く物を...)
誘導発電機
・汎用の三相誘導モーターを回生運転で使用
・励磁電流を流さなければ軸の回転と関係なく発電が停止するため本質的に安全
・構造が単純で堅牢
・見込み生産品であるため入手性に優れ比較的安価
DCL(直流リンク)
・電力線2本で実現
・電力輸送と同時に需給情報を重畳
・直流280~380Vで可変し(アナログ)、この電圧が需給バランスの情報を持つ
・DCL電圧に基づいてモジュールが個々に適切な制御を行う事でDCL電力系統全体のバランスが保たれる
・dv/dtの高いデジタル信号を重畳しないので放射ノイズが比較的少ない
ネットワーク
・電力変換モジュール同士は互いに有線または無線ネットワークにより接続され、詳細な情報に基づくより高度な制御が可能
−ネットワーク障害が発生した場合でもDCL連携により発電や蓄電を続行可能
−ネットワーク機能を持たないか、敢えて接続しなくてもDCL連携により需給バランスの制御が可能
・別途端末やパソコンに接続して故障診断や稼働状況の取得、運転操作やパラメータ書き換え、ソフトウェアアップデートなどが可能