月刊そうすけvol.20
ー物の心を助けるーを社訓とする「古家具古道具そうすけ」
その名の通り店内には、愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。
心を込めて、前の持ち主から新しい持ち主へのバトンタッチの役目を果たしたい。
一生付き合える古家具古道具との出会いがあることを願って…。
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春節もすぎ、3月にやってくるのは春分。
ちょうど昼と夜の長さ同じ、
これから春を迎えるドアを開くような日ですね。
自然を讃え、生物を慈しむことを趣旨とするそうです。
そうすけにも新しい風が吹いてきています。
風は旅の心と共に、ということで
今回は、店主米倉の旅のお話です。
ー旭川へー
2月の頭、雪が降り積る北海道の旭川に店主米倉はやってきました。
旭川には北海道の豊かな森林を活かし家具や木製品を製作する工場が集結しています。日本5大家具産地の一つに数えられる「家具の聖地」とも呼ばれるほど。
その中の一つ、民芸家具を主に製作する工場に赴くことが今回の目的でした。それは数年前から進めていた、そうすけの新プロジェクトの為です。
そうすけが時代の変化に対応するため、
町の小店舗からオンラインショップと郊外店舗に移行した時のように
新たなアイデアを必要としていました。
古家具古道具はこのままいずれ枯渇していきます。
今後そうすけがあり続けるために、生産可能なものはないか?
古家具古道具に22年間携わってきた経験を活かし、
古家具のように無垢材を使って家具を作れないか?
その発想から、今までの経験と人脈を活かし、
今年に入り具体的に形になってきたのです。
ー工場見学ー
そうすけの新プロジェクトは技術も必要で手間もかかる、そこに対応してくれたのが、今回の工場でした。
デザインを担当し図面を引いたのは、元々そうすけで働いていて、のちに設計事務所の会社に入社し、家具のデザイナーとして活躍する木村氏。
木村氏が普段の仕事の取引先としている、今回の工場を引き合わせてくれました。
信頼する木村氏にサンプル製作までを任せていましたが、やはり現場や工場の方と顔合わせがしたいと、店主米倉は初めての工場視察でした。
黙々と働く従業員。
15時にはブザーが鳴り、照明が落ちて休憩が入ります。
木工作業は集中力を使う仕事、危険と隣り合わせです。緊張感のある空気が流れていました。
地場産業、地元の様々な能力を持つ職人の雇用も充実している様子です。
旭川デザインセンターも視察しました。
広大な敷地に旭川家具・クラフトが一同に集結。
ユネスコ・デザイン都市に認定される旭川市における「産業観光拠点」として、旭川家具の歴史や、ものづくりについても学ぶことのでき、見応え抜群!
空港から工場、丁寧にアテンドしてくれたのは工場の室長さん。
彼のホスピタリティにも心打たれました。
ー交流会ー
視察の後は、交流会と称した飲み会です。
北海道の郷土料理が食べられる小料理屋へ。
メンバーは
店主米倉、木村氏、工場の室長さん、木村氏の取引先の旭川の別の家具工房の役員さん、
そして米倉の中学時代からの同級生でした。
旭川地域は家具製作の会社が集結していますが、
彼らの話を聞くと、お互いが頻繁に交流し、良い関係性が築けているようです。
仲間同士の飲み会や交流会もあり、
情報交換しながらwinwinに仕事の話も繋がっていく。
その関係性がとても素敵に見えたのだとか。
前途した、米倉の同級生とは、大学で北海道にわたり、現在は林業を学ぶ専門学校の校長をしている人物でした。
実は日本の林業は様々な問題を抱えており、
山には材木となる木々が溢れて、手入れができず荒れてしまっていることも多いのです。
様々な林業の問題の解決を学べて、
森林豊かな旭川地域で木の仕事が未来へ向かって進むための学校があることも知りました。
林業の現場→製材所→家具の製作工場といった流れがセオリーで
林業の現場と、家具工場が直に接する機会は意外と無いそうで、そういう意味でも交流会はとても充実したものになったそうです。
今回の旅で出会った人々は皆、気概とプロ意識に溢れ、店主米倉が理想とするプロ集団の仕事の現場でした。
ー大阪、そして京都嵐山へー
ピリッとしたプロ意識や良い緊張感と共におおらかな北海道人の心に触れた後、
店主米倉は大阪へ。
これは全くプライベートな家族旅行でした。
大阪に降り立って思ったことは活気がある街だなと
全く旭川と雰囲気や気質が違います。
縦に長い日本の面白いところの一つです。
梅田や通天閣のあたりなどの街を楽しみ、アーケードの多さに驚きました。
そしてまた仏像。
あべのハルカス美術館で行われていた、円空展へ。
〜旅して、掘って、祈って〜
修行の旅に生涯を捧げ、人々のために祈りを込めて仏を彫った円空。
生涯に12万体の神仏を彫る誓願を立てたといわれ、飛神の剣のようにノミを振るい、神仏を彫り続けたそうです。
前回紹介した、みちのくの仏像展にも繋がりますね。
嵐山の天竜寺へ。
「天龍寺」は京都・嵐山を代表する禅寺。
禅寺の中で天竜寺は臨済宗の寺院であり、仏道修行のために坐禅修行をし、心の迷いが解け真理を会得する`悟りの境地’を目指すお寺だそうです。
700年前に作られたという大きな池と、背景に豊かな自然が楽しめる、曹源池庭園や、法堂の天井には大きな龍が描かれた雲龍図があります。
インドから中国に渡って禅宗を伝えた達磨大使がモチーフの参拝客を出迎える大胆な筆使いのだるま図は店主米倉が気に入った模様です。
ー旅から帰ってー
さて、店主米倉が留守中のそうすけは、、、
若手スタッフが米倉流接客術を使って店主の留守を守っておりました。
日々伝える、本当の意味でのお客様を喜ばせる接客。
その技はすぐに身につくものでは無いのかもしれない、日々の積み重ねです。
それでも帰ってから、少し自信がついたようなスタッフの顔を見ることができて、良い旅の収穫とともに満足げな店主米倉でした。
さて、次回はそうすけ新プロジェクトの詳細をもう少しご紹介できるとように準備していきます!
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「古家具古道具そうすけ」
https://www.so-suke.com/
https://www.instagram.com/sosuke312/
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取材:合同会社ノスリ舎
https://www.instagram.com/nosuri_sha/