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年齢を重ねても速い曲は速く歌う・演奏するように心がけて老化予防!【原曲のスピードを目指して】
過去に演奏を頼まれた時の話。
バンドでの「歌の伴奏」で私はキーボード担当の仕事。
軽快な歌謡曲の伴奏が続き、
最後に会場の皆さんと「懐かしい歌」を歌うことに。
その曲だけ「お年寄りが多いのでゆっくり歌います」ということで
原曲のイキイキとした速さとはかけ離れたなんともとろけるような遅いテンポで演奏するようにオーダーが。
自分がもしもその客席側にいたら「こんなのおかしいよ」と言えますが
仕事なのでオーダーに応えるしかない。
弾きながら「だんだん速くしてやろう。歌っているうちに」と抵抗はしてみました。
でも私一人での演奏ではありません。
バンドですから打楽器をはじめ他の楽器が遅い場合はどうにもなりません。
そういう時は打楽器担当者にアイコンタクトと体の動きで「ノってる」ふうに動きで速く演奏するように促してみたりします。
楽しみながら前に進んでいくようにテンポを上げていくのです。
そうすると歌はテンポが速くなっても問題なくついてこられます。
それはどうしてか?
だって、この曲を昔からよく知っているからです。
何十年も前から歌っているからです。
いつも特急に乗っていたのに突然各駅停車に乗るとちょっともどかしい。
年を重ねたから、と高齢者向けのゆるいテンポで演奏しては失礼なのです。
こんなこともありました。
古く懐かしい歌なのでピアニストさんが(この人は原曲を聴いてなかったと思う)かなりゆっくり弾いてしまい
原曲とはかけ離れた感じに。
テンポ修正できるチャンスがなく、
かなり遅めに演奏することになってしまった。
それについては帰りのアンケートで「あんなに遅い曲じゃない」と意見が書かれていた。
それは当たり前。さぞ気持ち悪かったことでしょう。
しかし、それをその場で修正できなかったので反省。
それからはそういう場合は歌いながら「もっと速くもっと速く」というふうにピアノ担当者へ体を近づけていき、顔を見合わせることで理想のテンポに近づけていくようにすることに。
「それって打合せが必要では?」と思いますよね。
でも仕事によってはいきなり一緒に演奏する、ということもあります。
それは「事前にテンポについては確認してきてくれるだろう」という当たり前の約束事が奏者の方でできていないわけで、それはやっぱり困るのです。
少し前のことだったので今は「YouTubeかApple Musicなどで予習してきてね」と言えます。ありがたい。
逆に「ゆっくり歌いたいのに速く弾く」ようなことでは非常に歌いにくいですね。そういうこともありました。
歌や音楽の一番大事なことは「テンポ」や「息が合うか」ではないかと思います。
それが自在にできたり、研究できたりするのは仕事としては大事なことですができてない人も多く、それは責任感の問題もありますが、「自分の演奏を客観的に聞けてない」わけで、録音して聞いてほしい。
もう最近はスマホで簡単に録音できますので録音して自分の演奏の録音をきちんと聴いてみるところからではないかと思います。
絶対に上手になるのがその方法です。
「高齢の人と一緒に歌うとテンポが遅くない?」ということも言われるのですが
みんなのイメージでは「高齢者はもたもたしているので何か歌っても、その曲の元々の速さよりかなり遅いイメージがある」です。
そうかもしれませんが、それは上記の「伴奏する方の問題」以外にこういう問題があります。
それはズバリ「高齢になると歩くのが遅い」「動作がちょっと遅い」
そして「喋ることが減ることで口が回らなくなる(口輪筋の衰え)」ことで歌うのも少々遅く遅くなることが考えられます。
もう一つは歌集や歌詞カードの字が見えづらいことも原因。
歌の技術的な問題では「一つずつ丁寧に言いすぎる。言葉のようにまとまって一飲みにするように歌えばいい」のです。
例えとして「ちりめんじゃこを一尾ずつ箸で摘んで食べる」ように歌わずに、大きなスプーンでざっとすくって食べる=結果的に何尾もが口に一度に入る」といいよと伝えます。
元の曲のイメージに合ったように速く、リズミカルに歌うためには
・その曲の本来の速さで歌ったりピアノを弾いてお手本を示す
・元の音源を聴いてもらう。前奏からワクワクする感じを体感するのが良い。
・口周りを動かす体操をする(これはまた後日書きます)
・歌詞を早口で読んでみる
ことを行い、それから歌うとテンポが遅くなる点についてはかなり改善されます。
また、こんな問いかけを
「皆さんは若い頃にゴーゴーとか社交ダンスを踊ったでしょう?何を着ていましたか?二十歳の頃にそんなにゆっくり歌ってましたか?ゆっくり歩いてましたか?」と問いかけて歌ってみるとちゃんと原曲のような速さで歌える。ノリノリです。
ぬるま湯に浸かったような、そして用心ばかりするような歌い方をしていると歌も大幅に老化していくし、無駄に大きな労力を喉にかけてしまい、声も本来持っている声とかけ離れていくように感じます。
手でリズムを打つとき遅れるのは、手を大きく開いてから叩くので、その距離が長くなり、遅れることもあります。そこで口で個人的に注意せずに、前で軽やかにお手本を見せて真似をしてもらうのがいいと思います。
もうリズムに合わせて手を打つことはできない場合もあります。聴力や脳の問題もあります。
それを責めない、個人的に攻撃しないこともとても大切です。
高齢者は(そうでなくても)傷つくとその回復には時間がかかります。
人の前で恥をかかせては絶対にダメなのです。
個人レッスンでは注意してもいいと思います。褒めるだけのレッスンではもの足らないでしょう。
年齢を重ねても速い曲は速く歌う・演奏するように心がけて老化予防!【原曲のスピードに近くしよう】
というタイトルで書きましたが
もちろん原曲はスピードが速くてもわざとゆっくり歌う、表現方法を変化させるというやり方もありますので必ずしも今日書いたことが全てではないです。
徳永英明さんが他の歌手のアップテンポの曲を、ゆっくりと語りかけるように歌うようなカヴァーもありますがそれは素敵で人気があるのも確かな事実です。