【番外編】長崎には「#7119」がある〜手足口病顛末記〜
9月30日に「手足口病」と診断されてから、約2週間経った。
当時、長崎県ではとても流行っていて、そう珍しいことではなく、単純に運が悪かったねという感じだった。が、そう簡単な話では終わらない。
今日10月12日現在、私は長崎県唯一の特定機能病院に通院中で、正確には「顛末」ではなく、治療途中の記録である。
なお、記事の最後に写真を載せているが、グロテスクなものが苦手な人は見ないように。閲覧注意、見るなら自己責任で。
人生初の手足口病
手のひらに湿疹ができ、それが痛い。痛いけれど我慢できないこともない。ペットボトルのキャップを開けるのも、包丁を持つのも難しいけれど。
それが9月29日の夜のこと。
翌朝、37℃を超えていたので、診察を受けることにした。ネット検索すると「手足口病」のようだ。
近くの診療所から順に「手足口病っぽいのですが、診てもらえますか?」と電話していく。「順に電話していく」という表現からおわかりいただけるだろうが、「はい」という返事は返ってこなかった。かかりつけの診療所も、救急指定病院も、どこもかしこも「うちではちょっと、、よそへ」と言う。
驚きと困惑。手足口病とは、そんなに難しい病気なのか? かかったことがないので、どうして断られるのか、理解できない。これまで、ハチに刺されてGoogleの評価が高い内科へ駆け込んだときですら、断れることなはかった。だから、一体電話の向こうの人が何を言ってるのか、よく分からなかった。
5軒目で「皮膚科へ電話してみては」と言われ、「ああ、熱発する感染症だけど皮膚に発疹が出るから皮膚科なのか」と理解した。
一番近いと思われる、車で約30分の距離にある皮膚科に電話すると受診OKとのこと。すぐに向かい、手のひらを見せた。
「手足口病ですね、対症療法しかできません。湿疹に塗るクリームと水疱が破れたときのための消毒液、熱が出てるなら解熱剤と一緒に飲む胃薬を出します。3日で治ります」と1分で解決。薬局で薬をもらって帰った。
高熱と赤斑
最初の3日間は39℃超え、一時は40℃近くまで熱発。そのたびに処方された解熱剤を飲むが、38.8℃とか、解熱といえるほどには下がらなかった。
秋めく中、フリースを着て毛布にくるまり、それでも寒くて寒くて仕方ない。かと思うと、暑くなって扇風機をかけて体を冷やす。その繰り返し。
4日目、手のひらの発疹は痛くなくなったことに気づく。が、腕の内側とふくらはぎ、太ももに赤い発疹がぽつぽつと出始め、一気に広がっていった。
ひとつのサイズが大きくなり、近くのものと合体し、合体し、合体を繰り返し、いつの間にか足首上がぐるり一周赤斑に覆われている。
少し盛り上がった、でこぼことした赤い斑紋が縦に横に広がり、ひざ下は元の白い部分の方が少なくなった。太ももも広範囲に赤斑が広がっている。
腕はまだましで、だが目立つことには変わりがない。
熱も少し下がったとはいえ、38℃後半が日に一度以上出る。つらいのと不安なのとで、もう一度受診することにした。
皮膚科だけでなく内科的な診断もしてもらいたかったので、一番近い総合病院に電話した。そこは前回、「かかりつけがいるならそちらで診てもらって」とやんわり断られたところ。
現状と熱などで体がきつく、長く運転するのが難しいことを伝え、回答を待つ。「皮膚科を受診したのなら、そちらへ」「今の体調で30分運転するのが無理だから診てもらいたい」「前回のカルテを取り寄せたり、問診を一からするとなると治療開始に時間がかかって患者さんの不利になるので」「皮膚科に今すぐ電話してカルテをそちらに送るように言います」「そういうことではなく」「何がどうあっても診れないということですか」「そうです」
そこは救急指定病院なのだが、もし私が救急車で運ばれたなら診てもらえたのだろうか。
結局、病院はあきらめた。
熱が上がれば解熱剤を飲み、買い置きのヨーグルトやバナナを食べ、水分をとりながら寝る。苦しくて眠れないのだが。
#7119に相談
泣き言と恨み言をつぶやく私に、友人が「こういうのあるよ」とメッセしてくれた。
病気やケガをしたときの相談窓口、「#7119」。
24時間365日、看護師が相談に対応している。全国18地域で行われていて、人口の47%をカバーしているらしい。(※ 総務省消防庁サイトより)
なお、長崎市のサイトでは「医師と看護師」となっているが、長崎県のポスターでは「看護師」とある。私が電話したときも「看護師による対応」と言われた。
この電話が私を救った。
再度診療拒否の翌日、久しぶりに鏡を見ると、眼球がむくんでいた。充血もひどい。
手足口病が目にきたのか、それとも持病のひとつ「クインケの浮腫」が体調不良で出たのか。そんなことを思いつつネット検索すると、なんと「クインケの浮腫」持ちはロキソニンNGだった。
いやいやいやいや、そのせいでもしかして足もこんなことになってたりする!?
