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月刊そうすけVol.29

ー物の心を助けるーを社訓とする「古家具古道具そうすけ」その名の通り店内には、 愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。
心を込めて、前の持ち主から新しい持ち主へのバトンタッチの役目を果たしたい。 一生付き合える古家具古道具との出会いがあることを願って…。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人生とは、毎日の積み重ね。
朝起きて、仕事に行って、充分働いたら、
時々行きつけの飯屋に行って家に帰って寝る。
こういうシンプルな生活っていいなと最近しみじみ思います。
今回は、そうすけの原点の地であり、店主米倉が暮らす鎌倉の街での
食べる、呑む、そんなお話しです。

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ー米倉の休日の食と呑み


鎌倉の山の方に住む米倉は、休みの夕方になると 「散歩に行ってくる」と家族に伝え出かけていきます。




https://tabitobenkyou.com/kamakura-genjiyama-park

例えばこの日は、 大仏ハイキングコースを行き、源氏山頂上に出る。
そこから少し歩くと葛原岡神社があってそこから寿福寺に降りていくと
「食堂ペスカバ」がある。
シェフは飲み仲間で、呑兵衛だからこそ、酒のつまみがよくわかってると米倉。


和食ベースのつまみとビールを2杯ほど楽しむ。

今は岐れ道のところにあるイタリアン
「LA PORTA」は前号でご紹介した、和さびの大将に連れて行ってもらった店。
当時は覚園寺近くの一軒家でその感じもとても好きだったそう。

元家具職人だったオーナーシェフは店内も全部自分で作り上げてしまうとか。


行きつけのバーもいくつか。




「バー・ザ・ティップル」は 小町通りの裏に入ったところ、吉兆庵の美術館の建物の路地を入った2階にあり、 落ち着いた飴色の店内はクラシカルな雰囲気が佇む。

ティップルのオーナーは 元々都内のホテルでバーテンダーとして勤め、その後、鎌倉の名店「バー・ザ・バンク」で働いていた経験があります。
鎌倉銀行の跡を使い、グラフィックデザイナーの巨匠、渡邊かをる氏が開いたこの 「バー・ザ・バンク」も行きつけのバーの一つ。

鎌倉時代のそうすけはこのバーの裏側の隣に位置していました。

御成通りを少し進んだところにある居心地の良いカフェバー 「univibe」は鎌倉店時代にもよく足を運びました。
そうすけの品々も色々と購入してくれたとか。
昼に来客があってちょっとランチを食べたい時や、仕事終わりに一杯。 個性的なオーナーと話すのも楽しい。

すぐ近くにある 志幸はカウンターしかない蕎麦屋。
ここも美味しくてお気に入り。




ー鎌倉の愛すべき裏路地

横須賀出身の米倉。 鎌倉にそうすけを開いてからは、この街を知りたい、知るにはまず飲み屋を開拓しなければ!
飲み屋が集まる裏路地に突入していきました。

初めは断られることもあったりしましたが、 徐々に馴染み、今ではすっかり顔。

和さびの大将との出会いもあり、 飲み屋との繋がりは、広く深くなっていきます。

大将に初めて連れて行ってもらった 「よしろう」
名物女将のあかねさんが腕を振るい、小鉢が並びます。





「L’AVANCE」は女優の松井紀美江さんと五十嵐めぐみさんが営むスナック。
ここも大将の行きつけで、 大将を探すときは、よしろうかL’AVANCEをのぞけば居たとか。

夜も深まってくると訪れる、「ジュビア」というパブは女装家のマスターが迎えてくれます。 米倉と同じ高校の20歳先輩。70代でも女装は現役。
お綺麗です、とのこと。

鎌倉の裏路地、古き良き、ディープな雰囲気が色濃く残ります。



ー呑みの場が繋ぐ縁

米倉は呑みの場をとても大切にしています。
単にお酒が好き!というのもきっとあるかと思いますが、 何しろそこで学べるものが沢山あるといいます。
気持ちが良い人との距離感。コミュニケーションの取り方。
縁が縁を呼ぶ、繋がりを産む機会。
これらに米倉の人生はずっと助けられてきました。 酒の場を愛する所以です。

素敵なエピソードが2つ。

一つは、ある日酒場で知り合った作家さんがいました。
米倉が古道具屋を営んでると知って、 自宅にて査定してもらいたいとのことで出かけていきました。
買取が難しい物を見せられ、断りました。

その後酒場でその作家さんと再会。
彼は米倉に失礼なことをしたと謝罪。お詫びに一件ご馳走になりました。

これはきっと、 他の骨董屋に作家さんが相談した結果、そういうことは失礼に値するんだよと 教えてもらったのではないかと推測しているとか。

知らないことや勘違いすることですれ違ってしまうことは多々ありますが、 これはとっても粋なハッピーエンドですね。



「バー・ザ・バンク」の室内



そしてもう一つは
前途した、鎌倉の伝説的「バー・ザ・バンク」に関するお話。

グラフィックデザイナーとして名を馳せた渡邉かをるさんが理想を掲げ、 その内装を、インテリアデザイナーの片山正通さんが手がけた元鎌倉銀行の建物。
古き良き時代の雰囲気。
クラシックでシックで上品、 そんなカッコいい店内は鎌倉の通が行く名店。

2000年にオープンし、2015年に渡邉かをるさんが亡くなるまでバーは続き、
そこで一時はクローズすることになりました。

その際、ザ・バンクの隣に位置したそうすけにバースツールやテーブルを引き取って欲しいと渡邉かをるさんのお兄様から話が舞い込みました。

米倉はなぜかその時に、 いつかまた「バー・ザ・バンク」がオープンする時がくるかもしれないと それらを倉庫に大切に保管していました。

時が来て1年半後、
渡邉かをるさんの弟子でもある、片山正通さんが意思を継ぎ、再オープンが決まりました。

その時を待っていたかのように、 そうすけが守っていたバースツールとテーブルはそのまま元の位置に収まったのです。





お酒を愛し、酒場を愛し、人間を愛する米倉。 店同士の顔が見えて、 紹介しあえる、そんな関係性をとっても大切にしています。



今回のお話で、 店主米倉おすすめのお店をぜひ回ってみたいなと思った次第です。



皆様も鎌倉散策の機会にでも ちょっとディープで味のある、素敵なお店にぜひ足を運ばれたらいかがでしょうか。



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「古家具古道具そうすけ」
https://www.so-suke.com/
https://www.instagram.com/sosuke312/
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取材:合同会社ノスリ舎


https://www.instagram.com/nosuri_sha/


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