メンタルとフィジカルを鍛える:怪我を乗り越えるための具体策
怪我をしたアスリートにできること
怪我はアスリートにとって深刻な問題です。もちろん避けたいですし、確率を減らすよう取り組んでいてもゼロにはできません。
トレーニング指導に加えて実技練習も見始めたタイセイ君がパンダ以外の補強で怪我してしまい、再手術となりました。なんでやねん。実技練習ならともかく補強やトレーニングでの怪我はゼロにしたいものです。
怪我は経験しないと重要性に気づきにくい
怪我をした事がない人は自分が怪我をする感覚があまり無いものです。縁遠い感じなんですよね。
一方で、一度でも大怪我するとしばらくトラウマを抱えるというかビビりまくるもの。感覚も変わっちゃいます。怪我の再発を防ぐようリスク減らしつつ努力をすることが大切です。
怪我のメンタル影響
一般の人でも健康を損なったり日常にも少なからず影響がでますから気分も落ちますし、競技に向き合っているアスリートなら尚更でしょう。メンタルも落ちる状況ですが、前を向いてやれることに取り組むことで現状もメンタルも改善します。
もちろん休養も大切です。無理は禁物。
怪我をする前に時間を戻せたり、医療が進歩してパーツ交換とかできるようになる未来があるかもですが現状自身の身体を使うしかない。大事に鍛えて使いましょう。
競技力を向上させる要素
まず競技力を向上させるのに必要なものは、いくつかに分けられます。
1 競技スキル
2 身体操作(脳)
3 体のベース(筋肉)
4 筋力
5 心肺機能
6 思考力
スポーツの競技力を伸ばすには、スキル練習が最重要です。
そのスポーツのテクニックはそのスポーツを練習しなければ身につきません。あたりまえ体操です。一流のサッカー選手でも野球を行なったら素人と変わらないかもしれません。(体力レベルが優れているので素人とまではいかないかもしれませんが)
野球が上手くなりたかったら野球の練習をしましょう。スポーツは人を相手にして競い合うもの。じゃあどうすればいいか?壁打ち?
上述の6つの要素のうち、試合形式の実戦練習はケースによっては再現が難しいですが、他の要素は工夫次第でなんとかなるのかと思います。
それは怪我をしていても、です。
スキル部分を抽出して競技練習
私の知人の格闘技選手は奥さん(格闘技未経験)にミットを持たせているそうです。夫婦愛と工夫。・技術の引き出しを学ぶ(思考する)
前十字靭帯断裂してしまったとある選手は、手術して可動域も制限されていましたが、信頼できるパートナーと片脚を使わずに寝技のロールをしていました。
もちろん普通の練習や状況を理解して負傷部位に負担をかけずに付き合ってくれるパートナーがいるという簡単ではない部分もありますが、工夫次第ではできることはあるのだと気づかせてくれます。
大丈夫、あなたが優しくしていれば周りもあなたに優しくしてくれるはず。
怪我をしてしまったときだからこそ取り組める内容
そして怪我をしてしまったときだからこそ出来る内容がアスリートとして身体のベースとパワーを作るための筋力トレーニングです。
負傷期間終了後に可能となる、最も大事なスキル練習の質を高めるために、筋力、筋肉量は大事です。トレーニングで筋力・筋肉量が伸びれば、それだけ余力を持って練習が行えるので、良い練習をする土台ができます。(トレーニング効果が出るくらい実技練習で追い込まれたらフォームが崩れたりしてスキル向上の効果は低くなります)
オンシーズンでは特にそうですが、トレーニングにおいて気をつける内容が疲労による実技練習への支障です。筋肉痛が実技練習にマイナスに出ることもあります。スケジュールやボリュームなど熟考する必要があるのですが、今こそガッツリトレーニングできるタイミングです。(もちろん回復を考える必要もありますし目的がなんであれ最適量の刺激でよいのです)追い込めます。
食事管理の重要性
そして運動量が低下したり、ストレスで食生活が乱れて体脂肪が増加してしまうと、競技練習の際に重りとなり、感覚が狂ったりパフィーマンス発揮にマイナスに働きます。
怪我をしている時期は思うように練習が出来ないため、プライベートで想像が付かないような悩みを抱えたり、日々の息苦しさにストレスを感じることはあるのかと思います。