手足の赤斑は、なんともグロテスクに成長していた。自分で見たり、触ったりするのも気持ち悪いが、人に見せたら吐くかもしれない。そのくらい、ひどい状態だった。(※ 最後に写真を添付しておくが、くれぐれも閲覧注意!)
もうこれは、そういう診断がつくところで診てもらうしかない。単科ではなく、それなりに数もこなしている、中程度以上の総合病院。しかし引っ越して間もない私には、どこがそれに相当するのか分からなかった。
そこで「#7119」に相談することにした。
月曜からこの5日間にあったことを電話口の看護師に伝えると、うちから近い順に、それなりに大きな病院を5軒ほどおしえてくれた。
循環器内科から特定機能病院へ
紹介された病院に皮膚科はなかった。熱が続いていることやクインケの浮腫のことなどから、内科や総合病院で診てもらう方がいいからという。
中から、Googleの口コミ評価が高く、感染症へも対策をとった上で対応している循環器内科へ電話してみた。決められた時間に来て、車で待機するようにとのことだった。
最初は看護師による問診、次に医師が問診票を見ながら再度問診。その際、むくむからと足を助手席に上げていたのだが、ワイドパンツのすそからひざ下が出ていて、それをたまたま医師が見た。
それを加味した上で、「うちでは手に負えないので、もっと大きな病院への紹介状を書きます。すぐに診てもらうように」と言われた。
紹介状の宛名の病院は症状から薬疹の可能性が大きいが現在ベッドに空きがないとのこと。するとその連絡を受けた循環器内科の医師が、特定機能病院へ緊急で手配をしてくれて、その日の夕方に受診できた。
見た目と血液検査の結果から、薬疹ではなく感染症によるものだろうとのこと。ただし薬疹の可能性も排除できないので、ここ最近飲み始めた薬を除外し、新しく解熱剤や皮膚の薬などを処方された。
このとき18時を回り、看護師は業務時間を超えたため退勤。医師も時間外のようだったが、最後まで説明を端折らず、イヤな顔もせず、若干話のかみ合わないにもかかわらず、丁寧に応対してくれた。
それが先週金曜のこと。
それから一週間、今週木曜に再診。
熱は37℃くらいまで下がり、もう解熱剤を飲むほどではない。ただ、足と手のかゆみがひどく、毎晩かいてかいて眠れない。処方された塗り薬も、かゆみ止めも効果がない。
前回の血液検査でカリウムが低いことを指摘されたことが気になり、また病気になってから糖尿病の薬を飲まずに糖質ばかりとっていることが気になったので、再度血液検査を念入りにしてもらうことになった。
手足口病と関係があるのか、高熱が出たからなのか、長く寝込んだからなのか。とにかく体や手指が動かない。特に右手の薬指と小指、左手の人差し指が深く曲げられない。立ち上がれない。足首が固くて、さらにひざから下に力が入らない。
布団からおきあがるために、一度横に転がり、四つんばいになって椅子へたどり着き、両腕のひじ下を踏ん張ってやっとこ立ち上がる。寝すぎて腰が痛いのはしょっちゅうだが、こんなに体が固まって初めての気がする。
ということで血液検査をしてもらったが、結果はやはりカリウムの数値が低い。病気かどうかは不問で、とにかく果物を食べることになった。まあ、こっちはメインの病気じゃないから様子見だ。
手足の瘢痕は、相も変わらず広がっていて、薄くなったようだけれど、単に見慣れただけの気もする。医師も「治ってきてますね」などとは言わない。
でこぼこしていたものが凹凸がなくなってきたこと、時間が経った部分は鮮明な赤からくすんだ赤へと色味が変化したこと、新しい発疹は出てないことから、薬疹の可能性は低いという。
来週には決着か
来週木曜に再再診の予約が入っている。
今日現在、腕の発疹痕は心なし薄くなったように見える。足の赤斑も、もう凹凸はなく、鮮烈な赤味はかなり消えた。
が、一方、目の充血は相変わらずで、気のせいか白目が少々黄色に見える。
何にせよ、解熱し、つらさは解消、体力はともかく動けるようになった。つらくて苦しい時期は脱したので、そろそろ社会復帰をし始めている。
今回、「皮膚に発疹ができたから皮膚科へ」と言われて皮膚科へ行った。が、全身状態が総合的に悪くなっていたため、#7119に相談したら内科を含む病院をすすめられた。さらに、実際に行ったのは循環器内科で、そこで大きな病院への紹介状を書いてもらい、危険因子をひとつずつ消していっている。
もしかしたら最初から循環器内科へ行っていたら、もっと早く回復していたかもしれない。診療科目ではなく、その病院という意味において。
今回のことを経て、信頼できる病院に通うことの重要性を痛感した。どんな病気であろうと、診察や診断を任せられるところで診てもらいたい。なので、持病のかかりつけもこちらに変えようと思う。
今回の病気が手足口病だったのか、手足口病だけだったのか。私の感染源となった人は、一体どのような経過をたどったのだろう。私だけがひどかったのか、それともその人もなのか。感染源を特定しようとは思わないが。
とりあえず、この話はこれでおしまい。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
下に足の写真を載せておく。本当にグロテスクなので閲覧注意。自己責任で見るように。