月刊そうすけVol.27
ー物の心を助けるーを社訓とする「古家具古道具そうすけ」その名の通り店内には、 愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。 心を込めて、前の持ち主から新しい持ち主へのバトンタッチの役目を果たしたい。 一生付き合える古家具古道具との出会いがあることを願って…。
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夜には鈴虫が鳴き、やっと待ち望んでいた秋が顔を覗かせ始めました。
飴色に輝く古家具たちは、秋にこそ似合うような気がします。
2ヶ月ぶりに訪れたそうすけ(先月は現地取材がお休みでした)。
なんだかいつもと違う風の流れを感じるなあと思ったら、 なんと、フレッシュな若手が2人、スタッフとして加わっていました!
人材不足で悩みが多かった店主米倉もなんだか明るく楽しそうな様子。
そうすけに新しい血が通い始めた10月。 今回は、さらっと近況報告や、古家具についてのメンテナンスなどをお伝えします。
新しい風
古道具古家具を扱うそうすけで働くということは 体力や知恵や根性が必須。
それらを持ち合わせつつ、日々冒険し、楽しみながら お客様を喜ばせたいという目的でキビキビ動く。
いいなればある種のパキッとした体育会系の現場ですが、その人材のピースが揃うとめちゃくちゃかっこいい、そして強く爽やかな風が吹いてきます。
丁寧に、程よい力加減でそうすけの古家具を直していく職人がいて それをお客様に届ける、紹介するスタッフがいる。 全体が見えていないと、歯車は綺麗に動かない。 店主米倉が理想とする仕事の現場。
新たなスタッフのおかげでまわってきているような雰囲気がしました。
一番若手で大変な時期も踏ん張っていた柿谷くんに後輩が2人もできたということで彼の張り切りようも伝わってきました。 いい先輩ぶりが素敵です。
色々な働き方 〜店主米倉最近の豆情報〜
店主米倉は日々色々なことに興味を持ち 情報を取り入れ勉強したりしています。 Youtubeのお気に入りのチャンネルがあったり、 ポッドキャストも教材になります。私たち取材陣にもいつも新たな情報を教えてくださったり 毎回ふむふむとなります。 そのネタの一つ。
今回そうすけには新人スタッフが無事入ったということですが、 数ヶ月リクルートには苦心していました。
そういう話を聞くとマッチする人材に出会えるのって、 奇跡とか運命に近いのではないかと思えるくらい。
そんな出会いの確率を増やす面白いお話をお聞きました。
あるポッドキャストからの情報
企業で行われる採用試験。 4時面接、5時面接まで行われ、ふるいにかけられてしまう人材たち。 同じ能力があっても、例えばその技術をもった人は去年採用してしまったとかそういう理由で入社することができない人材たちが 、次の職場を探すのに有利になる仕組みを考えた会社があるそう。
最終面接まで行って残念な結果になったとしても、 そこから別の企業を紹介するようなシステムを作った。 そうすると、企業側も良い人材に恵まれる機会や確率が増え、 Winwinな結果に。 もうずっと行っていても良かったのではないかと思うような当たり前に思える仕組み、 これが実現し始めたこの頃。時代の変化が良い方向へ向かっている気がしました。
もう一つは、 OB社員を再雇用とかそういう話。
人手不足なところへ、その現場を熟知して信頼のおけるOBが日数は少なくとも痒いところに手が届くというようなスタンスで 働いてもらうような仕組みも増えているそう。
とても効率的な良い話だなあと店主米倉が思っていた矢先、たまたま今も良い関係が続いているOBとやりとりをする中で、 「自分の勉強にもなるからと今の仕事の合間に 土日どこか空いてるところで働きに行かせてもらおうかな〜」 なんて話が舞い込んだとか。
柔軟でとても素敵な話ではありませんか。
古家具について(メンテナンス等)
店主米倉と話す中で、 最近の若いお客さんの間では、 古道具や古家具という認識があまりないのではないかという 意外な情報が出てきました。
