見出し画像

#015 百星の明は一月の光に如かず

エピソード

さあさあちょっとね。あれしっちょう?テレスコープ。聞いたことない?あのねー、望遠鏡なんよ。遠眼鏡なんよ。
そそそ、いやなんかね、今日の日の、そのー年月日と、あと時間を、合わせると、その星座早見盤にね、星をね、見せてくれるやつがあるんですよ。

今回は紹介したいのは、「百星の明は一月の光に如かず」です。
なんか、ロバートの秋山さんが作りそうな、雰囲気のことわざですが、これは実在することわざです。
意味は、夜空にある無数の星を集めても、月の光の強さには敵わないというところから、取るに足りない人間が沢山あつまっても、ひとりの賢者には敵わないという意味です。
なんか、元も子もない、ことわざですよね。

この番組のリスナーの方なら、これが中国由来のことわざということは、すぐ分かりますよね。出典は、前漢時代の淮南王(わいなんおう)劉安の思想書「淮南子 (えなんじ)」という書物で、他にも沢山のことわざや名言の出典になっているすごい書物です。
日本書紀の冒頭も「淮南子 」から引用されていると言えば、その凄さが分かると思います。

星には大きく分けて二種類あります。
自ら燃えて光る星と、自らは光らない星です。
自ら光る星は恒星と呼ばれて、自ら光らない星は惑星や衛星と呼ばれます。
恒星の周りを回っているのが惑星、惑星の周りを回っているのが衛星です。惑星や衛星が光らないのか?というとそういう訳でもなくて、惑星や衛星は恒星の光を反射して光ります。

勘が良い方なら、これからどんな話をするか、察しがついたかな?って思います。
「月」って衛星なんですよね?地球の周りを回っている一番近い星です。
で、衛星なので自らは光ってなくて、太陽の光を反射してるんですよね。
では、夜空に光る無数の星はどうでしょうか?
比較的近くにある惑星も太陽の光の反射で光ってますが、ほとんどの星は太陽と同じように自ら光る恒星なんです。太陽よりも遥かに明るい星もいくつもある。

それらの星の光を全て集めたものが、太陽一つの光を反射している月の光よりも小さい訳ないじゃないですか?でも、実際人の目には月の光の方が明るく見えますよね?
これって結局、地球からの距離が原因ですよね?無数の星は遠くてよく見ないので小さく暗く見える。月は近いので大きく明るく見える。
そうなんです。あなたが、月のように賢者だと思っている人は本当に賢者なのでしょうか?
取るにたらない、夜空の小さく暗い星だと思っている人たちは、本当に取るに足らない存在なんでしょうか?
意外と遠くてちゃんと見れてないだけで、近くで見るととても輝いている人たちかもしれませんよ。

この話、もう一つ面白いところがあって、地球から見た時に一番明るい星は「太陽」なんですが、この話には「太陽」は出てきません。
なぜなら「太陽」は明るすぎるからです。
「太陽」が光っていると他の星が光っている事も分からない。
でも、太陽が一番明るいんです。あなたが、月のようだと思っている人は、実際は太陽みたいな存在が別にいて、その光の反射で明るく光って見えてるだけ、ただそれだけの事かもしれませんよ。

季節はすっかり夏ですね。夏の夜空では、夏の星座が楽しめます。
特に明るい星の、白鳥座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガを結んだ、夏の大三角形は有名でみつけやすいです。
7月下旬だと、9時頃に天頂から東の空に光っています。
デネブ、アルタイル、ベガの3つの星は太陽よりも遥かに大きな星々です。
特に白鳥座のデネブは直径は太陽の100倍、光の強さは5万倍以上の超巨星です。こんな星が夜空の他の星と同じように光っているのは、距離が1400光年と、とても遠いところにあるからです。
改めて宇宙の大きさってすごいなあーって思いますね。

寝苦しい夜が続きますが、そういう時はちょっと布団から抜け出して、夏の夜空を見上げて宇宙の大きさを感じてみるのは、どうでしょうか?
自分自身もちっぽけな存在と思えて来ますし、悩みなんかも取るに足らないものってきっと思えてきますよ。
そうすると、案外よく眠れるかもしれませんよ。

次回へ、続きません。


エピソードのメタ情報

第15回の台本です。
配信日は2024/07/20でした。

ちょっとロマンチックなエピソードにした回です。
自画自賛ですが良かったんじゃないでしょうか?

科学大好き少年だったんで宇宙のことには凄く興味がありますが、実は星座はあんまり興味が無かったりします。
地学もあんまり得意ではなかったですね。空間認識能力が低いんで天球のイメージが頭に描けないんでテスト中はうーんうーん言ってました。

宇宙論も昔とは大分変わってきてて、ビッグバン理論なんかも今はもう古い!って時代なんですね。

星をモチーフにしたエピソードは、またある気がします。
なんでそう思うかは秘密です。

もしよかったら、このエピソードのポッドキャストも聴いてみてください。

「和尚は逃げても寺は逃げない」はポッドキャストで配信していて以下プラットフォームで聴取可能です。

いいなと思ったら応援しよう!