月刊そうすけ vol.7
2002年8月8日に開店して今年でちょうど20周年。
月刊そうすけと名を打ったメルマガがスタートいたしました。
様々な角度から「古家具古道具そうすけ」をご紹介していきます。
ー物の心を助けるー
を社訓とする「古家具古道具そうすけ」
その名の通り店内には、愛情を持って丁寧に補修された古家具や古道具たちが並びます。
一見気づかないほどのさりげなさで、隅々まで美意識が行き届いた店内の様子は
来店したものの心を静かに満たしてくれます。
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聞いた話によると、旧暦では節分までが一年。節分の前日は大晦日で節分が新年だとか。ということで、立春です。月刊そうすけ7回目!
今回は古家具古道具そうすけがどのように運営されているかそのルーティーンをおうかがいしてきました。
●1日のルーティーン
朝、出勤したら、窓開けて、まず必ずメールに目を通します。昨日の閉店後から今朝まで、オンラインショップの注文はあるか?
問い合わせ諸々確認。それを把握して動きます。
注文が入ってる場合は店頭商品にSOLDOUTとお客様の名前のメモを貼って商品確保。
店内掃除をばっちりしてから、各自の仕事に取り掛かります。
出勤時間は8時半から17時半。
●1週間のルーティーン
そうすけは基本的にシフト制。スタッフの誰が何をやるか明確に役割分担しています。各曜日ごとにきっちりとスケジュールが決まっていて、各々ノルマと目標に向かって仕事をします。
古道具を扱うというと、流れとかノリとかで仕事してる風に思われがちということですが、意外とギルドっぽいしっかりとしたスケジュールと役割が組まれているのです。
店長米倉氏はメールチェック・接客・店内のディスプレイ、レイアウト、そして肝心の仕入れ担当。
横井くんは主に接客と家具の洗い担当。
檜垣さんは塗装しながら接客も担当。
新人の柿谷くんは洗い、塗装、修理、接客ほかすべての修行中。
オンラインショップの撮影は湯田さんが担当など、そんな感じで現在8名のスタッフそれぞれが何曜日に何をやるかが決まっています。
例えばこんな感じです。
【撮影】 月・水・木曜日
湯田さんが担当し、自然光で撮れる時間帯の中で1日4個〜5個の家具をノルマに撮影をひたすら続けます。
一家具に対して露出を変えた3パターンを30箇所程度撮影するというのを基本にしているので、1日のべ360枚くらいは撮影することになります。
【オンラインに入力】 木曜日
撮影した写真をオンラインショップにあげるのは米倉氏のお仕事です。
【配送】 火・金曜日
撮影がないこの曜日に、撮影スペースに商品を並べて徹底的にチェック・掃除をして配送業者にバトンタッチ。
その間に商品の洗いや修理・塗装、そして接客などそれぞれの役割を果たしながら1週間が過ぎていきます。
●1ヶ月のルーティーン
1日、1週間、各スタッフの動きの段取りを決める一番重要なこと、そう、古家具古道具の【仕入れ】です。
一番大きな市場(競)は毎月3日に埼玉で行われる市場。
ここには2トントラック2台で向かい、30点前後は仕入れます。
6日・21日は相模原の市場。
14日・30日は八王子の市場。
毎週金曜日の湘南の市場(去年くらいからは行けてないけど)そうすけの理解者である仲良しの競り人さんが仕入れてくれて
画像と伝票が送られてくるので取りに行く。
こんな感じで月に大体7回は仕入れに向かいます。
仕入れた物は、洗い場のたたきに大中小で並べて手入れの順番のメモを貼っていきます。
痛み具合や欲しいものを優先に頭に入れてバランスよく見積もり、撮影1日4個、1週間に12個揃えようとすると少なくとも1週間10点〜12点作りましょうと考えながら作業する順番をつけていきます。
ルーティーンが確立したのは、鎌倉から寒川に移転してから。今年で7年目、ここ数年でやっと固まってきたそうです。
撮影に向かって仕入れ、修理し、とやっていくと大体このくらいの売り上げは作れますよね、という逆算方式で作業が進められます。
しかし仕入れというのも水物で、毎回思うように仕入れることができるわけではありません。
例えば水屋箪笥が欲しいけど思うように出てこないなど・・・そういうときは起点をきかせ、じゃあ観音開きの本棚にシフトしちゃうとか
1点単価は考えて、単価が取れるもので30点程度揃えて行きます。
■競りは駆け引き
市場も色々なシステムがあるそうですが、
一番大きな埼玉の市場は競り方式。競は符丁という独特の言葉を使って値段を言っていくので素人はわかりません。
そして値段設定も独特で、1000円からスタートしたとして、次に1100円は無し!次は1250円(符丁言葉でセンマイ)次は1650円(ジュッカンメ)など
麻雀の役のように覚えなければ相手にしてもらえないこともあるとか。
また、各々買いたい金額を最初に発するのが礼儀だったり、競りも後から急に来てポンと発して参加するのは無礼だったり。
各市場によって、礼儀や暗黙のルールがあり、売り手も買い手も納得いく市場が人気で活気があるそうです。
緊張感のある競や市場に20年間通い続けて仕入れを続ける米倉氏。
実はこの業界(古い家具を扱う)では最年長の部類に入るらしいのです。
埼玉の市場は毎月前泊して仲間と飲み会をするのが恒例。
そんな中「なんで俺、一番年上なんだよ〜」とこぼした米倉氏に、
仲間の一人が「トオルさん、他の人はもたないんですよ、ここまでやりきってない。50代まで続いている人がいないんですよ」
と言われるくらい、過酷な現場のようです。
そうすけのルーティーンの確立も米倉氏が1個1個の経験をフィードバックすることで固まってきた合理性と信念のようなものがうかがえる。
例えば職人さんは修理をする中で、自分のこだわりが出てしまうとコスパに関係なく長引いてしまう。
例えば家具を洗うにしても、洗うというのは痛めつける作業でもある。
常にメリットとデメリットを考えてどのくらいまで手をかけるかを指示して行く。
釘を使うのもこっちの真鍮のが可愛いよとか、こっちのがかっこいいとか。
監督は米倉氏、自然にそうすけカラーが出来上がっていきます。
「作業を視覚化してルーティーンを作って行く、それを毎日続ける、相当力がつくし、どこに行っても通用するよ。」
「もともと古家具古道具は、僕らが作ってるものじゃないものを預かって手入れして出す、わらしべ長者みたいなもの。
それをなるべくいい形でいいように出して、自分たちがご飯を食べていけるようになりましょう、というだけ」
と米倉氏は語ります。
この記事を執筆させていただいているノスリ舎が運営する店舗にもそんな「そうすけの古道具」を置かせていただき、
素敵な存在感を放ってくれています。
整頓された工程で丁寧にお客様のもとへ届く古家具古道具たち。
米倉氏に仕入れてもらった彼らは幸せ者だなと思った次第です。
https://www.instagram.com/sosuke312/
記事:ノスリ舎合同会社
デザインと企画の会社です。ローカルや人にスポットと当てたお仕事をさせていただいております。
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