ただ、自暴自棄になって食事管理を怠ることは自分自身の未来に対して勿体無いです。怪我の完治まで、負傷の影響がどれくらいあるのか、休んでいる間にライバルとの差はどうなるのか?不安要素もたくさんあるでしょう。
とはいえ組織の回復のためには栄養が必要です。アンダーカロリーだったり栄養が不足している場合は治癒も遅くなります。
過剰になり過ぎずコントロールしつつ適切な栄養素を補給しましょう。
復帰の先を見据える
また競技復帰できるよう基礎体力要素や体組成をコントロールする努力はきっと役立ちます。身体が整うと、精神衛生上も整う方向に向きます。食事管理や怪我をしていない部位の筋力強化などできることも沢山あります。
まずは下地作りと決め、筋肉量という土台を作って、最大筋力を伸ばし、復帰をスムーズにする、復帰後により成果を出すということを目標にできると精神的にも安定するのではないでしょうか。
マッチョになるだけではスポーツは上手くならない?使える筋肉の作り方
マッチョになるだけではスポーツの競技力を伸ばすには不十分。
そこから、所謂使える筋肉に変えるためのパートが必要です。まあ筋肉は筋肉なので、自重でつけようが、バーベルだろうが、スポーツだろうが同じ筋肉。筋肉の操作が違うだけ。筋肉を使えるようにする作業も筋トレでOK。格闘技がなぜ階級別なのかは、筋力が違ったら勝負にならないからです。コンタクトスポーツに筋力は大事。コンタクトスポーツでなくても最大筋力が伸びる事で余力が生まれればスキル発揮も相対的に楽になり余裕が生まれパフォーマンスも向上します。そして筋力を伸ばすことが筋パワーを伸ばすことに繋がります。
外的要素が排除される今だからこそ、内的な身体感覚に目を向けるのは良いです。対人競技なんかは相手というランダムな要素があるので体力の伸びや要素に偏りが生じますが、筋トレは自分自身のみ。
筋力を伸ばす方向で努力していくと、積み重ねていく部分と無駄を省いていく方向への努力が出てきます。地力を伸ばす、ロスを無くす、対象に力を伝える、技術的な精度を高める。
適したトレーニング法とは?
どんなトレーニングが良いでしょうか?ファンクショナルトレーニング?機能的と謳っても本質的な部分を理解しなければただの体操。
ベーシックな筋トレを行いましょう。筋力を養っておくことは大事です。環境が許すならバーベルを用いたストレングス。無ければ自重トレーニングも効果的です。ゴムバンドだっていい。重力方向でなくてもトレーニングできるのでベッドの上でも可能です。クライアントの井上さんが膝の手術で入院した時はゴムバンドとベッドに固定するアンカーを差し入れしました。ちゃんと使っててよろしい。
ケトルベルもいい。ベストを選択出来なくても出来るだけ良いものをチョイスしていきましょう。
怪我は予防がベストの選択肢
再三私のnoteでは言っていますが、トレーニングの重要な目的が怪我の予防です。とはいっても、気をつけていても練習や試合等で怪我をしてしまうことはあります。
再起不能でなければ良しとしましょう。ネガティヴに捉えることがプラスになるわけではありません。(振り返って反省はしましょう)
私が怪我から学んだこと
かくいう私も怪我をしてしまったことはあります。自身の怪我をしたタイミングや状況から学びは多かったです。運が悪かったのではなく、なるべくしてなったとも思えました。構造的に無理のある状況においては怪我をしない事が運が良いだけ。
怪我を通じてより身体の操作や姿勢制御、勢いのコントロールなど細部まで見直すキッカケとなりました。ここでの学びから諸々が怪我をする前より良くなっています。以前は局所的な部位の痛みなどがありましたが、その手の問題がかなり減少しています。
そして怪我自体は望ましくないものですが、自身の怪我の経験は指導において役立っています。職業柄ですね。
怪我をしたときのトレーニング
オンシーズンや通常時では技術練習に支障が及ばないようにトレーニングの時間やボリュームをコントロールします。
ですが、怪我をしたタイミングでは実技よりフィジカルトレーニングに時間を割くことができることもあるでしょう。そんな時はトレーニングの頻度と強度を調整してフィジカル要素を重点的に伸ばすチャンスです。復帰時に新たな能力を獲得して戻れるとしたら大きなプラスになるかと思います。