そうすけの扱っている家具が、 何十年、もしかしたら100年以上も昔に作られたもので、 多くの人の手に渡ってきてそれをメンテナンスして今がある、 という歴史には特にフューチャーしていないということです。
40代の我々取材陣からしたら、ちょっとびっくりな情報でしたが 少し考えてみるとなんとなく納得でした。
そもそも、そうすけの商品の打ち出し方が 骨董品を崇めるような売り方をしていない。 例えば、これは何年代で、どういう特徴があって、みたいな。 それはある意味若い人たちに店主米倉の意図が伝わっているということなのではないでしょうか。
見た目がかっこいい。美しい。 そこが入り口でもそれはそれで素敵なことです。
そこから、実は古家具なんだよ、こういう歴史があるんだよと 興味を持つきっかけもいいかもしれません。
という話の流れで、 古家具のメンテナンスの話になります。
よくお客さんから、家具のメンテナンスのことを聞かれることもあるそう。
そういう時は、濡れ雑巾できれいに拭く、 年に一回「荏油」(エゴマ油から作られ
た家具専門のオイル)で乾拭きすると良い、 と答えるそうです。
そうすけの家具は無垢材が多いので、このメンテナンスが長持ちの秘訣。
と、ここで無垢材と書いたのですが、 実はこの無垢材というものも、説明しないと知らない方もいるとか。
材について
無垢材とは、 山に生えている木を切って、製材(丸太から板にして、ゆっくりと乾かし、形を整える)の工程を経て 出来上がる材料。
木、そのものといったところ。
乾かす工程がちゃんとしていれば、大きく反れたりすることは少ないのですが、 湿気の具合で無垢材に入る水分量が変化し、少し膨らんだりします。
その時に、若干引き戸や引き出しが開きづらくなることがあるのです。
無垢材を家具に使うことはとても贅沢なことで、 そこが時代を経てきた家具の特徴と作りの贅沢さにつながります。
近代は無垢材をおいそれと使うことは難しかったり、また木の反れををなるべく回避するために
合板
※薄くスライスした単板(ベニヤ)を多層、接着した木質材料
集成材
※小さく切った木材を接着剤で貼り合せて1枚の板にした材料
などの材料が使われることが多く、 これは長持ち具合にも影響します。
見た目のかっこよさだけでなく、長い時間を経てなおどっしりと輝き続ける 無垢材の古家具の良さを知ってもらえるきっかけになって欲しいですね。
先日のお客様
あるカップルが来店し、テレビとソファの間におく小さいテーブルが欲しいとのことでした。
店主米倉が対応。
以前そうすけで古いソリを買ってくれていたカップルは 現在それをテレビ台として使っているとか。
彼らのファッションや、 家の雰囲気などを聞きながら想像を膨らませる。
茶色い皮のソファ。
その間に入る小さめなテーブル。
まず2つ紹介した中で、2人が選んだのは民芸調のテーブルでした。
彼女のポップめな服装をもう一度確認した米倉は、 2人は気に入ってるものの、ちょっとピンと来ないな…(もしかしたらちょっと民芸すぎるのではないか) その後、八角形のテーブルと、シンプルな桜材のテーブルを薦め 結局桜材のテーブルを気に入っていただき、満足して帰られたそう。
普通に会話しているように見えて 実はこんなに細かく観察しているんだなと 話を聞いただけでも想像ができ、さすがだなと思った次第です。
店主米倉は、いつも接客を思いっきり楽しんでいるように見受けます。
大声で笑ってるところもよく目にします。
自分たちの楽しいが出る仕事、 それがエンタメ。
家具をメンテナンスし、写真をとり、オンラインに載せ 実際に店舗で販売する。
そのどのシーンをとってもキラキラ楽しい。
そんな状態がそうすけをもっともっと輝かせていくことでしょう。
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「古家具古道具そうすけ」
https://www.so-suke.com/
https://www.instagram.com/sosuke312/
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取材:合同会社ノスリ舎