17. 中原淳・金井壽宏『リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する』 前編
ストレングス・ファインダー改めクリフトンストレングス・テストの結果、一番の強みは「内省」だった。
この「内省」という強み。どうやら、世界的には珍しいが、日本ではそうでもない、わりと特殊な性質らしい。
最近こだわりつづけているマネージャーというキーワードと、「内省」が結びついた本書。否が応でも興味を惹かれる。
新書ながら、相当な分厚さと読みごたえを誇る本書。1日1冊のペースでは到底追いつけないため、前編と後編にわけて書いていく。
「内省」というと、ウチにこもってああでもないこうでもないと悩む、瞑想に代表されるような、いわば「自省」のイメージだが、本書での「内省」は「ふりかえり」に近い。説教ではない失敗経験も含んだ語りによって、上司と部下で相互に学びあい、成長しあう。抽象的な理論と経験から導かれる持論をうまくミックスさせ、内省によって経験を知恵にまで昇華させる。
マネジャーであるからには、教育者でもあらねばならない。手とり足とり指導するのではなく、学びの順序を最適化し、メンバーが相互に先生役となれるような職場をつくり、職場そのものを学習の場とする、そのような風土をデザインするのがその役割である。
ただし、マネジャーひとりがメンバーの成長の責任を負う必要はない。人が育ちやすい環境をつくるのは責務だが、そこで学ぼうとしない人が成長しきれない責任まで負う必要はない。
このひとことで、正直、ずいぶん救われた。
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