腕が使えない時のメニュー
仮に肘が使えないケースを想定してみます。
肩関節はある程度負荷を掛けてトレーニングできるとしたら上腕にパットを当てて行うマシンでのペックフライやマシンのサイドレイズ、マシンプルオーバーなどは行えるでしょう。あとは別のnoteに書いた上腕にアタッチメントを付けてのラットプルダウンなども行えますね。
腕に引っ掛けて引っ張るやり方です。詳細は下記noteに。
加圧トレーニングは関節に対して小さな負担でトレーニング効果を引き出すことが可能です。(通常のトレーニングとの比較については省きます)
私が脳筋だったころ、術後表面の傷が塞がったタイミングで加圧なら物理的な負荷も小さいから大丈夫だろと思って加圧トレしたら傷口からめちゃくちゃ血が溢れ出しました。表面だけで中はまだズタズタだった模様です。気をつけましょう。というか医師に相談はマストです。
脚を痛めた時のメニュー
上半身をガッツリ鍛えましょう。
この際はスタンディングはもちろん、脚に負担が掛からない姿勢で行いましょう。シーテッドポジションなども勝手がいいので使いやすいです。この場合は角度調整が効くベンチ大丈夫が便利。
パンダジムのアジャストベンチは角度調整も豊富で使いやすいです。
ベントロウなんか下肢が使えないとそもそも姿勢すら保てない。そんな時はベンチ台にうつ伏せになりましょう。
下肢に負荷をかけずにトレーニングできます。
トレーニングは少しでもしておく
脚を怪我していたとしても、下肢もできる種目があるなら治療のマイナスにならない範囲でやるのがおすすめです。効果が少ないにせよトレーニングがゼロよりトレーニングした方がマイナスも抑えられます。
片腕を怪我してしまった場合、休養とリハビリが必要ですし、骨折だったりするとギブスで固定してしばらく全く動かせない状態となってしまうかもしれません。
ここで当たり前だけど覚えておきたいのが、筋肉は動かさないと筋力が低下するということです。
1週間の寝たきりで10〜15%の筋力が低下するというデータがあります。2週で30%低下。
ですが、この筋力低下を抑制する方法があります。
4週に渡って1日8時間片腕を固定した実験があります。固定していない腕でトレーニングした群は2%の筋力低下、トレーニングしない群は28%の筋力低下となりました。怪我していない方の腕でトレーニングをすることで動かせない方の筋力低下を抑えているのです。
ワンハンドロウ、ワンハンドダンベルプレスなど、ワンハンドでトレーニングできる種目も沢山あります。
怪我してしまったからと腐らずに、やれる事をやっておきましょう。
セルフケア
コンディションも保つのも大事。いいトレーニングをするためにも、精神を保つためにも身体の状態を良く保ちましょう。
鍼やマッサージも金銭的理由から頻繁には難しい。そんな時はセルフケア。まずは自宅でできるストレッチ。入浴も良いです。
セルフケアにフロスはおススメ
フロスを使った圧迫もオススメ。フロスは下のホームページから。通販でお買い求めいただけます。
割引コード【SJSYMD】こちらで少しお得に購入できるので是非!
フロスの使い方や効果については私の過去のnoteをご参照ください。
マッサージガン
振動も良いです。マッサージガンがネットで買えます。
Amazonでマッサージガンを調べると価格は様々で3,000円程度のものから数万円まで様々。上記のドクターエアのものなんかは間違いはないですが、やや高めなので安いものでどんなものか体感してみてもいいかもしれません。
個人的にはサイズが小さいものはパワーがやや足りないかなと思ってしまいます。価格に関わらず大きさがある程度大きければ、パワフルな傾向にあると思います。作りは非常にカンタンなものなので安くても問題ないように思います。
まとめ
筋力トレーニングで地力をアップ
スキルトレーニングで操作性を獲得
実技練習は出来る範囲で型稽古で行う
食事管理をして体組成を極端に悪化させない
ストレッチや入浴でセルフケアもすると良い
といったところでしょうか。しかし、そもそもは怪我をしないように!
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