中村 奏太 Sota Nakamura

法学部卒→現在は修士で音楽学専攻 往年の演奏家に憧憬を抱く、ギリ20世紀生まれのピアノ弾き。知られざるヒストリカル盤の魅力、クラシック音楽にまつわる小ネタを発信中。

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法学部卒→現在は修士で音楽学専攻 往年の演奏家に憧憬を抱く、ギリ20世紀生まれのピアノ弾き。知られざるヒストリカル盤の魅力、クラシック音楽にまつわる小ネタを発信中。

最近の記事

プフィッツナー⇒フルトヴェングラー⇒ティーレマン? 〜ベートーヴェン交響曲第8番をめぐって

人類の遺産ともいえるL.v.ベートーヴェンの傑作の宝庫の中で私がとりわけ愛してやまないのが交響曲第8番。「のだめ」のテーマとしても有名な7番と《第九》に挟まれており、曲想も古典的かつ小規模なため比較的地味(影が薄い?)な存在に甘んじているようです。しかし、ベートーヴェンは自信作と自負しており、随所に独創的なアイデア、遊び心が詰まっています。本稿では、第1楽章冒頭と異なる時代の3人の指揮者に焦点を当てようと思います。 この作品は、序奏を置かず、主要(第1)主題が祝祭的な雰囲気

    • 同時代を生きた演奏家で聴くドヴォジャーク(3)ウィレム・メンゲルベルク

      ウィレム・メンゲルベルクという名をご存知でしょうか。かつてトスカニーニ、ワルター、フルトヴェングラーと並び称され、当時第一級の巨匠として扱われた偉大な指揮者ですが、今では殆ど顧みられなくなってしまいました。(そこには世界大戦中における複雑な事情が絡んでいるのですが…) 彼は、とりわけマーラーやR.シュトラウスから作品の献呈を受け、積極的に取り上げるなど密接な協力関係を築き、その受容に貢献したことで知られています。加えて、ブラームスやチャイコフスキー、グリーグを直接知っている最

      • 同時代を生きた演奏家で聴くドヴォジャーク(2)モード・パウエル

        私がモード・パウエルというヴァイオリニストの名を知ったのは意外にも早く、高校2年生の時でした。教室の発表会でヴァイオリンとデュオを披露する機会があり、そこで選曲したのがドヴォジャークのロマンティックな小品第1曲と「我が母の教え給いし歌」(ジプシーの歌第4曲)。後者は原曲が歌曲なので、ヴァイオリン版をIMSLPで探し、たまたま見つけて使用した楽譜が彼女の編曲だったという訳です。 ただ、その時はパウエルという人について詳しく調べることもなく、女性だということにさえ気が付いていませ

        • 同時代を生きた演奏家で聴くドヴォジャーク(1)ボヘミア四重奏団

          【序言】私が崇敬してやまないドヴォジャークとの出会い チェコ国民楽派を代表する作曲家アントニン・ドヴォジャーク(注1)。クラシックを習慣的に聴くようになった頃から、誰しも耳馴染みのある「新世界」や「スラヴ舞曲」にも既に惹かれていましたが、一番衝撃を受けたのは、インターネットラジオから流れてきたピアノ三重奏曲第4番ドゥムキーと、図書館で雑多に借りてきたCDを聴き漁る中で何気なしにかけた『交響曲イギリス』(注2)でした。のっけから聴こえてきたのは、この世のものと思えない美しい調

          必聴!!チャイコフスキーの愛人(?)サペルニコフが弾くピアノ協奏曲第1番

          世紀を超える時を隔て作曲家が生きた時代の空気感を共有した演奏家の録音に耳を傾ける、そんなロマンに満ちた鑑賞体験は如何でしょう!? とりわけ作曲家と関係が深い演奏家による録音を聴くことは、作曲家自身の音楽観を探る上で極めて有用ですし、演奏にあたっても多くのヒントをもたらしてくれるはず。 今回は、ロシアを代表する作曲家チャイコフスキーの名曲・ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23を取り上げます。最近は、ロシアによる組織的ドーピング問題の影響で、オリンピックの表彰式でロシア国歌

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          初めまして。 私は、大学で法律を学ぶ傍ら、ピアノの研鑽を積み、演奏会の企画・出演など積極的に活動しています。 浅学非才の身ではありますが、主観的な考察や情報共有を通じて、クラシック音楽の楽しさ・奥深さをお伝えしたいと考えています。宜しくお願いします。 私の十八番、ガーシュウィンのThe Man I Love♫ 私がピアノを始めたのは3歳の頃、ピアノ教師の母の影響でした。しかし、当時は音楽に興味を抱けず「やらされてる感」が強かった為、中学受験に伴い塾以外の他の習い事は切り捨