5. 三木雄信『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』
世界のトップと働いているわけでもなければ、もちろん、ぼくが世界のトップであるはずもない。
それでも、圧倒的な資料づくりの技術を学びたいという思いから、ソフトバンクで孫正義氏のもと働いてきた三木雄信氏の『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』を手にした。
先に読んでいた同氏の『「A4」一枚仕事術』が比較的軽めの内容であったのに対し、こちらは重量級の「法則」がひしめく。孫正義氏であれば一瞬で捨てられるダメな資料と、一流の優れた資料。それらを対比しながら話は進んでいく。
会議の議事録や「ワンメッセージ・ワンイメージ」のくだりは『「A4」一枚仕事術』と重なるところも多いが、特に後半、パレート図や回帰分析のあたりはソフトバンク流の真骨頂。
孫正義氏の「これから回帰分析をしないやつの話は一切聞かない」という宣言はあまりにも強烈だ。
もし、いま働いている会社の社長がこう宣言したら、ぼくはどうするだろう。大半はついていけないだろうから、同様にそのまま聞いたふりだけで終わらせるか。それとも、これからは回帰分析の時代だから、と必死に喰らいつくか。20代であったら躊躇なく前者を選ぶだろうが、これから40代を迎えて、後者を選んでしまう可能性がなくもない。
資料の法則を学ぶために読んだ書籍から得た教訓は、統計学をいつまでも苦手なままで終わらしていてはいけない、だった。